AV普及に期待/農電協がセミナー開催

農業電化協会(庄子和博代表理事)が8月31日まで配信していた第4回農業電化セミナーでは、「営農型太陽光発電」にスポットを当て、試験研究機関や民間企業でその推進に携わっている4氏が講演した。その中で、「これからの農業GXと営農型太陽光発電」を話した堀尾正靭氏(東京農工大名誉教授、共生エネルギー社会実装研究所所長)の要旨をみる。
気候過酷化の対策で研究や情報発信を進めてきた堀尾氏は、農業GX(グリーン・トランスフォーメーション)に関しては多様な技術的提案があるが、(1)エネルギーの輸入とCO2の逆有償輸出を必要とするのか(2)自国の再エネを活用するのか―という視点で明確に振り分けることができるとし、(1)が国の支援で進められているものの、その場合の電力・ガス価格は現在の倍以上になる試算がなされており、国産の自前再エネ電源を確保していれば、火力発電電力よりはるかに安価に電力・エネルギー調達を行うことは自明であろうと述べた。
同氏らが2050年を想定した推算例(関東1都7県、中部5県、関西2府4県ごとに、小水力、地熱、バイオマス、PV:太陽光、AV:営農型太陽光で再エネによる供給可能性と電力需要を比較し、それぞれ需要量を上回る可能性がある)を示しながら、(1)景観=ハウス農家が密集している地域に類似し、拒否されるほどとは考えられない。中山間地や棚田などの原風景といった場所は含まない(2)生物多様性=ハウスに比べ開放的であり、水田の場合は生物多様性に親和的(3)遮熱性=猛暑日が増加する趨勢にある今、水分蒸発量を抑える効果からも二重の意味で農業生産に寄与するポテンシャルをもっている。ため池太陽光発電の場合は蒸発抑制による貯水量の保持と遮光による水草の繁茂防止にも役立つと指摘。年間総量ベースで再エネ100%が不可能ではなく、営農型太陽光発電の相対的な重要性は、同氏らにとっても大きな発見だとした。
ただ、実際の普及の歩みは遅く、その原因として(1)電気に関する専門知識が必要で、距離感がある(2)行政の農業担当課、農協などに相談できる人がいない(3)農地転用を必要とするが、農業委員会には知識がない(4)経費を試算しても工事費が高い、融資が受けにくいことなどから二の足を踏む―などがあり、解決には行政や農協に同発電の実務研修を行う、農地転用の認可などの農業委員会が行う業務を外部の認証機関に委任できるようにする、融資を受けやすくする―などの改革が必要と説いた。加えて、農機メーカーには、従来の内燃機べースの農機の発想を超えて作業形態、給電、運転管理などについての常識を破り、これからの電化農業にふさわしい新機軸の開発を期待。施設農業については、すでに上物が設置されており、軽量のパネルが構造物強度にふさわしいとし、ペロブスカイト太陽電池市場形成をにらんだ積極的な補助制度が導入されればと思う、と締めた。









