今年度の秋田県産米の取り組み:カドミウム対応進める/秋田県農機ショー特集

秋田県農試作物部の松本眞一部長より、「サキホコレ」や「あきたこまちR」などの秋田県産米の今年度の取り組みや高温対策等について話を聞いた。
まず、「サキホコレ」の特別栽培米化に関して。今年から全量特別栽培米として栽培が開始された。栽培マニュアルも特別栽培米対応に改定し、普及・指導を実施した。松本部長は「栽培方法としての大まかな部分は固まった。普及品種として今後も試験を継続し、施肥体系を含め、試験年次を積み重ねて、精度を高めていく」と話す。これまで、メッシュ農業気象データを用いて「サキホコレ」の推奨地域を設定していたが、推奨地域外でも一定期間試験栽培を行い、基準を達成すると作付推奨地域に組み込むこととしていた。
昨年までの結果で、編入試験の判定基準をクリアした10市町村の24地域が推奨地域に加わり、7月に県北地域でも研修会を実施した。来年度の作付け見込みは、秋田県水田総合利用課で作付け希望を集計しており、増加見込みだという。令和6年度の編入対象面積は8613ヘクタールで、編入後推奨地域の面積は8万1213ヘクタールとなった。なお、令和6年の作付け面積は1625ヘクタール。令和7年は1808ヘクタールと推移している。特別栽培へのハードルや生産要件の厳しさ、米価上昇による他品種との価格差縮小が作付け面積拡大に影響しているようだ。面積拡大のために生産要件の緩和はせず、共同乾燥施設等の利用促進を農協に働きかけるなどの対策を県として行っている。また、「サキホコレ」は晩生品種のため、より早く収穫できて全県で栽培できることを目指して新たな品種育成にも取り組んでいる。
次に今年から始まっている「あきたこまちR」への切り替えについて。今年から採種ほ産種子は全て「あきたこまちR」となった。JA米の認定も「あきたこまちR」のみ。一部の直接販売している生産者等が顧客要望に応える形で、「あきたこまち」を自家採種して栽培するケースはあるものの、ほとんどは「あきたこまちR」に切り替わった。秋田県農試としては、放射線育種により育成された「コシヒカリ環1号」の交配後代品種である「あきたこまちR」の安全性を伝え、正しい知識の普及に努める。「あきたこまちR」は、カドミウムとともにマンガンの吸収も少なくなるため、ごま葉枯病にかかりやすくなることがわかっている。
ただし、ごま葉枯病の病斑は出穂してから出ることが多く、収量や品質への影響はほとんどないものと判断している。土壌中のマンガンが少ない地域では、事前にマンガン資材を投入し、土づくりを進めてもらうなど対策を講じている。すでに試験も行っており、マンガン資材投入後は数年間効果が持続することがわかっている。
なお、食品衛生法による玄米のカドミウム濃度の国内基準は1キロ当たり0・4ミリグラム以下。EUは0・15ミリグラムとより厳格な基準がある。従来品種がカドミウム濃度0・4ミリグラムを超える圃場であっても、「あきたこまちR」では0・02ミリグラムと非常に低い値となり、従来品種と比べて10分の1以下に玄米のカドミウム濃度を抑えることができた。
次に高温対策。令和6年から飽水管理をすることによる高温対策を試験している。平均地温が数度下がる効果があったが、昨年のデータでは玄米の品質に差異はなかった。これは今年も継続試験中だ。
ここでも「あきたこまちR」への転換の効果について松本部長は言及する。「カドミウムの対策地帯では、稲へのカドミウム吸収を抑制するため、従来品種では出穂前後各3週間、圃場に水を張り続けなければならなかった。その点は「あきたこまちR」のおかげで間断かん水や中干延長が可能になった。また、渇水で大変な地域でもカドミウム吸収を抑えることができる。これは大きなメリット」。
その他にも、育苗においてビニールハウス内での高温障害が増加している。これは無加温出芽時の被覆期間中の高温による障害で、対策技術として遮光率の高い被覆資材を用いた被覆効果の検証を今年実施した。以前は夜間の低温から苗を守るために被覆をしていたが、近年は高温から守ることも必要となってきた。高温対策は、現行品種での対応には限界があるため、高温登熟性の強化を目指した品種育成を継続している。
さらに、みどりの食料システム戦略対応や病害虫抵抗性の付与も進めている。「あきたこまちR」以外にも、カドミウム低吸収性品種を増やし、いずれは県内品種を全てカドミウム低吸収性品種にするべく品種育成を進め、より安全な米へと転換していきたいとした。









