農家ルポ:北澤正樹さん(上山市)/山形農機展特集

上山市の本庄地区で農業を営む北澤正樹さん(51歳)は、米をはじめ、土地の特産であるサクランボや干し柿を作っている。
先祖代々の農家で、北澤さんで6代目となる。東京で農業を学び、卒業後、22歳で就農した。就農時の耕作面積は2ヘクタール程だった。現在は23ヘクタールまで広がり米を栽培している。品種別の作付け面積は、コシヒカリが7ヘクタール、ひとめぼれが10ヘクタール、雪若丸が5ヘクタール、つや姫が1ヘクタールだ。その他、サクランボを50アール、干し柿用の柿を120アールで栽培している。現在は北澤さんをはじめ、父、母、妻の家族4人で作業を行う。
北澤さんは現在、23ヘクタールの全てで特別栽培米を作っている。土づくりから、堆肥を入れて、無農薬で環境に優しく、安心安全でおいしい米作りを行っている。米作りのこだわりは堆肥だ。堆肥作りは近隣の牧場・養鶏場と連携して行っている。「稲刈り時に出る藁を近隣の牧場に渡し、エサなどに使ってもらう。籾殻は牧場と養鶏場に持っていく。牧場と養鶏場からは鶏糞と牛糞をもらい、それを混ぜたものを堆肥に使用している」という。圃場で出た原料が再び堆肥として圃場に還ってくることとなり、資源の循環ができている。
「藁や籾殻、糞など処理するのは大変。また、肥料の価格は毎年上がっている。今後は価格が上がっても続けていける農業をしていく必要がある。そのために資源を循環させる農業を確立していきたい」と語った。
北澤さんが所有する農機は、トラクタが4台(GV600、GA32、GS180、GFA13)、田植機が1台(LV―8D)、コンバインが1台(V―698)で、三菱農機を中心に使用している。
今年新たに100馬力のトラクタGVK1000を導入する。「60馬力のトラクタを使用して約20年になる。作業中にトラブルがあると困るため購入した。今回は重量を重視した。今後牽引作業が増えると見込んで購入を決めた」という。
北澤さんと三菱農機との付き合いは長く、父親の代からで、もう40年ほどになる。担当しているのは三菱農機販売(株)東北支社南東北支店山形天童営業所の鏡章利所長だ。鏡所長が担当になってから約20年になる。「機動力があり、対応も早く的確でとても助かる。今回購入したトラクタも鏡さんに相談して、100馬力に決めた。長年の付き合いから、倉庫の中のどこに何があるかわかっている」と笑い、鏡所長に全幅の信頼を寄せている。
北澤さんは自分の米作りの他に、近隣農家の刈取り及び乾燥調製作業を請負っている。最初は2軒のみだったが、次第に増えてきて現在は16軒になった。「皆、乾燥を委託したからこそ、続けられる農家であり、今ではそれぞれが栽培面積を広げている。果樹農家で最初は米関連の機械を持っていなかった人が、今では3ヘクタールで米を作っている。そのような人がいるからこそ、この地域は耕作放棄地がない」という。
他にも草刈り作業など、近隣農家では「北澤さんに頼めば何とかしてくれる」と、様々な依頼が舞い込む。
北澤さんも頼られると断れない。また常にやってみないとわからない。とりあえずやってみようと考えているため、「多少無理な依頼でも請負ってしまう」と笑う。
しかし、自分がひとつの仕事を手伝うことで、その人に一日でも長く農業を続けてもらいたいという考えから、依頼はなるべく断らない。それが地域農業を守ることにつながっている。
来年には、長男(23歳)が就農する予定だ。現在アメリカの果物農場に研修に行っている。1年半の研修で、今年12月に帰ってくる予定だ。
「新潟の学校に通っており、急に電話で農業をすると伝えられた。海外の果物農場を自分で見つけて、研修に行きたいと言われた。普通の大学に入学したので、寝耳に水だった」という。しかし鏡所長によると、以前長男と会って就職活動について聞いた時に「親父の仕事以上に魅力のある仕事が見つからない」と言っていたそうだ。
多くの人に頼られ、大変な時でもそれを感じさせず、常に楽しそうに農業をしている父親の姿は、長男にとって憧れであり、魅力ある仕事に見えたのだろう。
今後の目標を伺うと、「まずは法人化を目指す。その後のことは、来年就農する息子と話し合って、これから何をしたいか決めていきたい」と話した。「就農時の2ヘクタールから23ヘクタールに広がったが、21ヘクタール分農業を辞めた人がいると思うと寂しい部分はある。しかしこの地域は、皆がしっかりと米を作っている。誰かが受け皿とならなくては」と北澤さんは力を込めた。多くの農家が一日でも長く農業を続けられるようにし、地域農業を盛り上げる北澤さんを今後も、三菱の農機がサポートしていく。









