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令和7年9月8日発行 第3566号 掲載

代表幹事インタビュー:除雪機安全協議会の取り組み/除雪機特集

 除雪作業時の事故は様々な要因で起きており、中には死亡事故につながるものも出てきている。除雪機製造メーカーでは安全作業啓発のため日農工に除雪機安全協議会を設置し、独自の安全規格を作成して適合する機種に「SSSマーク」を添付したり、事故防止のチラシを配布するなど安全に対する啓発活動を推進している。同協議会は6月に開催された総会において、永岡政敏氏(本田技研工業(株)二輪・パワープロダクツ開発生産統括部完成車開発部完成車研究課エキスパートエンジニア)が代表幹事に就任した。今回、永岡代表幹事に昨今の除雪機事故の状況や、安全啓発への取り組み、協議会の活動などについて聞いた。
 ―昨シーズンの除雪機による事故の実態は。
 永岡 昨シーズンは死亡事故が3件、重症事故が9件、火災が2件、不明が3件、合計17件と把握している。一昨年は合計8件だったため、増加した。昨シーズンは日本海側を中心に大雪になる地域が多く、除雪機を使う頻度が増えたため、事故が増えたのだろう。除雪機の稼働時間が多くなればなるほど、事故は一定数増えてしまう。しかしこういう事故をなくすために、我々は取り組んでいる。
 ―事故の特徴と傾向は。
 永岡 昨シーズン17件の事故のうち下敷きが5件で、内訳は死亡が1件、重傷が2件、不明が2件だった。その他巻き込まれが2件で死亡と重症が1件ずつ、除雪部で手を怪我したのが5件で全て重症だった。火災が2件だが、怪我人はいなかった。その他、製品に起因しない事故があり、死亡が1件、重傷が1件、不明が1件となっている。
 ―事故の年齢的な傾向は。
 永岡 17件の内訳を年齢別でみると、60歳未満が6件。60歳以上が9件で、そのうち死亡が3件、重症が4件、不明が2件で、その他年齢不明が2件となっている。死亡事故の3件は全て70歳以上で、下敷きが1件、巻き込まれが1件、落雪に伴う事故が1件だった。
 一方で、除雪部に手を突っ込んで怪我をした5件は、53歳以下で発生した。事故の特徴としては、デッドマンクラッチ機構が装備されていない旧式の機械の使用、およびデッドマンクラッチ機構を無効化した事故が散見された。
 雪が降る地域は現在、高齢者の方が生活のために除雪しなくてはいけない状況にある。不幸な事故が起こっていることに非常に心が痛む。高齢化に対してどう対処していくのかメーカーや当協議会としても考えていかなくてはならない課題だ。
 ―デッドマンクラッチ機構の無効化についての対策は。
 永岡 除雪機は正しく使えば安全に作業ができるように設計され、テストも繰り返し行われている。一方で、ユーザーが安全に正しく使用していない実態を踏まえた対応も必要と思われる。例えば、デッドマンクラッチ機構を無効化する行為は、ユーザーにとってレバーが重くて疲れるから縛るということもあるかもしれない。安全に使える機械はもちろんのこと、扱いやすい機械を提供するのもメーカーの務めだと思う。無理せず使える機械ならば余裕が生まれて、事故も減るかもしれない。しかし、規格や機械の進化で、安全性を高めることはできるが、ユーザーもその特性をよく理解し、正しく使用しなければ意味がない。当協議会としてユーザーに対し、正しく使うことへの啓発活動に一層取り組んでいく。
 ―除雪機を正しく使うには。
 永岡 除雪機は正しく使っていただくことが前提で、安全な製品であるが、正しく使うということには、点検整備も含まれている。除雪機の販売店は売るだけではなく、オフシーズンにメンテナンスを行う重要な役割がある。使用する時期が決まっている除雪機だからこそ、正しく使える状態に整備しておくことが必要であることを伝えていきたい。
 ―業界の安全に向けた具体的な取り組みは。
 永岡 安全については、例年代表幹事が言っているように、継続的に取り組むことが大切だと考えている。昨シーズンは、会員企業の販売店に加えて、25都道府県、政令指定都市の防災課や735市町村などに3万5000枚の安全啓発チラシと2800枚のポスターを配布した。その他、29の報道機関等に、安全に除雪作業を行っていただくための記事掲載依頼を行った。
