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令和7年8月18日発行 第3564号 掲載

市場と各社の動き:個別実演で需要開拓/岩手県特集

 (株)みちのくクボタ(荻野伸充社長)では田植機が好調だった。その要因としては、「米価格の上昇で、担い手層ではない、これまで更新を控えていた小・中規模農家の更新につながった」(石田善孝取締役専務執行役員アグリ事業本部長)とみる。トラクタはスマート化が進展していることから大型化、高性能化し、金額ベースでは伸びている。
 7月から10%の値上げを行ったが、駆け込み需要は若干程度に留まっている。ただ、「これまで地道な推進を続けてきても首を縦に振らなかった農家が、最近ではあちらの方から、この機械はいくらするんだ、と聞いてくるような状況になっている」と、購買マインドの高まりは感じている。
 当面の課題は、メーカーの在庫不足。「秋ものの乾燥・調製機関係が、メーカーの在庫がない状態なので、それへの対応をどうしたら良いか」と苦心している。「モノがなければ売れないので、7月、8月は、乾燥機メーカーさんにお願いして、きちんと点検・整備を実施し、そこから来年に向けての見込み推進を図っていく必要がある」と対策を考えている。
 コンバイン、田植機に関してはここ数年来、リース事業を推進しており、徐々に浸透してきている。「メンテナンス料も含めれば、担い手農家さんなどは安心して利用できるのではないか」とメリットを強調。「値引き抑制の意味もあってリース提案を進めている」。 秋商戦に向けては、「機械はいつでもあるという時代ではないということを農家さんにきちんとアナウンスしていき、我々も、1シーズン早めの提案に努める」。そのためには、早めの受注に結びつける提案力が試されることになる。
 スマート農機については、大規模農家、野菜農家などに年々普及してきており、KSASと連動のスマート農機を一層推進していく。
 荻野社長は「米価の上昇で市場は盛り上がっているので、その商機をつかんで着実に業績につなげていきたい。また、整備事業は、まだやれることがあると思うので、大きな収益源の主力事業として進めていきたい」と今後の方針を語った。
 ヤンマーアグリジャパン(株)北東北営業部岩手ブロックの機械の動きは「いいですね」と福原勝エリアマネージャー。「去年稲刈りが終わった秋から雰囲気が良くなってきた」との感触を得ている。「米の値段が良かったことと、4月の価格改定の前倒しの受注の相乗効果が大きかった」と分析する。
 機種別では、特にトラクタが好調で、直進アシスト付きの需要が高まっている。コンバインについては「いつも通りの感じだが、大型の動きがいい。5~6条刈の話が多くあるので、今後、詰めていきたい」。また、草刈り関連の実演にも力を入れ、販売につなげていく。輸入機のミノスについては「すごく売りやすい商品」だと言い、ディスクティラー、ディスクロータリなど人気だ。
 営業方針については、「イベントよりは、やはり足で稼ぐという、基本の行動をしっかりやっていきたい」とし、個別実演に力を入れていく。「カタログだけではなく、やっぱり実際に見てもらって、納得した上で、自分の経営に合ってるかどうかを確認してもらうことが大事」だとし、「お客様の課題もそれぞれ違う。それぞれ1人ひとりのその課題を聞き出すことで、次につながっていく」と、顧客へのきめ細かい対応を重視する。
 福原マネージャーは、今年4月、津軽ブロックから転勤となった。岩手全国展に関して「津軽の農家も、大型機械が見られるのは岩手展だということで訪れていた」そう。「今年は、ヤンマー岩手ブロックとしてもっとこの全国展を活用しようという方向で動いている」と、期待している。
 (株)ISEKI Japan東北カンパニー岩手営業部では、米価の影響もあって主要機種は2ケタ台の伸びをみせる。
 高橋武・常務理事岩手営業部長によると、トラクタはBFが昨年発表されて好評を得ている。
 BFトラクタは「実演の効果もあるし、フロントマスクのスタイルの評判も良く、若い人向けともいえる。一番は、ギア変速がショックがなく、自動車と同じ感覚で発進や停止ができる点が評価されているのではないか」と自信をにじませる。
 田植機は8条植えがメーンで、6条植えも伸びている。大型化傾向に加えザルビオ対応や自動直進などが8条タイプは揃っていることで7条植えからシフトしている。
 コンバインは、「いつもは上期は出ないが、大型モデルのジャパンが好調だった」という。
 「米価の上昇が追い風になっているが、やはり歩かなければ販売につながらない。セールスがよく頑張ってくれた」とまず、スタッフの労をねぎらった。
 「足で稼ぐ」が基本姿勢だが、「ベテランは良いが、中堅より下の代になってくると、訪問するための販売ツールが必要になってくる」とし、CHCNAV(自動操舵システム)、アイガモロボ、EGO製品(電動機器)、ザルビオ、資材などを商材として、顧客訪問の機会を増やしている。
 アイガモロボについては、「岩手でも台数は結構出ている」との感触を得ている。全国的にも今年の予定数量は終了しており、来年に向けて推進を継続している。
 草刈り関係ではオフセットモアが徐々に増えており、リモコン草刈機も実演しながら台数を増やしていく。さらに「岩手はスパイダーモアが強い県で、いまだに台数が落ちない。それだけ草刈りの需要があるということ」と、草刈機の市場性に言及した。
 全国農機展ではCHCNAV、ドローン、直進田植機の実演に注力。今回は実演圃場のスペースを倍に増やして臨む。
