MENU
令和7年10月20日発行 第3572号 掲載

イチゴ周年栽培システムを農業WEEKで提案/三菱重工グループ

 三菱重工業(株)(伊籐栄作社長・東京都千代田区丸の内3の2の3)は10月1日から3日間、千葉市の幕張メッセで開催された「第15回農業WEEK J―AGRI」に、グループ企業である菱農エンジニアリング(株)(五十嵐正和社長・島根県松江市)と、イチゴの生育に適した温度環境を創出することで外気温に関係なく安定したイチゴの収穫を可能にする「イチゴ周年栽培システム」を、パネル展示で提案・紹介した。
 同社では、暑すぎてイチゴの栽培に向かない日本の夏秋を含めて、一年中甘く大きいイチゴを安定的に収穫することが可能なシステム―としている。
 会期中は、関東地方を中心とした栽培農家が同社ブースを数多く訪れ、説明を熱心に聴いていた。
 イチゴの栽培に最適な気温は一般的に17~20度C前後とされる。このため、日本での夏秋期の栽培は一部の高冷地に限られている。
 さらに近年は地球温暖化による平均気温の上昇で栽培がますます困難となり、卸売市場への供給が不足して価格も上昇傾向にあり、イチゴの需要家にとって夏秋期の安定調達が大きな課題となっている。
 イチゴ周年栽培システムは、このような課題の解決に向けて、同社グループが長年にわたり培ってきた冷熱製品と温度環境制御技術を活用して開発したもの。空調を中心とした独自の制御システムにより、栽培ハウス内におけるイチゴの生育温度および光量データ分析に基づいて自動制御し、外気温がイチゴの生育に与える影響を最小限に抑え、イチゴの生育に最適な環境を実現する。
 また、最適な冷却システムと独自の栽培棚が効率よくイチゴを冷やすため、エネルギーコストも低減する。
 同社によると、本システムの実証では、より細かく生育温度環境を調整することで収穫できるイチゴの大きさを制御することにも成功。将来的には、需要家が求める規格のイチゴを計画的に栽培できる可能性がある。また、太陽光発電設備を併設することで、CO2排出量やエネルギーコストをさらに低減することも可能だ。
 このシステムを2022年から試験的に導入した京都府八幡市のイチゴ生産農家は、外気温度38・9度Cを計測した夏の猛暑下でも高品質なイチゴを安定して収穫した。
 同社は、こうした成果を踏まえて、このほど本格受注を開始した。
 〈主な特徴〉
 (1)アクティブ環境制御=生育環境を常時モニタリングし、独自のプログラムで各機器を自動制御して、生育に最適な環境を最小の電力で実現する。
 (2)局所冷却構造=特殊形状の栽培棚(特許取得済)で、イチゴ株周辺の空間を集中的に冷却する。
 (3)密閉ハウス構造=ハウスを二重構造として、内側ハウスを密閉構造にすることで冷却能力を高める。
 (4)密植栽培=スライド式密植栽培棚を採用し、ハウス1棟当たりの収量の最大化と、空調電力消費の最小化を同時に実現する。

カテゴリー別最新ニュース