各社の対応②:儲かる農業を実現/秋田県農機ショー特集

(株)秋田クボタ常務取締役営業本部長の加藤勝弘氏に、県内の昨年の農機流通実績について聞くと、昨年上期はメーン機種のトラクタ・田植機が不調であったものの、コンバイン・乾燥機の前倒し売上げにより計画をクリア。下期については、米の概算金アップの発表を受け、農家の購買意欲が高まり計画比で2桁増を達成、2024年トータルでは前年比増で終了したと振り返った。
その流れを受けて、今年はさらに計画を増額。春に発表された米の概算金引き上げが追い風となり、今年上期はトラクタ・田植機をはじめ快調な滑り出しをみせ、2025年1~9月も大きく伸びた。好調要因としては、「やはり米価高騰による所得アップに伴って、販売農家のモチベーションが高まったことがある」と分析。「儲かる農業が実現しつつある」と感じているという。
売れ筋の商品を聞くと「作業機などの関連商品も含めてまんべんなく、機種も数も出ている」とした。6月には本社敷地内にて農機展示会「サマーフェスティバル」を3日間開催。7月の価格改定前の駆け込み需要を取り込んだ形で、春・秋物まんべんなく、多くの受注を積み増すことができた。一方で、全国ベースで受注が増えたことからメーカーによる生産が追い付かず、製品によっては納品待ちのものも出ているという。
一方、営業における重点対策を聞くと、営業及びサービスのチームの取り組みに業績優秀表彰を行っていることや、県内18拠点全員における国内研修の打ち出しなどを示した。また、力点を置く事業としては「利益率の高いアフターマーケット事業の拡大」を掲げている。機械の点検・整備・修理といったアフターサービスの事業は「毎年伸長している部門」と加藤営業本部長。同社ではかねてよりサービス事業に力を注ぎ、毎年10~11月の整備受注キャンペーンを25年続けており、毎年この計画達成が定着。今ではセールスよりもサービスの方がスタッフ人数が多いという。特に今年は整備工場の設備投資などを行い、事業インフラを拡充。「機械の大型化や高性能化に伴って、整備工場の大型化も求められている」という。さらに稼働率向上にも力を注ぐ方針を掲げ、秋田クボタは全国の販社の中でも高いレベルにある、と述べる。サービススタッフの採用及び教育にも注力している状況だ。
今回の秋田県農業機械化ショーでは、前年に続き(1)スマート農機の推進と、今年は特に(2)乾田直播栽培のPRに力を入れるとした。(1)は以前から強化しているスマート農業をアピール。直進キープ機能(GS仕様)を搭載したトラクタ・田植機・コンバインの主要3機種がラインアップしたことから、これらGSトリオをはじめ、クボタ営農支援システムKSAS、RTK基地局の活用、J―クレジットの推奨を展開する。
一方、(2)は大規模農家の省力化・経費削減に資する技術として「乾田直播栽培」を大きくPR。相談コーナーを設けて乾田直播の機械化一貫体系を提案し、同技術に力点を置く展示ブースを作り上げる。その他、新製品として汎用コンバインERH450や管理機TS752・TMS400を紹介。さらに野菜作関連機器として枝豆の色彩選別機や粗選機、枝豆コンバイン、長ネギ管理機FT260NEなども提案する。
ヤンマーアグリジャパン(株)北東北営業部秋田ブロックエリアマネージャー・渡辺琢弥氏ならびに課長格・佐藤三寛氏に、県内の昨年の農機流通実績について聞くと、「2024年は春先に苦戦したものの、秋ごろから回復していった」と振り返った。その要因としては「やはり米価上昇の影響が大きい」と指摘。機種別にみると、秋頃からYT357RJ(57PS)などのトラクタをはじめ、コンバインの動きが良かったという。営業活動として農業者の圃場に直接農機を持ち込み、実際に乗って・触って実感してもらう実演を、件数を決めて力を注いできた。そうした地道かつ着実な営業活動が実を結び、米価上昇と相まって回復につながった。
また、昨年の秋田県農業機械化ショーでは、スマート農機を提案し、昨年リリースしたばかりのヤンマーRTK補正情報サービス「Y―POINT・」をアピール。その成果も相まって、「Y―POINT・」の契約数は順調に向上している。
その流れに乗り、今年の農機流通全体の実績については「非常に好調」と評価。今年は春に田植機の動きが良く、トラクタは前年並みを確保した。コンバインも受注が増えているという。毎年実施している実演により接点を増やした営業活動が結実し、更新時期を迎えた顧客による注文が相次いだ。4月には価格改定もあったものの、大きな落ち込みはみられなかったと振り返った。
さらに今年4月からは「Y―POINT・」をメーンにしながらトラクタ自動操舵を絡めた乾田直播を前面にプッシュしている。乾田直播は規模拡大を志向する農業者にとっては低コスト化・省力化などの面でメリットが大きい。ヤンマーでは以前より県内における乾田直播の取り組みを行っており、昨年の収量は「移植に対して余り変わらず、極端な落ち込みは見られなかった」という。そうした実績や、国の後押し、世間の風潮も相まって、農業者からも「移植(密苗)+乾田直播をやってみたい」との声が増えてきた。乾田直播は、社内で研修を行い、ノウハウを学び合い、秋田の気候や土壌など条件に合ったやり方を構築するべく各地で模索しているという。
今年の秋田県農業機械化ショーにおいても、自動操舵機能付きトラクタをはじめ、作業機としてグレンドリルやV溝直播機、スリップローラーシーダーなどを提案し、乾田直播の機械化一貫体系をPRしていくとした。
一方、今年重点的に取り組んでいる機種としては、昨年発売したヤンマー史上最大出力を誇るコンバインYH6135(6条刈・138PS)及び、コンバインYH6115(6条刈・115PS)を示した。全県で実演を行いアピールを進めており、好感触を得ているという。それ以外では4条刈コンバインYH448AEJUの売れゆきが良く、5町歩前後の顧客による更新の顕著な動きが出ている。
さらに今年は稲作農家の投資意欲から、顧客の「今ほしい」タイミングへの対応に注力した。今年は実演をしたら「そのままほしい」という要望も多く、商品供給についてもしっかり対策を取っていくと語る。その他、ラジコン草刈機YW500RC、大豆や枝豆・ネギといった穀物・野菜関連機械も好調だとした。
秋田県農業機械化ショーについては、乾田直播関連機器とともに、スマート農業の「Y―POINT・」や自動操舵、ドローンなどをPRすると語った。









