秋田市場の動向:米価高騰の特需、在庫不足で供給対応課題/秋田県農機ショー特集

稲作がメーンである秋田県農業。米どころであるが故に、米をめぐる激動の情勢とともに、農機をめぐる情勢も大きく揺れ動き、市場は大きな転換点にある。
昨年から今年における県内農機市場の概況をみると、「米の概算金に端を発した特需」と「在庫不足による供給遅れ」が特徴としてあげられる。
2024年における秋田県内の農機市場は、年前半は他県にもれず概ね低調だった。農業者の多くは物価高にあえぎ、非常に苦しい状況が続いていた。毎年続いた大雨被害も相まって、離農の動きも一部でみられた。
そんな最中に発生したのが、全国的な米不足とそれに伴う米価の高騰である。JA全農あきたは昨年8月末に、2024年産米の基礎となるJA概算金を発表。あきたこまち(1等米60キロ)で1万6800円とし、前年に比べ4700円(38%)増と大幅に引き上げた。これを歓迎し、営農・投資意欲を湧き立たせた多くの農家が、昨年の秋田県農業機械化ショーに来場。明るい顔つきで機械を物色し、次年の営農に向けた購入に至ったのは記憶に新しい。
その流れは今年も続き、JA全農あきたは毎年秋の発表に先立ち、3月に2025年産米概算金のベースをあきたこまち(同)で2万4000円と発表。前年比7200円(42・9%)増となり、農業者の投資意欲は春以降さらに強まった。JA概算金はその後もアップが続き、最終的には8月末に発表された追加払いも含めてあきたこまち(同)で3万円となった。この価格は前年比1万3200円(78・6%)増と大幅な引き上げとなっている。
さらに今年は、国による米政策が生産調整から増産へと転換したこともあり、農家は儲かる主食用米の増産に踏み切った。加えて、農業者の立場でみると、潤った懐の節税対策として、農機を購入する意図も大きいようだ。昨年秋には米の乾燥・調製機器や、小物関連の引き合いが多かったものの、今年春以降は主要機はもちろん、作業機、管理機、草刈機などまんべんなく動いており、「これまで長らく我慢していた中小農家もようやく更新に動き始めた」という。
そして、意欲的な農家の注文殺到を受け、今年の農機市場は供給体制が間に合わず、一部で在庫不足にも陥った。製品によっては納品まで1~2年待ちというものも出てきている。業界にとって嬉しい悲鳴とも言えるが、今後も今の情勢が続くようであるならば、農機の製販や流通の体制転換が迫られていくともいえよう。農機市場にとっても、長年厳しい状況が続いていたために、在庫リスクを抱えない体制が常態化していたが、今後はその戦略を見直す必要があるかもしれない。
とはいえ、農機の増産を急ピッチで進めるのも簡単ではない。「今後の農機流通は自動車のように納品まで1~2年待つような体制になるのでは」と見通す声も聞かれた。その場合、農業機械の提案も、今シーズン使う機械ではなく、来年・再来年と先を見越した提案が求められ、営業戦略の転換が必要となろう。さらに秋田県農業機械化ショーは、より長期スパンを見越した未来の機械の提案が行われる場ともなりそうだ。
米の高止まりがいつまで続くかは不明であるが、「増産が続く限りは、もみ供給など現場の生産体制が整うまで数年かかる。今後数年は大きく値下がりすることはないのでは」との声もあった。少なくとも今年、来年あたりまでは米価の高止まりが続くのではとの見通しが大勢となっている。
米の増産に向け、意欲を燃やす秋田県農家を支える農業機械及び農機販売店の役割は今後ますます大きくなる。時機到来である。農業者に適切な技術を提案して、生産性向上に貢献したい。









