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令和7年10月20日発行 第3572号 掲載

米のコスト指標作成へ/農林水産省が準備会合

 農林水産省は3日、都内霞が関の同省第2特別会議室において、米のコスト指標作成のための準備会合を非公開で開催した。米のコスト指標作成の進め方などについて議論したもので、同省からは農産局農産政策部長はじめ企画課長、企画グループ長、食料システム連携推進室長が出席。米の生産・流通等の関係団体等と意見交換を行った。
 会合ではまず、食料システム法(食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律)が一部改正したことを踏まえ、10月1日から及び明年4月1日からの施行内容を説明。
 10月1日から施行した内容は、「食品等事業者による事業活動の促進」として、(1)農林水産大臣が食品等事業者による事業活動の促進に関する基本方針を策定(2)食品等事業者が事業活動に関する計画を作成し、農林水産大臣が認定(3)地方公共団体や一般社団法人等が(2)と連携して支援する場合、連携支援計画を作成し農林水産大臣が認定―を進めるとした。
 一方、来年4月から施行する内容は、「食品等の取引の適正化」として、(1)農林水産大臣は食品等の取引の適正化に関する基本方針を策定(2)飲食料品等事業者・農林漁業者は▽持続的な供給に要する費用等の考慮を求める事由を示して協議の申し出がされた場合、誠実に協議▽商慣習の見直しなど持続的な供給に資する取り組みの提案があった場合、検討・協力―の措置を講ずるよう努力(3)農林水産大臣は(2)の行動規範・判断基準を省令で策定。また、適確な実施を進めるため、指導・助言や勧告・公表など実施(4)農林水産大臣は、取引において、費用を認識しにくい飲食料品等を省令で指定。その費用の指標の作成・公表等を行う団体を、基本方針や省令に基づき認定―を進めていくとしている。さらに、来年4月からは卸売市場法の一部改正で、市場の開設者は、指定飲食料品等の費用の指標等を公表することとしている。
 これらの施行に伴い、具体的な措置として、需給や品質を基本としつつ、合理的な費用を考慮する規制的措置を導入することとした。最終的な取引条件は当事者間で決定という自由主義の前提を維持した上で、飲食料品等事業者等の努力義務として、▽持続的な供給に要する費用等の考慮を求める事由を示して協議の申し出があった場合、誠実に協議▽商慣習の見直し等の持続的な供給に資する取り組みの提案があった場合、検討・協力を行う―としている。その上で、省令で明確化した判断基準に沿って取り組みを進め、取り組みが不十分な場合、国からの勧告・公表などが行われる。
 協議に活用される生産コスト指標については、指定品目ごとに国がコスト指標作成団体を認定し、コスト指標の作成を行う。作成方法は、(1)活用するデータ(公的統計、業界内データ、追加調査等)(2)データ元の産地(複数可)(3)データを基にした計算方法―とした上で、製造業者、流通業者、小売業者等の関係者との合意形成を行い作成を進めていく。コスト指標に関する合意形成では、関係者はコスト指標の作成に対して意見を述べるほか、コスト指標の作成に必要なデータの提供を行う。国はこれらの団体を監督する。
 会合では、これらの取り組みを確認し、米に関する物価動向と流通価格についても説明。米に関しては、消費者物価が近年上昇基調にある中で、特に米の上昇が顕著であり、農産物、生産資材、人件費、中間投入等の各種指標も上昇基調にあること、7年産米については、概算金が玄米60キロ当たり平均2万8200円なのに対し、小売価格は同5万7400円と2倍以上になっていることが示された。
 これに対して、生産・集荷、卸売、小売の各関係団体からは様々な意見が出された。主なものをみる。
 【生産・集荷団体】
 ▽コストはあくまで原価であり、営農継続にはこれで十分というようにとられないよう、関係者の理解を得ながら進めていく必要▽大型機械やスマート農機の減価償却費を考慮する必要。労働費の算出においても、他産業並みの所得水準を十分意識する必要▽食料システム法が施行される来年4月の指標公表を目指す場合、様々な考慮要素がある中、時間的に心配な部分がある▽このメンバーだけで決めた指標が取引において活用される指標として妥当と評価してよいものか。
 ▽コスト指標作成に当たっては、中山間など地域差や、人件費やスマート農機の価格上昇を考慮してほしいとの声がある▽コスト指標が独り歩きすることを懸念。高い・安い両面から論じられる可能性がある。現状についての理解醸成を、国も十分考えてほしい▽指標は業界だけでなく広く消費者にも公表されるものであり、指標の使われ方や意義も含め、広い意味での理解醸成が必要。業界だけでなく、農林水産省にも十分対応いただきたい。
 【卸売団体】
 ▽米価が高くなったことだけがクローズアップされており、コスト指標を出すことで誤解が発生することを大いに懸念。自由経済の原則の下で取引価格が決まることや、コスト指標の意味についての国民理解が重要。
 【小売団体】
 ▽農産物は相場に左右されるため、コストの積み上げだけで価格の妥当性を明確に説明するのは難しいと思う▽小売段階のコストは、決算資料や業界団体の調査で把握した利益率から、大体のイメージとして算出できると考えている▽コスト指標の算出時点をいつにするか目線を合わせる必要。

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