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令和7年10月27日発行 第3573号 掲載

県の水稲振興策:戦略的な米生産/秋田県農機ショー特集

 米をめぐる情勢が大きく動いている中、米どころの秋田県ではどういった水稲振興策を取っているのか。秋田県農林水産部水田総合利用課農産・複合推進チームチームリーダーの片野英樹氏に話を聞いた。
 秋田県の令和7年度農林水産部重点推進事項のうち、「農業の食料供給力の強化」をみると、(1)経営力の高い担い手と新規就農者の確保・育成(2)持続可能で効率的な生産体制づくり(3)マーケットに対応した複合型生産構造への転換(4)戦略的な米生産と水田のフル活用の推進(5)農産物のブランド化と流通・販売体制の整備―を掲げている。
 このうち(1)では、▽就農希望者の多様なニーズに対応した総合的な就農支援▽農業経営の法人化や経営継承、集落営農組織の連携・統合の推進▽企業的な経営を行うプロ農業経営体の育成▽女性農業者の起業活動への支援―を推進。
 (2)では、▽環境に配慮した農業など、みどり戦略の推進▽AIやセンシング技術を活用した栽培管理技術の開発・実証▽水田の大区画化や排水対策などの農業生産基盤の整備―を推進。特に緊急課題対応として注力する項目に「水稲や園芸品目等の高温対策技術の実証・普及」をピックアップ。酷暑の夏が続いているのを踏まえ、水管理、被覆・遮光資材、新たな換気システム、細霧冷房等の技術や、新たな病害虫に対応した防除体系、土壌病害の防除対策について実証・普及を図っている。具体的には、水稲の育苗における熱を通しにくい被覆資材や、園芸における換気用の空動扇など実証を進めており、効果を取りまとめて普及を進めていく。
 (3)では、▽大規模生産拠点を核とした園芸・畜産の生産基盤の強化▽排水対策技術の普及による園芸品目の単収・品質の向上▽耕畜連携による堆肥の利用促進と自給飼料の増産▽秋田牛の資質向上と生産拡大によるブランド力の強化―を推進。野菜については、エダマメやネギなどでメガ団地の整備やスマート農業技術の導入等を図っており、例としてタマネギのメガ団地における粗選別調製収穫機を用いた収穫調製作業などを示した。
 (4)は、▽「サキホコレ」の特別栽培の標準化と戦略的な情報発信・販売促進▽「あきたこまちR」の安定生産と消費者等の理解促進▽秋田米の新たな需要獲得に向けた販売活動の強化▽田畑輪換・畑地化に向けた条件整備の推進▽大豆・ソバの単収向上技術の確立・普及―を推進。
 デビュー4年目を迎えた秋田のブランド米「サキホコレ」は、令和7年産より全量が特別栽培米に切り替えられた。また、高い品質を安定するべく作付地域を限定しているが、7年産より新たに10市町村24地域が加わり、県北にも栽培エリアが拡大。主品種の「あきたこまち」も今年度からカドミウム低吸収性品種「あきたこまちR」に切り替えられたことから、7年度の水稲事業は、「サキホコレ」の特別栽培や「あきたこまちR」の切り替えにおける現地指導やフォローに力を注いでいる。
 田畑輪換・畑地化については、米の値上がりの影響により拡大が鈍化した。「農家の経営判断による」とし、大豆については今年度は1000ヘクタールほど主食用米に作付けがシフトしたと述べた。
 (5)では、▽プレミアム商品や加工・業務用商品の開発・販路拡大▽台湾・タイ等への秋田牛や青果物の輸出拡大▽異業種連携による6次化商品の開発・販売支援▽学校給食への地域食材の安定供給に向けた体制の構築―を推進。多様化する実需者ニーズに対応したマッチング活動を進めるとともに、県外企業と連携した県産農産物のPR販売や新商品開発などに取り組むほか、農業者等の商談技術の向上や販路開拓に向けた取り組みを支援する。
 稲作における今後の施策の方向性については、具体的には今年度末に第3期秋田米生産・販売戦略(仮)を取りまとめて発表するものの、現時点で今後も確実に実施していくこととして、(1)低コスト生産(2)輸出拡大(3)高温対策―を強化していくと述べた。
 (1)の例としては乾田直播やスマート農業の技術を示した。乾田直播は、先行事例とその経営評価を照らし合わせながら、県内に合った栽培体系を確立するべく研究開発を進めていく。また、(2)は今年就任した鈴木知事が輸出拡大に期待をかけているという。輸出先国の事情やニーズに合わせた低コスト生産技術が求められているとし、その例として高密度播種(密苗)等を示した。また、輸出向け品種については、人気が高く生産者も作り慣れている「あきたこまち」をあげ、もし国内の米価が落ち込んだとしても、安定した出口の1つとして確立するよう、輸出先をもっと増やし、拡大していきたいと述べた。(3)は新たな高温対策の試験を継続するとともに、確立した技術の普及等に取り組むなどとした。

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