米の石抜・選別の現場をみる/機械で拓くアフリカ農業⑤

AFICATコートジボワール視察の連載5回目は、同国最大都市のアビジャン市内にあるコートジボワール・コメ流通業者協会(FENDRIZ―CI)の視察のもようを紹介する。
前回までの連載で米の生産現場及び産地にある精米所を紹介した。ヤムスクロやブアケなど、中央~北部の主産地で生産した米は、幹線道路を南下し、アビジャンをはじめとした消費地の都市部に運ばれ、販売へと至る。FENDRIZ―CIは各地から集めた白米の調製を行い、アビジャン市内のスーパーなどに出荷している協会であり、市内のヨプゴン工業地域にて、元々会員企業の米倉庫だった建物に日本製の石抜機・光選別機を設置し、主に会員向けに米の石抜き・選別のサービスを提供していた。
JICAによると、FENDRIZ―CIは米流通業者で構成される同国内の業界団体で、2017年に設立された。JICAが進める技術協力プロジェクトPRORIL2(国産米振興プロジェクトフェーズ2)と協力関係にあり、これまでに各流通業者が販売する良質の米の展示会開催などを支援してきたという。その連携活動の1つとして、日本製の石抜機ならびに光選別機をFENDRIZ―CIに貸し出しており、パイロット活動として試用されている。今回の視察ではその稼働状況を確認した。
石抜機はカンリウ工業のST122。穀物に混入した小石をスピーディーに除去する同機は、強力磁石付きで金属も除去可能。大きさは410×620×830ミリ、質量27キロとコンパクトな機体ながら1時間当たり280~330キロの処理能力を持つ。そして光選別機はサタケ製の多用途シュート式光選別機「ピカ選αPLUS」FMS2000―F。色彩選別機能と形状選別機能を搭載し、米をはじめ、穀物種子や豆類、ゴマ、プラスチックなど原料ごとの多彩な選別が可能な光選別機である。処理能力は1時間当たり500~2000キロを誇る。
両機とも今年5月に同協会に設置し、操作研修を開始。その後貸与の手続きを経て、6月25日から稼働を開始した。稼働状況としては、朝8時~午後6時まで石抜き及び選別のサービスを協会会員企業に提供。会員は各産地などで籾すり精米をした白米を持ち込み、協会は持ち込まれた順に処理を行い、石抜き後に光選別機に通している。サービス料金は、協会会員企業に対しては選別前の白米1キロ当たり15CFAフラン(およそ4円。1CFAフラン=約0・27円)、会員以外は同20CFAフランで、会員企業を優先。サービス提供で得た料金は、倉庫の保管費用や人件費、機械の維持費などの諸経費にあてられている。
FENDRIZ―CIを視察したのは7月末で、機械の稼働開始から1カ月ほど経ったところだった。視察ではサノゴ・ブアケ元協会役員らが応対してくれた。機械を使った感想を聞くと「性能はとてもいい。石や異物がほぼなくなり、米の品質が各段に良くなった」、「機械導入前は女性たちが米を広げた周りに座って、手作業で石や着色米などを1つ1つ取り除いていた。目視で確認しづらい石などはどうしても取り除けず、常に異物が混ざっている状態だった」と語る。処理量は、JICAによると、石抜機は稼働開始からの約1カ月で約26トン、選別機は6月24~7月2日の約1週間で約3・3トンを処理した記録が確認できたという。
米の販売価格は機械導入前と後で変えておらず、1キロ当たり650~800CFAフラン(約170円。米の種類による)で販売。サノゴ氏は「機械化によって米の付加価値が上がったので、今後は売価上昇を交渉していきたい」と語った。「精米所の作業員や農業従事者全般の年収は仕事内容に対して低い」と感じている様子だが、そのためにも「現在の機械体制では取り扱える米の量が少ないので、もっと米の取扱量を増やしたい」と希望を述べた。
ちなみに機械が設置されているヨプゴン地区は、最大都市アビジャンのベッドタウン。国が設定した工業地域として発展しており、インフラが整えられ、国内外の様々な企業が活動している。サノゴ氏によると、この場所を選んだ背景として、アビジャン中心地からやや離れており、中央幹線道路から近くてアクセスが良いこと、建物としても平らな場所で一定の広さと高さがあり、換気が良いことなどの条件が揃っていたことがあったという。一方で、住宅建物の一角にある倉庫のため騒音問題が避けられず、将来的にはもっといい場所を探したいとの希望も述べた。
また、同国農業省所属の農業エンジニアであり、JICAプロジェクトスタッフとしてPRORIL2で米の収穫処理責任者を務めているスタニスラス・ンデポ氏も説明に加わった。ンデポ氏はPRORIL2を通して産地や精米所で様々な研修を行っていると自己紹介し、こうした収穫後の米加工の研修によって米品質が向上したと評価。一例として、生産者を対象とした生籾の天日乾燥時における効率的な籾の広げ方の研修や、精米所を対象とした乾燥機や石抜機、選別機などの導入・研修を示した。この一環でFENDRIZ―CIでも機械の取り扱いなどの研修を行い、簡単なメンテナンスも行えるオペレータを5名養成したという。
ンデポ氏はさらに、同国米の品質低下における問題点として、収穫・脱穀作業の機械不足をあげた。多くの圃場では脱穀機が不足しており、刈り取った稲穂の脱穀作業が追い付かず、着色粒の発生など米の劣化を招いている。人力では、稲穂を叩いて脱穀しているケースもあるため、砕米が多くなるなどの問題が発生。PRORIL2を通じたコンバイン・脱穀機の普及をさらに進めたいと述べた。
その後、両機の実演を披露してくれた。石抜機・光選別機ともスムーズな稼働をみせ、異物をはじき、目視ではなかなか判別できない着色米などもスピーディーに除去。機械を通した白米はどれも綺麗に揃っており、品質向上に役立っていた。
視察を通して、同国におけるポストハーベストの機械化が、米の品質向上と流通効率化に役立っていることが見て取れた。石などの異物混入は大きな問題となっており、米の品質を向上し、歩留まりを上げる加工・調製機械の需要と伸びしろは非常に大きい。
それを踏まえて、JICAはPRORIL2などの事業を通した日本製機械の普及活動を進めている。石抜機はJICAプロジェクトにて精米所や販売店にてデモを実施したところ、国の米政策の実施機関であるコメセクター開発機構(ADERIZ)が42台を自己資金で購入し、米加工流通関係者30社に無償配布しているという。また、光選別機においても、JICAが地域の精米所にてデモを実施。さらにAFICAT事業でカシューナッツ関係者にもデモを行っており、導入促進への取り組みが進められている。
こうした米のサプライチェーンにおける機械化は、コートジボワール政府も力を注いでいる。次回は国における稲作振興の政策についてみる。









