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令和7年9月29日発行 第3569号 掲載

インタビュー:森林総研林業工学研究領域領域長・山口浩和氏/林業・環境機械展示会特集

 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所は、森林・林業・木材産業と林木育種分野を総合的に扱う国内唯一の中核的な試験研究機関だ。国の政策や社会的要請に対応し、国、地方公共団体、独立行政法人、産業界といった関係機関と緊密に連携し、業務を総合的・効果的に実施、政策課題の解決に貢献している。林業工学研究領域では、木材生産や森林バイオマス資源の収穫を省力で低コストかつ安全に行うため、▽森林資源の効率的収穫作業システム▽森林路網の基盤整備技術▽森林作業の安全や効率化・軽労化技術▽林業機械の改良や制御技術―の開発に取り組んでいる。山口浩和領域長に最近の機械化の動きについて聞いた。
 ――現在の林業機械化の進捗や現状をどう見ていますか。
 山口 日本国内の高性能林業機械の台数は、1980年代後半に初めて導入されて以降、着実に伸び続けています。2023年度末には1万5000台を超えました。
 日本の素材生産量の約9割が高性能林業機械を使用したシステムによって担われているとの試算があります。国内においては造材・集材等の木材生産工程を中心に機械化がかなり進んでいると考えられます。もはや、高性能林業機械なしには林業が成り立たない状況になっているといえるでしょう。現場で使われている機械作業システムも、各地域の特性に応じて機械を選択・組み合わせるなどして、大方定着しているのではないかと思います。
 また、林野庁の補助事業等を活用して開発された新しいコンセプトの機械が林業現場に導入されるようになっており、日本の山の条件に対応した独自の機械化も徐々に進んでいる印象です。
 ――現状を踏まえた上での課題と今後の方向性をどうお考えですか。
 山口 機械化は順調に進んでいますが、今後見込まれる林業労働者の減少や、依然として高い水準で推移している労働災害の発生等の課題に対応していかなければなりません。
 林野庁が策定しているイノベーションプログラムで示されているように、林業機械の自動化による労働生産性の向上と労働負担の軽減、さらには伐倒作業等の危険な作業の機械化、遠隔操作化・自動化等により、作業の安全化を進めていく必要があります。
 一方、これらの機械が導入できる林業現場は限られています。自動化等の技術が実際の林業現場に適応されるようになるまでには、まだまだ時間がかかるでしょう。未来を見据えた技術と合わせて現場に即戦力として活用できる技術の開発も同時に進めていく必要があると思っています。
 木材生産工程の機械化が進んだ一方で、造林作業の機械化が遅れており、再造林率の低迷の要因の一つになっていると考えられます。今後、持続的に木材生産を行っていくために、造林作業の機械化・省力化を推進していく必要があります。
 ――研究所としてどう対応し、どのような研究に力を入れていきますか。
 山口 近年、施業地の奥地化が進んでいます。土場までの距離が長くなる傾向にあることから、フォワーダ集材工程が作業能率の面でしばしばボトルネックになっています。また、フォワーダによる作業道からの転落事故等の災害も毎年のように発生しています。
 こうした状況を解決するために、森林総研ではこれまで様々な技術的手法により、無人走行フォワーダの研究・開発を進めてきました。
 現在、林野庁補助事業において(株)諸岡と共同で実施している自動走行フォワーダについては、幅員3メートルの起伏のある作業道において実証試験を実施するなど実用段階にあるといえます。今後は、システムとしての労働生産性を高めるための複数台運用や予防安全に関する技術の高度化を進めていきます。
 また、フォワーダ荷台への丸太の積み下ろし作業を無人化する研究開発を進めています。これまでに開発した深層学習により映像から丸太とその位置を検出する技術や、LiDAR(ライダー)の3D情報からフォワーダ荷台上の丸太積載位置を検出する技術とロボットオペレーションシステム(ROS)等を組み合わせることで、丸太の積み込み作業の自動化を林業現場において実現しました。今後は、実用レベルまで作業能率を向上させる技術開発を進めるとともに、丸太の積み込みから運搬までの完全な無人化技術を推進していきます。
 一方、機械操作の半自動化やオペレータの操作支援など、より早期に実現可能な省力化・安全化技術についても研究開発に力を入れています。
 例えば、グラップルローダによる荷役作業などは操作が煩雑で、1日作業を行うと疲労が蓄積し、運転操作のミスにもつながるので、こういったところをサポートし、今ある現場の問題を解決しながら、段階的に現場への普及を進めていくことが現実的だと考えています。
 造林作業の機械化については、苗木運搬の省力化を目的として、これまで電動クローラ型1輪車の開発を進めてきました。この機械はあくまでも人の作業を補助するための機械であり、画期的な省力化と効率化のためには、やはり自走型の造林機械が必要となると考えています。
 そのため、現在、傾斜不整地にも対応できる小型の造林作業用機械の開発をメーカーと共同で力を入れて進めています。
 ――ご自身がいま現在注目しているテーマや研究内容は。
 山口 現在、他産業分野では、AIを活用したロボット技術が進展しており、特に近年のLLMの開発により加速化しています。林業のような複雑な作業環境では、従来の自動化技術では対応しきれないことが想定されますので、AI・ロボット技術を活用した機械の自動化、自律化が間違いなく必要となってくると考えられます。
 最も厳しい環境にある林業において実現するのは、かなり先の話になってくるかと思いますが、まずはAI化に活用できる作業情報を収集する基盤技術の開発を進めていく必要があると考えています。

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