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令和7年10月13日発行 第3571号 掲載

日本土壌肥料学会が新潟大会開催/土づくり特集

 日本土壌肥料学会(信濃卓郎会長)は9月、新潟市西区の新潟大学五十嵐キャンパスにおいて日本土壌肥料学会2025年度新潟大会を開催した。大会では土壌肥料学における最新研究成果が口頭発表やポスター発表にて発信され、シンポジウム等を通じて広く知見が共有された。
 大会では2025年度日本土壌肥料学会賞等授賞式ならびに記念講演も行われた。各賞の受賞者と受賞業績は次の通り(敬称略、受賞者、受賞業績題目)。
 〈第70回日本土壌肥料学会賞〉▽大津(大鎌)直子(東京農工大学農学研究院)、「グルタチオン分解経路の解明を通じた植物のイオウ代謝制御研究」▽程為国(山形大学農学部)、「土壌・植物系における炭素・窒素の動態に及ぼす土地利用管理と気候変動の影響に関する研究」▽三宅親弘(神戸大学大学院農学研究科)、「光合成の酸化障害回避メカニズムの解明と植物栄養診断法の開発」
 〈第30回日本土壌肥料学会技術賞〉▽徳田進一(農研機構中日本農業研究センター)、「茶園・野菜畑における環境保全型土壌管理技術の開発」▽林哲央(道総研酪農試験場天北支場)、「積雪寒冷地の施設栽培における土壌診断および肥培管理技術の高度化とその利活用」
 〈第43回日本土壌肥料学会奨励賞〉▽佐藤匠(ナガセケムテックス(株)播磨事業所)、「アーバスキュラー菌根菌の有機態リン酸可給化機構と農業利用に関する研究」▽鈴木一輝(新潟大学農学部)、「農耕地における土壌微生物生態に関する研究」▽西垣智弘(国際農林水産業研究センター)、「サブサハラアフリカにおける土壌保全と作物生産性向上に資する肥培管理に関する研究」▽Nguyen Thanh Tung(山形大学農学部)、「耕畜連携水田における養分収支と土壌肥沃度維持に関する研究」▽Raj Kishan AGRAHARI(東京大学大学院農学生命科学研究科)、「遺伝子発現データを使ったゲノムワイド関連解析と化学遺伝学による新規アルミニウム応答機構の発見」
 〈第14回日本土壌肥料学会技術奨励賞〉▽鈴木基史(愛知製鋼(株))、ムギネ酸類誘導体の実用化研究▽和田巽(岐阜県農業技術センター土壌化学部)、「土壌診断に基づく適正施肥を推進するための生産現場適用技術の開発」
 〈日本土壌肥料学雑誌論文賞〉▽宇野功一郎、中尾淳(京都府立大学大学院)、奥村雅彦(日本原子力研究開発機構)、山口瑛子、小暮敏博(東京大学大学院)、矢内純太(京都府立大学大学院)、「放射性セシウム捕捉ポテンシャルから推定されるKd値と実測Kd値との誤差要因の解明」▽森下瑞貴、石塚直樹(農研機構農業環境研究部門)、「ドローン空撮画像の教師なし分類による圃場内土壌区分図の作成」
 〈SSPN Award〉略
 また、同大会で特別招待講演をする予定だった国際土壌科学連合(IUSS)のVictor O.Chude会長は急遽来日取りやめとなったものの、後日、日本土壌肥料学会ホームページにて、同会長による講演動画「土壌学における国際的課題と若手研究者への期待」、「国際土壌科学連合の役割と現在の活動」が公開された。ここでは前者の一部概要をみる。
 土壌は地球上の供給、調整、支持などを含む幅広い生態系サービスを提供しており、人類の生存はこれらの重要なサービスを提供する健全な土壌に依存している。土壌の劣化は目に見えずゆっくりと進行し、農業生産量を低下させ、生物多様性の喪失を加速して、環境ショックに対する地域社会の回復力を弱める。世界的な食料安全保障、生態系の健全性、持続可能な開発は全て人為的・自然的要因の両方による土壌劣化のリスクにさらされている。健全な土壌は、生産力や生物多様性、貯水、炭素回収などの生態系の機能を備えており、土壌の健全性は農業生産と生態系サービスの提供の両方を継続的に支えるものである。
 土壌科学は持続可能な農業や環境管理、気候変動へのレジリエンスの中心として長い間認識されてきたものの、健全な土壌の保全に対する現在の行動は不十分であり、土壌専門家を育成するためのパイプラインは弱く、断片化されている。人口増加や食料不安など世界の変化に対応するために若手専門家への投資が緊急的に必要である。若手専門家に高度な科学的知識を身に着けさせ、教育を行うことで、将来を見据えた解決策が見いだされ、より持続可能で回復力のある未来を創造する世代の可能性が切り開かれるだろう。

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