現地の精米所をみる/機械で拓くアフリカ農業(4)

AFICATコートジボワール視察の連載4回目は、精米の現場を紹介する。
精米所については、前回に引き続き、ヤムスクロの北にある灌漑地区450ヘクタールで米を生産しているCORISAK(サカス米生産者組合)を取り上げる。CORISAKでは米を生産しているほか、2009年から精米事業を実施。しかし、機械が壊れてしまったことから組合自身では精米を行っておらず、農機サービスプロバイダーのCAFREX(compagnie africaine d'expertise agricole)に精米事業を委託。現在はCAFREXが精米所を運営しており、事務所内に精米機が設置され、稼働している状況だった。
事務所に案内してもらうと、広い敷地内に入ってまず目に飛び込んできたのが、屋外で籾を天日干ししているもようだった。地面にシートを敷き、籾を広げて日光と風にさらして乾燥させている。また、敷地内にはクボタ製コンバインなども数台置かれていた。
事務所の建物内に鎮座していたのは幅・高さ・奥行きとも3メートルはあろうかという中国製の精米プラント。銘板を確認すると、ジングウブランドの「NZJ15/20―Ⅲ」で、18・35キロワットのパワーを誇り、質量は1190キロ、処理能力は1時間当たり1100~1400キロで、2008年の製造。CAFREX社長のサンガレ・ブアケ氏に話を聞いたところ、2017年に同機を設置し、精米機の処理能力は新品の時は1時間当たり1・8トンほどだったが、8年間使用した今では同1トンくらいだと語った。この地域の精米プラントはだいたいこのような規模だという。精米歩留まりは62~65%とのことだった。
米の売買量や金額について聞くと、籾の購入金額は、18%の水分含量であれば1キロ当たり275CFAフラン(約71円、1CFAフラン=約0・26円)で、サンガレ氏は年間4000トンの生籾を購入。高い水分含量であるが、これについては「コートジボワールに限らず、籾の買い取りに苦労している地域は、籾水分が多少高くても、汚れていても、夾雑物が混入していても、そこそこの価格で買い取る傾向があると思う」(かいはつマネジメント・コンサルティング・山口浩司氏)。
サンガレ氏は買い取った籾を精米処理して販売しており、精米後の白米の販売金額は1キロ当たり560CFAフラン(約145円)。籾は近隣地域からのみならず、コートジボワール北部などからも購入しているという。そのほか、賃搗きも行っており、精米ベースで1キロ当たり30CFAフランで請け負っていると語った。機械の稼働時間は基本的に1日当たり10時間だが、ピークの場合は夜中も通して稼働させているとのこと。
精米機の使い心地を聞いたところ「概ね満足している」と語り、満足度は80点と評価した。「当精米所には、技術的に優れたスタッフ、機械に精通したオペレータが多いので、他の精米所ではうまく解決できないような問題も解決している」といい、効率をあげるためにエンジンの改造を施しているとも語った。
さらにサンガレ氏は、「機械が老朽化したので、新しく同じ精米機の2台目を購入し、設置したばかりだ」といって、2025年製造の全く同じ機械を我々に見せてくれた。新品の同機は1時間当たり1・8トンの処理能力を持ち、ピーク時は精米機2台を稼働して精米処理に当たっている。さらに今年末には同機の3台目を購入する予定だと語る。「機械を1台買って、問題がなければずっと同じ機械を購入する。同じ機械のメリットは、スペアパーツをまとめて買って使い続けられることや、パーツの在庫がないときでも、パーツが届くまでは1台の機械から部品を取り出して、別の機械にあてがうことができること。一番避けたいのは、全ての機械が止まってしまうことなので、こうした対策を取っている」と述べた。精米された米も見せてくれたが、非常にきれいな白米だった。
精米所運営における現在抱えている課題について、サンガレ氏は以下を示した。
1つめは乾燥の問題。現在籾は天日乾燥を行っているが、乾燥機の調達がなかなか難しいこと。この問題については、直接天日に干すよりも機械乾燥を行うほうが胴割れ米や乾燥ムラの発生が少なく、品質が安定しやすいことから、品質や歩留まりの向上を図るには、やはり機械乾燥の普及が重要になると思われる。
2つめは圃場ごとに籾販売を契約した生産者が契約を遵守せずに、収穫後に他の業者に売ってしまうケースがあること。この契約不履行の問題は当地域に限ったことではなく、国内全土の問題であるという。
3つめは機械のスペアパーツが常に手に入りづらく、なかなか届かないことだと述べた。
さらにコートジボワールの精米については、米流通の問題もある。視察に同行したかいはつマネジメント・コンサルティングの山口氏によると、日本の米は玄米流通で品質を評価しているが、アフリカをはじめ世界の多くの地域では、農家は籾の状態で売買しているという。籾売買では品質が分からないまま不利な条件で流通されるため、農家もあまり儲からず、営農意欲が上がりづらい。精米して品質を見える化することで正しく評価され、農家が売買時の価格交渉や生産改善を実現でき、高く売れるようになる。米の産地である農村部にCORISAKのような精米所を複数設置し、精米して流通・評価することが同国の米作のさらなる発展にもつながるように思えた。
また、余談になるが、CORISAK視察では、組合の厚意により手作りの昼食をごちそうになり、年1回開催される組合の総会に視察団一行が招かれて歓迎されるなど、心温まる手厚いおもてなしを受けた。屋外集会所でふるまわれた昼食では、主食にはキャッサバを粉末状にした「アチェケ」または米を、主菜には肉または魚を選ぶことができ、同国産ワインも提供され、和やかな雰囲気のもとで現地の食事に舌鼓を打った。視察を通して食したコートジボワールの食事はどれも非常においしく、白米のお供に適したおかずが多いので、日本人にも合うように感じた。さらに総会では、組合代表者から我々の訪問に謝意が述べられ、「日本の皆さんに生産現場を見てもらい、いかに機械化が重要であるかを分かっていただけた。これからも日本の皆さんの協力と連携に期待する」との挨拶をいただいた。
さて、ヤムスクロやブアケなど、中央~北部の主産地で生産した米は、幹線道路を南下し、アビジャンをはじめとした消費地の都市部に運ばれ、販売へと至る。
次回は、アビジャン市内のコートジボワール・コメ流通業者協会(FENDRIZ―CI)にて、JICAが進める技術協力プロジェクトPRORIL2(国産米振興プロジェクトフェーズ2)で導入した(株)サタケの光選別機ならびにカンリウ工業(株)の石抜き機が活用されていた様子を紹介する。









