取り組み事例:炭を土壌に施用/土づくり特集

土壌炭素貯留量を増加させ、間接的に大気中のCO2削減に貢献する技術として、土壌へ炭を投入する取り組みがある。木材やもみ殻等を炭化した炭を土壌に施用することで、植物が生育中に吸収したCO2を難分解性の炭素として土壌中に蓄積。炭に含まれる難分解性の炭素は、作物残渣や堆肥等の有機炭素と比較して土壌中で分解されにくく、長期間にわたり土壌中に貯留される。
農林水産省がまとめた「環境保全型農業直接支払交付金取り組み事例」から、炭の投入の事例を拾った。
〈北海道・地域特認〉
令和5年度実施状況は、実施面積:33ヘクタール、実施地域:オホーツク。令和5年度から地域特認取り組みとして、推進。初年度の令和5年度はオホーツク地方の北見市で取り組みが行われている。対象品目は、イモ、野菜類で、タマネギで取り組まれている。
主作物タマネギの栽培期間の後、10月頃に、購入した木炭、もみ殻くん炭など、植物を炭化して製造した炭50キロ/10アールを圃場に投入。植物由来の炭を圃場に施用することで、土壌中に炭素が留まり、大気中に放出される二酸化炭素が減るので、地球温暖化の防止に貢献できる。
北海道では、「北海道クリーン農業推進計画(第7期)」等に即し、土づくりを基本に、化学肥料や化学合成農薬を必要最小限に留めるクリーン農業の取り組みを推進している。この取り組みの普及とともに環境保全意識が向上したことをきっかけに、炭の投入の取り組みが進んだものと考える。今後も、クリーン農業の普及と本交付金を活用した炭の投入の取り組みの推進を図っていく。
〈山形県・地域特認〉
令和5年度実施状況は、実施面積:63ヘクタール、実施地域:鶴岡市。本交付金の創設以前から当該取り組みは実施されていたが、本交付金の普及が進んだことで、取り組み件数及び取り組み面積が拡大している。県内の取り組み面積は、令和2年度3ヘクタール、令和3年度8ヘクタール、令和4年度49ヘクタールと増加傾向で推移しており、庄内地方の水田地域において、主作物は水稲において取り組みが行われている。県内で取り組みの多い庄内地域では、鶴岡市を中心に取り組みが行われている。耕起前の4月頃に、ブロードキャスタ等を用いて、炭(もみ殻くん炭等)を50キロ/10アール施用している。
この取り組みにより、地力の維持や土壌の物理性の改善、ケイ酸補給による生育の向上などの効果がみられている。
県では有機農業の推進のため、県内の熟練有機農業者を「やまがた有機農業の匠」として認定し、新たに有機農業に取り組む農業者に対して、栽培技術や経営指導などのサポートを行う体制を設けている。本交付金における県内の有機農業取り組み面積は、令和2年度626ヘクタール、令和5年度726ヘクタールであり、増加傾向で推移している。特に、ソバにおける取り組み面積が増加している。
〈滋賀県・地域特認〉
令和5年度実施状況は、実施面積:96ヘクタール、実施地域:長浜市、甲良町、彦根市等。平成24年度から地域特認取り組みとして、推進を行っている。県内では、湖東地域、湖北地域を中心に取り組みが行われている。対象品目は水稲、野菜、果樹、茶で、多くは水稲において取り組まれている。
甲良町では環境にやさしく食味の良い米づくりを目指し、町内の7つの農業法人により、「甲良集落営農連合協同組合」を設立。土壌の有用微生物の増殖効果等が良食味米生産につながることを期待し、炭を圃場に投入している。
炭は木炭を用い、12~2月頃に1500リットル(150キロ)/10アール前後の量を投入している。現在、5つの農事組合法人が共同生産に取り組み、安定した供給量を確保している。地元企業と連携して、炭と堆肥を混ぜた資材を開発。良食味と安定供給によって、独自の農業ブランドとしてPR。大手量販店と契約を結び、需要に応じた生産・販売を実現している。









