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令和7年8月25日発行 第3565号 掲載

農家ルポ:本田郁也さん(酒田市)/山形農機展特集

 山形県では国内外における「食産業王国やまがた」としての農産物のブランド確立を推し進めている。世界に誇る山形ブランドを支えているのが、高い技術力と農産物への熱い思いを持った生産者。安心で安全でこだわりを持った農産物を届け続ける生産者に、作業のポイントや農産物への想いなどを伺い、山形農業の今を取材した。
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 酒田市で稲作を営む本多郁也さん(ほんた・ふみや)は、今年5月に本多農園を法人化し、24歳という若さで代表を務めている。就農したのは5年前。祖父母、奥様と4人で35ヘクタールの面積で米を栽培している。
 品種と面積は、つや姫が6ヘクタール、雪若丸が2ヘクタール、はえぬきが20ヘクタール、ひとめぼれが6ヘクタールの他、飼料用米としてふくひびきを1ヘクタールで栽培している。
 高校の工業科を卒業し、関東の企業に就職。工業部品の設計を行ってきたが、20歳の時に帰郷し、祖父の下で稲作を手伝い始めた。「当時は25ヘクタールの面積を祖父が1人で作業していた。休日に帰ってくる度に一緒にやらないかと誘われていた。そして帰ってくる度に、故郷の良さを改めて感じていた」ことから帰郷を決心したという。また、奥様の存在も大きかった。高校の同級生で学生時代から付き合いをしていた奥様は卒業後、偶然にも就職先が関東であった。本多さんが「農業をしたい」と伝えたら「いいよ」と言ってくれたという。2人で帰郷、20歳の時に結婚した。
 帰郷してからは祖父と共に作業を行い、米作りを一から勉強してきた。また、酒田市が主催する就農者のための学びの場「もっけ田農学校」に通い、知識やデータに基づいた稲作を学んだ。
 「祖父が長年の経験や知識で行ってきたことが、知識やデータで示され理解できるようになった」と、ますます農業に興味を持ったという。
 現在は「24歳農家夫婦の日常」という動画をYouTubeで配信している。米作りの作業の様子や農業に関する様々な話題を検証する内容だ。
 本多さんが手伝う前の米の売り先はすべて業者だった。これからは個人販売を伸ばしていきたいと考え、それを伝えるためにSNSを活用するようになった。
 「製品に生産者の顔写真が貼られていることはあるが、種まきから収穫までの過程は見られていない。生産のこだわりや作っている様子を、買っていただけるお客さんに少しでも映像で伝えたいと思い配信を始めた」という。今では動画を見て興味を持って米を購入する人も増えている。
 「昨年から一部の田で乾田直播を始めたが、今年は春先に雨が多く、なかなか播種できなかった。そのため慣行の移植に切り替えざるを得なかった。急遽、苗が必要になったが、その時にSNSで相談したところ、酒田や鶴岡の農家から声がかかり譲ってもらうことができた」と、他の地域の農家との交流も生まれている。
 現在本多さんが所有する農機は、トラクタがクボタのMR1000の他2台、田植機がNW―8S、コンバインがER6120だ。クボタとの付き合いは10年ほど前から。本多さんは「サポートが良い。対応が早く、すぐに来てくれる。分からないところもすぐに教えてくれる。やっぱりクボタだ」と、信頼している。
 担当しているのは、(株)南東北クボタ本楯営業所の田近雅也販売係長だ。サービスを担当していた田近係長は以前から修理対応で本多さんの下を訪れていた。3年前にセールスに異動し、本多農園の担当になった。「機械のことは完璧で、任せっきり。年齢も近いので話も合う」と、絶大な信頼を寄せている。
 まだまだ勉強中という本多さんは、師匠である祖父から日々知識や技を吸収し、1日でも早く祖父から認めてもらえるように努力を続けている。
 今後の目標を聞くと、「この地域も高齢化が進んでおり、離農する人が増えている。年配の方たちは何かをやっている時は元気だが、辞めてしまうと変わってしまうことが多い。辞める人たちもまだまだ絶対できる人たちだ。何かできることを一緒にやっていきたい。皆が元気であれば、地域も盛り上がる」と、地域全体の活性化まで視野に入れている。
 本多さんの祖父は長年市会議員を務め、地域に貢献してきた。幼い頃からその様子を見てきた本多さんには、自然と地域へ貢献する気持ちが育まれてきたのだろう。とはいえ、今後祖父と2人で地域を支えていくにも限界がある。そのために法人化して、人を迎える体制を整えた。
 近年の米価の高騰について「おそらくずっとこのままいくことはない。その間に資金を貯めて、いろいろなことに挑戦したい。米が安い時代をちょっとでも経験したからこそ、今頑張ろうと思う。儲けなきゃ面白くないし、儲からないと誰も農業をしない」ときっぱり。
「自分の作ったものを食べて、美味しいと言ってもらえることは嬉しい。決して安くはない米を、毎回買ってくれる人がいることにやりがいと責任を感じる。祖父は通販もSNSも反対せず、何でもやれと言ってくれる。まだまだ祖父の足元にも及ばないが、いつか追い越したい」と、本多さんは力を込めた。
 これからも本多さんの様々な挑戦をクボタの技術と農機がサポートし、共に地域を盛り上げていくだろう。

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