 また、自治体からの除雪機安全講習の要請に基づき、講師を派遣した。昨シーズンは代表幹事を派遣し、山形県の長井市、尾花沢市、大石田町、米沢市で安全講習会を実施した。これまでは山形県のみだったが、今後は、他の自治体とも協力し、安全への意識を高めていきたい。
 ―3Sマークの現状について。
 永岡 除雪機安全協議会は現在13会員で構成され、令和6年度の実績でロータリータイプとドーザータイプ合わせて157型式が3S規格に適合している。3S規格に適合していない古い機械が、まだ使われている現状があり、実際、昨シーズンに起こった不幸な事故でも、デッドマンクラッチ機構が付いていない古い機械が使われていた。我々の3S規格に適合した機械が市場に増えれば、事故はかなり減ると思う。事故ゼロに向けて、1日も早く市場に浸透させたい。
 3Sマークは、除雪機安全協議会の自主規格に適合した安全性の高い除雪機ということを表している。これについてもしっかりとPRし、認知度を高めていきたい。
 ―昨シーズンの市場の特徴は。
 永岡 昨シーズンは日本海側を中心に大雪となる地域が多く、2月には強い寒波による降雪があった。しかし降雪のタイミング自体が遅かったのと、その後、降雪が続かなかったことなどが要因で出荷台数としては伸びなかったと感じている。
 ―ネット販売やアウトサイダー対策について。
 永岡 除雪機はメンテナンスが重要だ。ネット販売で購入したユーザーにもメンテナンスの重要性をちゃんと啓発していくということが重要だと思う。また、除雪機安全協議会に未加入の企業には協議会への加入を呼びかけて一緒に国内での安全啓発活動ができればと思っている。
 ―電動化・自動化について。
 永岡 世の中の流れを見ると、電動化、自動化は様々な場面で進んでいるため、除雪機も進化していくと考えている。
 電動化については、除雪機の能力を維持するための高いエネルギーを持ったバッテリーが、まだ開発されていない。パワーを必要とする除雪機の電動化は、コスト面を含めてもまだまだハードルが高い。バッテリーの安全性と性能の向上に期待したい。また、自動化に関しては、車の自動運転などがあるため、除雪機も自動化できるのではないかと思われがちだが、一番の違いは、車は障害物を避けるのに対し、除雪機は、障害物(雪)が作業対象になること。雪を避けるのではなく、雪があるところを進む必要があるため、車とは全く違う技術になる。特に作業中に雪が降っていることもあるため、それらを感知して、判別することは難しい。
 ―除雪機の今後についは。
 永岡 豪雪地域に都市部を形成しているのは、世界でも日本くらいだ。そのため除雪は日本にとって必要な作業であり、国内の除雪機は日本独自に進化している。例えば海外で安く売っている除雪機を、日本で使用するとすぐに雪が詰まってしまう場合がある。海外とは雪の質や量が違うため、日本特有の環境において機械が進化しなくてはならない。
 ―除雪機安全協議会代表幹事として、抱負を聞かせてください。
 永岡 除雪機安全協議会はこれまで、先輩の方々や様々なメーカーが取り組んで、除雪機の安全に向けて着実に貢献してきた。今後もその流れを引き継いで、除雪機の事故ゼロに向けて、できることをしっかりと着実に進めていきたい。
 先日、総会で各会員企業の方々と話をした際、皆さん思いは同じで、事故ゼロに向けて真剣に考え、取り組んでいることが伝わってきた。除雪機安全協議会は、本当に素晴らしい協議会であると改めて感じた。3S規格に適合した製品が市場に浸透し、安全に作業ができる環境づくりをすることで、除雪機による事故ゼロに向けて取り組んでいきたい。
 ―我々も微力ながら応援させていただきます。協議会の今後の活発な活動と成果を期待しております。
 【除雪機安全協議会会員企業】井関農機(株)、(株)Willbe、(株)オーレックR&D、(株)クボタ、(株)ササキコーポレーション、ハイガー(株)、フジイコーポレーション(株)、本田技研工業(株)、三菱マヒンドラ農機(株)、ヤマハモーターパワープロダクツ(株)、ヤンマーアグリ(株)、八鹿鉄工(株)、和同産業(株)(五十音順)

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