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令和7年9月22日発行 第3568号 掲載

土づくり推進フォーラム講演会から:土壌診断用いた土づくりが有効/土づくり特集

 土づくり推進フォーラム(松本聰会長、事務局:一般財団法人日本土壌協会)は8月7日、都内千代田区の日比谷図書文化館大ホールならびにWebにて、土づくり推進フォーラム講演会を開催した(既報)。今回のテーマは「有機農業推進のための土づくりの現状と将来展望」で、これには全国から会場・Web合計260名以上が参加した。一部概要をみる。
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 北海道立総合研究機構中央農業試験場主査・小谷野茂和氏は「秋まき小麦の有機栽培における安定生産技術」について講演。有機小麦粉はパン用途などでニーズがあるものの、国内産麦類のうち有機栽培はわずか0・1%に留まっており、慣行栽培と価格差があることから、安定生産できれば高収益が期待できる。そこで、秋まき小麦の有機栽培における安定生産技術(播種期、施肥法、雑草抑制法)の確立や、病害(雪腐・赤さび・赤カビ)の発生実態の解明について研究を進めた。
 小谷野氏はまず、北海道の秋まき小麦有機栽培の現状について、生産者アンケートをみると、「きたほなみ」「ゆめちから」等を栽培しており、いずれも慣行栽培に比べて、播種期は2週間程早く、播種量は多い、地力は高い場合が多い、施肥量は少なめだが生産者により幅があることなどが判明した。有機栽培は茎数淘汰により穂数が減るため収量を制限してしまい、早期播種では特に穂数が少なくなることから、少し多めの播種で収量を改善できるという。
 3月中旬に雪上施肥した実証では、発酵鶏ふん中の窒素が徐々に溶出し、穂数や収量が改善した結果を得た。また、窒素施肥量は、きたほなみは10アール当たり12キロ程度、ゆめちからは同16キロ程度まで増収。両品種とも同16キロまでタンパクが増加していた。
 他方、地力が高い圃場や追肥量が多い場合に雑草量が多くなるが、間作緑肥を行うと雑草の生育量が2分の1~3分の1に留まり、緑肥による雑草の抑制効果が非常に高いなどと語った。
 また、安芸の山里農園はなあふ代表・森昭暢氏(土壌医)は「土壌診断に基づいた土壌生物を活かす土づくり」について講演。広島県東広島市の中山間地域で野菜、稲、果樹、加工品など生産販売している同農園は、土壌診断を用いた土づくりと有機農業に取り組んでいる。土壌診断では断面調査と簡易土壌検査(及び専門機関による土壌分析)により物理性と化学性を診断。土壌断面からは硬さや根張り、土壌検査からはpHや腐食、ミネラルバランスなどを計って、根の活性を高め、品目の特性に合う土壌環境づくりを心掛けている。土壌診断では「アグリノート」などDXを活用し、記録のデジタル化・一元管理を実現。土壌診断に基づく土づくりで土壌内の豊かな生物性を育み、物理性・化学性の安定化へつなげているなどと語った。
 さらに、雑草・緑肥を用いた土づくりを介した3作式輪作を提示。これはイネ科・マメ科・緑肥・それ以外の作物を輪作し、緑肥残渣・雑草をそのまま粉砕して土と混和することで土ごと発酵を行い、自然の仕組みを最大限利用する方法。
 こうした健康な土づくりを続けた結果、土壌物理性については腐食含有率向上や土壌動物の生息域拡大など、土壌生物性はミミズの増加や微生物多様性の拡大などの改善効果がみられたという。
 有機農業は生態系ピラミッドの底辺を豊かにする営みであり、土壌が豊かになると生態系も豊かになり、農地生態系が豊かになると作物の安定生産や農業経営の安定化が可能になるなどと述べた。

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