MENU
令和7年9月8日発行 第3566号 掲載

たまねぎ直播栽培のポイント/クボタ・WEBセミナー

 (株)クボタ(北尾裕一社長)は7月30日、「たまねぎ直播のススメ 栽培の安定化に向けたポイント解説」と題したWEBセミナーを開催した。
 同社農機国内本部技術顧問の菊池昌彦氏と、農研機構九州沖縄農業研究センターの松尾健太郎氏が、たまねぎ直播の栽培技術やポイントについて解説。要旨は次の通り。
    ◇
 たまねぎ直播栽培は育苗・定植の物財費や固定費を削減できる。移植栽培に比べて作業時間を大幅に短縮でき、根の伸長が旺盛で球肥大が良好。リン酸種子直下施肥の効果で多収が期待できる。
 うね立て栽培の問題点は低温や暴風で苗が傷むこと。播種深さが浅いので直射日光を浴びると、種子の周りは乾燥しやすく高温になりやすい。
 直播栽培を安定させるための栽培技術として▽溝底播種技術▽リン酸種子直下施肥技術があり、溝底播種技術は保水性を向上させ、温度環境を改善する。リン酸種子直下施肥技術は施肥効果の向上と、リン酸肥料の使用量の削減が期待できる。
 たまねぎ直播機はクボタのオンリーワンの機械。うね立て+うね上溝成型+播種+リン酸種子直下施肥+農薬施用の5つを1工程で作業する。
 ▽表層の砕土率を高める逆転ロータリ▽排水対策の高うね成型▽乾燥に強くなる溝成型▽初期生育促進のリン酸種子直下施肥▽溝底へ精度の高い播種▽害虫対策の農薬散布▽水分保持のための鎮圧―で構成されている。
 うね幅150センチ、うね高さ20~25センチ、天面の幅100センチ、条間は20または24センチの4条植えで深さ約5センチの溝を成型するのが基本的な栽植方法。種子は溝底に、リン酸肥料はその直下に施用する。
 これまでの実証で得たクボタの知見から、たまねぎ直播栽培のポイントを紹介。品種と播種時期について。直播栽培には極早生以外の品種でコート種子の使用がベスト。極早生が難しいのは播種時期が早く、豪雨や高温時のリスクが高いため。
 播種時期も大切。その地域の移植栽培の播種時期より1週間から20日間程度、遅くすること。それより早すぎると抽苔、遅すぎると収量が確保できないといったリスクが生じる場合がある。
 安定生産のためのポイントは(1)土壌条件(2)気象条件(3)リン酸種子直下施肥技術(4)雑草・病害虫管理―の4つ。
 1つ目は土壌条件。黒ボク土壌が最適。出芽から株立ちが安定し、収量が良好という結果も。土性は軟らかく、保水性が高いことが特徴。
 砂質土壌は乾燥の影響を受けやすく、粘質土壌は砕土性が悪くなりやすいため、考慮が必要だ。 初期除草剤の使用判断は土壌条件が深く関係。土壌pHは6・0~6・5程度に調整しよう。
 たまねぎの種子は吸水力が弱く、乾燥によって発芽・出芽が不安定になるので周辺土壌が適湿であることが大切。播種時の鎮圧が弱いと、土が細かく、適湿でも種子との密着による吸水ができないので、鎮圧を確実に。
 水田利用の場合は排水対策が重要。湿害による影響を避けるために確実な地表排水と補完的な地下排水の施工を行う。
 2つ目は気象条件。最新動向をチェック。特に播種から1カ月程度の出芽~初期生育の期間は気象の安定性が重要。播種後の早い段階で大雨が降ると溝底播種の溝の肩部分が崩れて有用な機能が失われ、播種深度が深くなる。土性によっては降雨後の乾燥で土壌表面が板状に硬化する「クラスト」が形成され、出芽率が大幅に低下。播種後数日以内に雨予報がある場合は溝をなるべく作らないオプションを使用し、出芽率の低下を抑える。
 発芽の適温は15~25度で適温との温度差が大きいほど発芽が遅くなる。 過去の気象記録をふまえ、最新の気象予測、気温の推移と降雨の1~2週間予報を確認し、最適な播種時期を探る。
 3つ目はリン酸種子直下施肥技術。溝底播種+リン酸種子直下施肥によって、▽出芽が促進される▽初期生育が促進される▽収量の増加が期待できる▽溝底播種とリン酸の局所施肥を組み合わせると相乗効果がある―といった利点が得られる。
 土壌診断を行い、圃場の有効態リン酸量を把握して施肥量を決定する。有効態リン酸量が100ミリグラム/100グラム以上なら無施肥かリン酸成分で10アールあたり5キログラム。それよりも少ないなら10キログラム。かなり少ないなら15キログラム、その分、基肥からリン酸を減らす。
 4つ目は雑草・病害虫管理。播種後の除草剤には「ゴーゴーサン乳剤」と「グラメックス水和剤」がある。圃場の雑草量の多少や土性でグラメックス水和剤+ゴーゴーサン乳剤の組み合わせか、ゴーゴーサン乳剤のみを選択するかを検討。除草剤は砂質土壌や大雨で薬害が発生しやすい。
 移植栽培より直播栽培の方が在圃期間が長く、べと病感染リスクが高い。出芽は良好でもべと病多発で低収となった例も。徹底した防除が大切。
 虫害にも要注意。ネキリムシ類、ヨトウムシ類による被害が発生している。タネバエ対策のダイアジノン粒剤5の施薬機のダイヤル設定を間違えないように。
 セミナーの視聴は次のURLから。https://agriculture.kubota.co.jp/event/webinar/20250730-onion/archive.html

カテゴリー別最新ニュース