各社の対応:実演と提案力強みに/広島県特集

(株)中四国クボタ(江草徹社長)の上期(25年1~6月)の販売状況は、前年同時期と比べ、トラクタは計画目標台数に近づきつつ微減、田植機は前年並み、コンバインは減であった。トラクタは40~60馬力、田植機は8条植え、コンバインは4条刈といったクラスが管内で主流となっている。県北(庄原市周辺)に多い酪農家向けにはトラクタ(70~100馬力)の荷動きも多少あるという。
同社管内では、米価の高止まりが続く中、自社でブランド米を確立してこれを生産する大規模法人などを除くと、一般の米の生産者(小・中規模)は、さほど米価高騰の恩恵にあずかっていないようだ。
今年1月に同社の広島営業部長に就任した田中康成氏は「昨今、県南での離農が多い。そんな中、今年から田植機(PASWEL・4条植え)のレンタル事業を可部と広島の2営業所で始めた。例えば田植機の全損に伴い離農を考えているお客様には、このレンタル田植機を一旦利用してもらい、離農か継続かの判断をじっくり検討していただきたい。少しでも離農の歯止めになれば」と力を込める。
スマート農機関連は、広島北、千代田、世羅の営業所にRTK基地局を昨年から今年にかけて設置。これらの営業所で自動操舵装置を付けたSL600H(60馬力)やMR700H(70馬力)を実演機として採用し、営業マンに向けた研修を実施している。7月からはKSASキャラバンを組み、各営業所でKSASの導入を検討する農家に勉強会を行い、1担当者1件のKSAS導入を目標に普及を加速させている。
田中部長は「KSASは汎用性に優れているため、農機メーカーを越えて導入を進めたい。なお、KSAS対応機を持たずとも、KSASシンプルコネクトというキットを導入すれば、野菜作業機や草刈機などにも対応する」と話す。続けて「これからは、法面での草刈り実演、トラクタと作業機の個別実演、コンバインの時期前点検の徹底に焦点を合わせ、クボタ製品の拡販を図りたい」と意気込む。
ヤンマーアグリジャパン(株)中四国支社(上原茂樹支社長)は、米価高止まりの状況が続く中、広島管内における農家の購買意欲は高まっているとし、2~3反規模の兼業農家なども、この状況を受け、農業を継続する傾向にあるという。広島事務所の山本一朗エリアマネージャーは「このような状況だからこそ、お客様の要望を的確に捉え、それに応じる提案をしたい」と話す。
広島管内の24年度における本機(トラ、コン、田)の販売実績は、23年度に比べて機種別に多少の差はあるが、台数ベースで概ね前年並みだった。トラクタは20~25馬力、田植機は6条植え、コンバインは4条刈といったクラスが主流となっている。
今後の営業、実演においては、新製品のトラクタ「YT120(リミテッド仕様・20馬力)」および「YT225A(リミテッド仕様・25馬力)」を軸に拡販を図る。
両機種ともに直進アシスト仕様のため、直進を気にせず作業に集中できる。また、前後進、変速、ブレーキ操作をノークラッチで行え、作業者の体格に合わせてハンドルの位置を調整できる。さらに、倍速とオートブレーキ機能により小回り旋回ができるなど、コンパクトながら快適な作業を実現するトラクタとして、管内での拡販が期待される。
イベントは11月28~29の両日、広島県立ふくやま産業交流館(ビッグローズ)にて「ヤンマーアグリフェスタ2025」を開催する。同フェスタでは大規模担い手に向けて、ヤンマー製品のほか、各種作業機など、農家のニーズに応じた提案を行い、大型農機の展示など大々的に来場者にPRする構えだ。
山本マネージャーは「セル仕様の管理機『YK400CR』や『YK651MR』の人気が高いのでPRを続ける。また、お客様の資金計画に沿った流れで提案できる購入方法も様々あるので、ぜひご相談いただきたい」と力を込める。
(株)ISEKI Japan中四国カンパニー(曽我部智社長)は、25年1~6月の販売状況について、前年同時期に比べてトラクタおよび田植機は微減、コンバインは増となった(台数ベース)。広島営業部の小泉道也部長は「特にトラクタの販売は5月まで非常に苦戦した。そのため当社製品の値上げのタイミングなどもにらみ、6月に急遽、展示会の開催に踏み切った」と話す。
この展示会は「得特(トクトク)展示会」と銘打ち、同営業部(東広島市豊栄町)の敷地内で6月19~21の3日間にわたり開催。これが奏功し、劣勢だったトラクタの販売を巻き返した。展示会では製品値上げの告知を敢えて行わず、(1)実演・試乗(2)営農(3)メンテナンスに焦点を当て、来場者が「お得感」を抱く工夫をした。
