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令和7年9月15日発行 第3567号 掲載

現地の灌漑水田をみる/機械で拓くアフリカ農業(2)

 AFICATコートジボワール視察連載の2回目は、現地の稲作生産現場の様子をみる。コートジボワールは、トウモロコシやヤムイモ、キャッサバなど国内の主要作物のほとんどを自給自足しているが、米のみが例外で国内消費量の約半分を輸入に頼っている状況である。経済成長に伴い、アビジャンなど都市部を中心に米の需要が増えているうえ、肥沃な平地が多く気候に恵まれた同国は2期作ができ、ポテンシャルも大いにあるものの、生産量が伸び悩んでおり、その要因として、生産性の低い粗放的農業や収穫後ロスが大きいことなどがあげられる。そのうち前者について、JICAによれば、同国の米の作付面積のうち約半分は天水低湿地、残りの半数弱が陸稲、灌漑水田は全体のわずか5%弱だという。同国政府はNRDS2(第二次国家稲作振興戦略、2024―2030)において灌漑面積の拡大や農機サービスプロバイダー主体の機械化推進を掲げており、日本としても灌漑水田の方が米の機械化一貫体系が導入しやすく生産性向上に貢献する余地が大きい。実際に、中部に位置するヤムスクロ周辺などで灌漑整備が進んでおり、今後も灌漑面積の拡大に期待がかかる。ただし、同国の灌漑水田にも課題があり、圃場のサイズや形が揃っていない・不均平・排水不良などといったインフラ未整備と、機械不足による非効率な作業体系の問題があげられる。今回の視察では、その実態を首都ヤムスクロ近郊にある圃場ならびに、ヤムスクロ北のサカスにあるCORISAK(サカスコメ農家組合)にて確かめることができた。ヤムスクロ近郊にある灌漑水田圃場は、視察2日目の夕方に視察。ここは元々はEUが資金を提供し、国がFIRCA(農業研究・支援専門家間基金)に委託して実施した「キャッサバ及び市場園芸セクター開発支援プロジェクト(PRO2M)」の野菜圃場で、現在は低地の部分にて米を作り、両脇の傾斜地にてオクラなどの野菜を栽培しているとのこと。ここでは、まず圃場にたどり着くまでの道が非常に険しかったことが印象に残っている。舗装された国道から、荒野内の野道に分け入り、木々が生い茂って藪に囲まれた悪路をオフロード車で進むしかないという状況だった。これでは圃場に機械を搬出入するのも、収穫後に籾を搬出して運搬するのも一苦労だろうと感じた。そして、到着したのは、雑草が生い茂る野原の中に、狭い区画の水田圃場が広がっている光景であった。灌漑設備は近くのため池から水を引いている水路が整備されていた。この圃場では中国製(東風井関農業機械)の歩行型耕うん機による耕うん作業の様子を視察。軽装の若いオペレータが狭い圃場内を大きな音を響かせながら、20分ほど繰り返し丁寧に耕うんする様子を確認した。農作業を行っていたオペレータたちに話を聞くと、彼らは農機サービスプロバイダーと契約をして、農作業を行っている農業者であるという。この圃場は「バラクロ」と呼ばれ、合計面積は58ヘクタール。圃場オーナーは地域の精米所をパートナー企業としており、うち15ヘクタールを同社と契約している。その精米所は自ら購入した中国製の耕うん機を提供して農作業を委託し、できた米を同社が買い付ける仕組みになっていると説明した。籾の買取り料金は市場価格で1キロ当たり300CFAフラン(1CFAフラン=約0・26円、約80円)。非常に安く思えるが、農業者らによると「この価格はかなり良い値段」であり、「ここは質が高い圃場として有名で、地域平均は1キロ250CFAフランくらい。収益があがる値段だ」と胸を張る。1ヘクタール当たり4トンの籾がとれ、年間60トンを精米所が買い付けていると語った。また、圃場オーナーはサービス対価として1ヘクタール当たり10万CFAフランを精米所に支払う契約になっており、実際には収穫した籾370キロで支払われていると語った。田1枚1枚が小さく、形がバラバラであり、最大化できていない理由については「圃場を均平化するには小間切れにして、小さくするしかなかった」と言及。これについては、おそらくEUによるプロジェクトにより灌漑水路の設置は行われたものの、灌漑水田にした際に圃場整備は受益者に任せたのでは、などと推測された。活用している農機の評価については「クボタも使ったことがあるが、東風井関とあまり変わらない」とコメント。どの機械を使うかは農機サービスプロバイダーが決めるため、農機サービスプロバイダーと単に契約をしている現場オペレータには選択肢はあまりなさそうである。
 一方、3日目に視察したのはヤムスクロ北のサカスにあるCORISAK(サカス米生産者組合)。ここは450ヘクタールを誇る灌漑地区で、1980年に灌漑圃場の整備が行われ、同地区に2つの生産者組合ができ、2009年に合併して現在の組織となった。組合員は325名でうち女性が68名。灌漑地区は4つの区画に分かれていて各区画は約100ヘクタールで米のみを栽培している。収量は概ね1ヘクタール当たり4トンで、中には同8トンの収量を誇る農家もいるという。農機については、少数の小型機械を所有しているが、耕うんや収穫などは外部の農機サービスプロバイダーに作業を委託。組合がプロバイダーに支払う収穫作業のサービス料金は1ヘクタール当たり約12万CFAフランだという。栽培している米の品種はコートジボワールで好まれている長粒種のGT11、CY2。これらの品種は非常に籾が落ちやすいため、収穫では汎用コンバインが活用されている。

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