7年度水田収益力強化ビジョン:競争力高い米づくり/山形農機展特集

山形県は、これまで地域の特色ある魅力的な産品の産地を創造するための地域の作物振興の設計図としてきた「水田フル活用ビジョン」を発展させ、高収益作物の導入等による収益力強化や、畑地化を含む水田の有効利用を含め、産地としての課題と対応方針等を明確化した「水田収益力強化ビジョン」を策定した。令和7年度のビジョンの中から、各種取り組み方針を紹介する。
少子高齢化を伴う人口減少の進行や食料消費における選択の多様化・嗜好の変化等を背景に、国内における米の消費量は一貫して減少傾向にある。また、生産者の高齢化による担い手不足や農地の減少が進行する中、同県農業産出額の低下や荒廃農地の増加等が懸念される。加えて昨今の国際紛争等による輸入農産物・物資の不安定化や円安の進行に伴い、肥料・飼料や農業生産資材の価格が高騰するなど、生産現場では生産意欲の低下や営農継続の危機などを招き、農業を取り巻く環境は大変厳しいものとなっている。
こうした状況の中、次に掲げる課題に対応しながら、需要に応じた主食用米の生産はもとより、非主食用米や畑作物、高収益作物の導入拡大、低コスト・省力化や高付加価値化等の競争力の高い米づくりを推進するほか、担い手の育成・確保、農地集積・集約化等の促進に取り組み、本県の水田農業全体を活性化していく必要がある。
(1)消費者・実需者ニーズに対応した米づくりの推進
国内消費市場が長期的に縮小していく中、全国の米の主産地において食味を重視した新品種の開発、ブランド化の取り組みが進められており、産地間競争が激化している。このため、消費者・実需者のニーズに応えながらブランド力を高めていく必要があり、それらのニーズを踏まえ、生産者、農業団体、行政等が連携して高品質良食味米生産技術の普及拡大等を図り、より多くの消費者、実需者から支持される米づくりを推進していく必要がある。
(2)消費者・実需者への情報発信
各種広報媒体やSNS等のコミュニケーションツールを活用して、米をはじめとする県産農産物に関する情報を積極的に発信することで、生産者と消費者・実需者とのマッチング等を促進し、利用拡大を図る必要がある。
(3)経営の複合化による所得確保
主食用米については、米価安定のため、引き続き需要に応じた生産を推進する必要があることから、国の交付金等を最大限活用し、非主食用米への転換や国産品の需要が高まっている麦や大豆の作付推進、高収益作物の生産拡大等、地域の実情に応じた農業経営の複合化を図るなどして、農業所得を確保していく必要がある。また、地域の条件に合わせた作物の適地適作を進めることが重要である。
(4)担い手不足への対応・生産性向上
本県の農業経営体は法人化等により大規模化が進む一方、担い手の高齢化等により経営体数は減少している。本県農業の持続的発展に向けて、新規就農者や経営力のある高度な人材、地域農業を支える多様な担い手による組織などの育成・確保を支援しつつ、地域計画の見直しを進めながら、これらの地域の担い手への農地の集積・集約化を一層促進することが必要である。また生産性向上を図るため、水田農業の低コスト化・省力化の取り組みとして、農地の大区画化や用排水路のパイプライン化等の基盤整備のほか、自動給水栓の導入、超省力農業機械の実証や熟練農家等のノウハウに関するビッグデータの活用等によるスマート農業技術の普及・拡大を進めていく必要がある。
(5)農山村地域の活性化
県内の耕地面積の多くを占める中山間地域は、食料を安定的に供給する生産の場であるとともに、美しい景観・自然環境、特色ある伝統文化等、多くの資源を有している。一方で、農家数の減少や生産者の高齢化、用排水施設等インフラの維持管理費用の負担増加、及び野生鳥獣などによる農作物被害の拡大など多くの問題に直面している。平坦地に比べて農業生産条件が不利な農地が多く、大規模農業経営が困難な場合も多いことから、小規模農家や兼業農家等が、付加価値の高い農業生産を行ったり地域資源を活用したりすることで、農業所得の増大と雇用の場を確保しながら、多面的機能や地域コミュニティを維持していく必要がある。