(1)では初の試みとして、会場に土を運び、ブロックを積み上げ、特設圃場を造った。特設圃場ではトラクタ「TQ143(14馬力)」による土あげ・防除、ヰセキ半自動野菜移植機「ナウエルPVHR203(2・2馬力)」を使ったブロッコリーの苗植え、管理機「KCR659(6・3馬力)」での耕うん、畝作りの実演を実施。また、会場に手作りのプールを設置し、自動抑草ロボット「アイガモロボ」を実演。好評を博した。
小泉部長は「メンテナンスと営農の講習のために特設会場を設けたが、両方とも非常に盛況だった。メンテナンス講習は田植機、草刈機、コンバイン、スパイダーモアで各30分行った。中でも草刈機の講習は、50席を用意したが席が足りないほど参加者であふれ返った。また、営農講習では肥料メーカーが解説した高温障害対策(実肥)がとても好評だった」と展示会の手応えを話す。
第3四半期(7~9月)は草刈機、各種作業機の実演に注力し、第4四半期に備える。11月は、12~15の4日間、「農家とヰセキの秋祭り」を開催する。同イベントを今期における営業活動の総決算と位置付け、さらなる製品拡販につなげる構えだ。
三菱農機販売(株)西日本支社(長島史治支社長)の西中国支店(都田力也支店長)の管内では、中山間地域における深刻な人手不足と、草刈り作業に要する膨大な時間と労力が現役農家の負担を圧迫し、これらが相まって離農が進んでいるという。広島北部営業所(三次市和知町)の倉富徹所長は「離農の状況は続くと思う。また前述の状況もあり、草刈り関連商品の荷動きはとても多い」と話す。
24年度の販売実績は23年度に比べて、トラクタは小型が減、中・大型は前年並みとなった。田植機およびコンバインも前年並みだった(いずれも台数ベース)。
県南はトラクタ「XSシリーズ(18~25馬力)」のような馬力帯が主流で、県北は25~35馬力となる。田植機は県南で4条植え、県北は5、6条植え、コンバインは県南で2~3条刈、県北は3条刈以上となっている。
倉富所長は「トラクタは、販売を終了した『GJE33(33馬力)』がこれまで大いに売れた。今後は新たな『GJEシリーズ(28、35馬力)』の拡販を図りたい。田植機はXPSシリーズおよびペースト施肥田植機が好調。ペースト施肥仕様は全国での実証試験を積み重ね、ようやく農家にその良さが浸透してきたと思う」とし、「コンバインは『V450A(4条刈)』が好調だった」と話す。
これからはXSシリーズを軸に、各種作業機を付けた実演を行う。また、トラクタ「GA」および「GM」シリーズに好評のディスクハロー「KUSANAGI(45~60馬力のトラクタに対応)」を付けた実演も行っていく。管内ではアスパラやキャベツの生産が盛んだが、これに係る農機の動きは少なく、引き続き米の生産者に向けた関連農機の提案に注力していく。8月8日に発売した新製品「KUSANAGI Plus(60~105馬力対応)」の拡販も適宜行っていく。
(有)迫農機商会の迫真治社長は、米価の高止まりの影響もあり、「追い風にはなっている印象だ。受注が増えているためか一部の製品が入らず、モノがない状況が続いている。一方、1町以下の兼業農家は米価高騰の恩恵は受けていないと思う。このような農家は農機の更新が難しいため、中古農機を求める。これも難しい場合は農作業を委託する事例が多い」と話す。
同社では、農家が求める中古農機がない場合、機種に応じて農機を貸し出している。特に田植機の依頼が多く、農家が中古の田植機を手にするまで同社の田植機で当座をしのぐ場合もある。トラクタは、農家が希望する中古機を、同社のツテで掘り起こすよう努めている。また、草刈り関連機器のレンタルが非常に活発で、特にラジコン式草刈機やフレールモアが人気だという。
トラ・コン・田のレンタル事業は車のそれと違い、操作の指導、管理場所の確保、洗浄、整備ほか、手間のかかる作業が多く、農業分野ではそれほど浸透していないのが現状だ。迫社長は「レンタル事業もやり方だと思う。レンタル専門のスタッフを置き、レンタル業務に空きが出た場合は農機事業に専念してもらう。そんなイメージで、この7月から弊社では、農業求人サイト『あぐりナビ』で、野菜・稲作の収穫・請負作業、農機の整備・修理といった仕事を行う人材を募集している」と話す。
24年度の販売実績は、前年度に比べて約115%と伸長した。今年1~6月はヤンマー製品のほか、秋商品やバッテリー仕様の草刈機が好調に売れ、例年より増で推移した。
今後について、「特に専業農家は実演会を通じて農機を買う傾向にある。引き続き実演会を軸にお客様との横のつながりを大切にして活動したい。お客様からの相談が毎日あるため、顧客訪問などの時間はない」と苦笑する迫社長だが、口コミで同社を訪れる人は後を絶たない。









