木質系新素材の開発・実証/躍進2025林業機械(31)

先に林野庁は、「令和7年度林業機械・木質系新素材の開発・実証に関する林野庁補助事業の実施事業者及び取組概要について」をまとめ、公表した。林業イノベーションの推進に向けた取り組みとして行う、令和7年度当初予算で進める「戦略的技術開発・実証事業」と令和6年度補正予算の「林業機械・木質系新素材の開発・実証事業」の取り組み課題だ。今週は、木質系新素材の開発・実証事業として行われる取り組み内容のポイント、事業効果などをみる。
令和7年度の「戦略的技術開発・実証事業」で進められる木質系新素材の取り組みは、「改質リグニンの産業化を促進する材料リサイクルと副産多糖類利用技術の開発・実証」。(1)再生材料への需要の高い自動車部品等を念頭においた、改質リグニン含有の各種材料のリサイクル技術を開発する(2)改質リグニン製造時に生じる副産多糖類の糖化試験を行い、その利用可能性を評価する―を主な取組内容とする課題だ。
実施主体は、国立研究開発法人森林研究・整備機構を代表に、共同事業者として、国立研究開発法人物質・材料研究機構、東京工科大学、石川県工業試験場、地方独立行政法人大阪産業技術研究所、(株)宮城化成が名を連ねている。
取り組む開発・実証内容は、改質リグニン系材料のリサイクル技術の開発として、(1)改質リグニンの複合材料のペレット及び成形品について、紫外線による表層の劣化部分と内部の未劣化部分のマテリアルリサイクル技術を開発する(2)改質リグニンを含有させた熱可塑性繊維強化材料(FRTP)の溶解リサイクル技術を開発する(3)熱硬化性樹種のマテリアルリサイクル技術を開発する。
また、副産多糖類利用技術の開発では、改質リグニンの製造条件、副産多糖類の性状及び糖化性の関係を解明し、バイオエタノール原料としての最適化の方策を検討する。
林野庁では、リサイクル技術の開発により、市場への訴求力を高め、改質リグニンの社会実装を促進させる、としている。
一方、令和6年度補正予算の「林業機械・木質系新素材の開発・実証事業」で進めるのは「非レーヨン系竹綿系の国産生産プロセス技術の開発・実証」。エシカルバンブー(株)を実施主体とする取り組みだ。
国内の放置竹林など、竹の有効活用のあり方が求められる中、国産竹の高付加価値製品を開発し、竹資源の利活用を促進、山村地域の活性化に貢献することを目的に掲げている。
事業では、(1)国産竹を原料に、製造時に化学薬品を一切用いない、環境負荷の少ない綿糸の製造を目指す(2)竹単繊維を極細形状に解繊するとともに、紡糸に適した綿状の単繊維団塊に加工する技術を開発する。
開発・実証内容の1つのポイントとなる、セルロース繊維の取り出しでは、分割した竹材を、自然由来のアルカリ水溶液(竹灰を溶かした溶液)に加温浸漬させることで、セルロース繊維を取り出す試験を実施。
綿状の単繊維団塊の作成では、機械的処理による解繊と高温スチーム処理による単繊維の膨潤化、打撃式粉砕機による叩解・フィブリル化を経て、ロータリー式カード機で方向が揃った綿状のセルロース繊維団塊を作成する。この他、マイクロスコープによる単繊維フィブリル化の分析・評価、ミニ電動紡糸試験及び試作品の製造・評価等を実施する。
このように木材需要を伸ばす上で欠かせぬ素材としての有効活用の道が広がっている。









