畜産環境シンポジウム開催/農林水産省、畜産環境整備機構

農林水産省、一般財団法人畜産環境整備機構は15日、東京・霞が関の農林水産省内会議室で、「令和7年度畜産環境シンポジウム」(オンライン併用)を開いた。畜産臭気対策と良質堆肥の生産、流通をテーマに講演が行われた。また、畜産環境整備機構から、家畜ふん尿処理施設等、飼料の給与等に係る機械・装置及び家畜飼養管理等施設等のリース事業などが紹介された。
シンポジウムの第1部は「今日からはじめる臭気対策」がテーマ。畜産由来の苦情として最も多い悪臭。昨年の参加者アンケートを通じて、臭気対策についてさらに深く知りたいという声が多数あった。そこで今年度は、こうした要望を反映して、臭気低減に係る最新の研究内容や事例、地域での取り組みなどを中心に紹介した。
第2部は「良質堆肥の生産から販売流通まで」。家畜排せつ物を国内肥料資源として有効に活用するためには、良質な堆肥を生産し、円滑に流通させることが必要。このため、取引形態の大半を占めるバラ堆肥(ペレット加工等をしていない堆肥)を中心に、堆肥の生産・販売流通の事例などについて紹介した。
講演は(1)高濃度の臭気が発生する畜産設備における臭気低減技術と優良事例(畜産環境整備機構・小堤悠平氏)(2)畜産事業者と共に歩む臭気対策(湖西市役所産業部産業振興課・池谷愛斗氏、同・吉田善行氏)(3)袋詰め牛ふん堆肥の広域流通伍協牧場の取り組み(農事組合法人伍協牧場・花房尚徳氏(4)新時代の飼料メーカーが拓く「耕畜一体・循環型」実装アプローチ(日清丸紅飼料(株)・箕崎しより氏、同・近藤英美氏)―の4講演。
このほか、農林水産省畜産局畜産振興課から、家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針について、畜産環境整備機構から同機構の事業紹介が行われた。
小堤氏は、畜産の苦情発生状況(令和6年度)、畜産臭気の規制の概要と特徴、高濃度の臭気が発生する畜産施設の臭気低減技術としての密閉縦型堆肥化装置(縦型コンポ)の脱臭、固液分離装置の脱臭、優良事例紹介(3施設)について発表した。 それによると、畜産の苦情として、悪臭関連、水質汚濁、害虫関連、その他(ふん尿の散乱、脱走等)があり、悪臭苦情が過半数を占める。苦情の発生戸数は、乳用牛、肉用牛及び豚が高く、苦情の発生率(発生戸数/農家数)は、豚(臭気と水質汚濁)と採卵鶏(臭気と害虫)が高い。
密閉縦型堆肥化装置(縦型コンポ)や固液分離装置などのふん尿処理施設から一時的に高濃度の臭気が発生し、高濃度の臭気の脱臭技術が求められている。縦型コンポでは、スクラバー脱臭装置、固液分離装置では、既存の汚水浄化施設を活用できるとした。
静岡県湖西市では、市民臭気モニターの設置、臭気通報フォームの開設(市の公式LINE)、養豚農家全事業所で1年に1度の臭気測定などに取り組んでいる。
伍協牧場では、生ふん集積堆肥舎(600平方メートル)、発酵槽施設(1600平方メートル)、混合機1基、発酵槽9槽、ブロワ2基、ショベル2台、自動包装機1基、自動積み付け機1基、製造日印字機1台、ラッピング機1基の装備で、年間40万袋(40リットル)の堆肥を袋詰めして販売しており、大口の出荷先の獲得で安定した出荷・製造ができるなど、袋詰め販売のメリットを説明した。
日清丸紅飼料は、畜糞処理のエキスパートであるサンクラフト、都夢創と3社協業を行い、畜産飼料顧客の堆肥問題を解決する堆肥コンサルサービスを提供している。バラ堆肥及び袋堆肥の流通支援として、牧草地へのバラ堆肥の搬出支援、その後収穫した牧草の飼料活用、丸紅グループの国内販路を活用した販売及び海外輸出の取り組み、自社ブランド堆肥を利用した農産物の提案営業(量販店向け等)など。
一方、バラ堆肥の課題としては、散布時期(春肥・秋肥時期)が限定される、天候に左右される、価格が安い、用途が農地還元に限られるなどがあげられ、このデメリットを解決し、堆肥の利用・流通方法を進化させるために、日清丸紅飼料の袋堆肥ブランド「べに華」を2024年10月にリリースした。
また、堆肥の輸出にも力を入れており、鶏糞堆肥はベトナムへ年間約4万トン輸出している。