 三菱農機販売(株)東北支社北東北支店(吉田司支店長)は、青森、岩手の部門が統合し今年4月からスタートした。吉田支店長は基本的には青森・十和田支店に常駐する。
 岩手管内の状況は、1月、2月は米価高騰を受け、米調製機関係、トラクタなど、3月以降は7月からの価格改定を控えての田植機、トラクタの前倒し需要などで好調に推移している。「その中でもトラクタは計画台数をキープ、乗用田植機は計画、前年とも上回るペースで推移している」と吉田支店長。トラクタは36~55馬力の中型クラスが中心。田植機は6条植え、8条植えが中心で、2段ペースト施肥田植機の割合が高い。「青森と比較にならないくらい台数が出ている」と驚くほどで、水沢、江刺地区を中心に導入が進み全体の半数がペースト機となっているという。
 「KUSANAGI」については、適応馬力の制約があり、もうワンサイズ大きい物という要望から新型のKUSANAGI plus HDH2022が発表された。「当社のGVシリーズの105馬力まで対応できるので、畑作地帯など新たなエリア、顧客層への進出を狙う」と気合が入る。自身は、「30年間、三沢など青森の畑作エリアで仕事をやってきた。その経験をもとにKUSANAGI plusの実演の手伝いもしたい」と意気込みを示した。
 岩手農蚕(株)(松田和秀社長)の状況は、「販売、アフター整備とも昨年より良い」と松田社長。とくに整備に関しては「昨年は過去最高だったが、今年はそれを更新した」という状況。加えて、肥料、農薬など資材関係も好調だという。県内ではカメムシの注意報が昨年以上に発令される状態で、農薬が足りない状況になっている。同社では、「ゴールデンウィーク前あたりから、何かまずいなという感じがあって、早めに手当できたので、ほかよりは販売できたと思う」と、早めの仕入れが功を奏した。会社全体の業績としては、資材関係が引っ張った格好だ。
 機械関係では、草刈り関連機器が好調で、乗用モアや刈払機が良く動いた。スピードスプレヤーは、岩手産のリンゴの価格が上がったことなどから伸びた。今年、青森県が雪の被害で収穫量が落ちた影響で岩手産の需要が高まったという。催芽機や溝切機が伸びたのも今年の特徴的な動きだ。また、カメムシの影響で、色彩選別機のニーズが高まっている。
 農機、資材を農家に安定供給するため、日々奮闘している。
 鈴木農機(株)(鈴木雅斗社長)の動向は「主要機をはじめ作業機など小物も含め動きは良かった」と鈴木社長。「昨年あたりから、展示会でも前向きなお話をいただくことが多くなった」との感触で、米価上昇の影響が大きかったと感じている。
 機種別ではトラクタも田植機も好調。コンバインも、いつもより早い段階から注文が入っているという。トラクタは50馬力クラスが中心だが、今年は25馬力前後の小型がかなり出たのは特徴的な動き。米価の影響で「小規模な農家にも購入意欲が出てきたということではないか」とみる。田植機も、「これまで4条か8条かといった感じがあったが、今年は中間層の6条が増えている」と例年にない動き。
 このほか、乾燥機も伸び、また色彩選別機もここ1、2年は安定的なニーズがある。色選については「以前は法人向けが多かったが最近はそれほど大きくない個人層にも導入が進んでいる」。高温障害やカメムシなどの影響が現れている。
 草刈り関係ではスライドモア、自走式に加え、ラジコン草刈機も伸びてきている。
 全体的に前年を上回る
実績で推移しているものの、鈴木社長は「価格の上昇で米がクローズアップされて農業全体の景気が良いように思われがちだが、野菜や畜産などは厳しい状況もあるので、その辺も良くなってくれなければ」と気を引き締める。
 今後の方針については「7月から当社の上期に入ったが、米の値段が良い状況に頼らずに、地道に、コツコツと実演を中心に、お客様に機械を体感してもらう機会を増やしていけば、良い結果につながる」と、地道な営業を強調する。
 阿部農機(株)(阿部洋司社長)における最近の農機の動きは、「弊社の販売エリアは畑作主体の地域が多く、水稲主体のエリアに比べて昨年からの米価高騰の恩恵は少ないように思う」(阿部社長)としながらも「そのような中でも、水稲の規模の大きな農家を中心に購買意欲は高まっている」との感触を得ている。
 主要機は、4月からのヤンマー製品価格改定前の駆け込み需要もあり、特にコンバインと田植機は前年以上の実績となっている。コンバインは共同購入コンバインタイプを中心に4条以上が好調。田植機については6条以上が好調で、直進アシスト機能、除草剤散布機、箱施用剤散布機、苗箱供給機の装着率が高かった。トラクタは前年並みで、40~50馬力クラスが好調。直進アシスト機能、自動操舵システムを装着しての購入が増えている。
 最近好調だった機種は、「昨年末から乾燥機、播種機、催芽機は動きがいい」。今年に入ってからは、フレコン計量器、草関連でスライドモア、ハンマーモアの動きがいいという。
 秋商戦に向けては「高温の影響で稲刈りが早まるように予想される」とし、コンバイン、乾燥機についてはできる限り商談、推進を前倒しして進めていく。「メーカー在庫が品切れの型式が多数ある。今シーズンに納品が間に合わないケースも予想されるので、そのような場合は来シーズンの予約受注を確実に取るようにする」と対策を練る。
 (株)山一本店(田中和彦社長)では、「トラクタが売れている」と田中社長。売っているのはベテランのサービスマンだという。「修理するサービスマンから『そろそろ無理ですよ』と言われると考える。そういう技術がある、売ろうとしない、お客様の立場になってアドバイスできるサービスマンの出番がきた」と言う。草刈機など小物を売るのはセールスマンで「そういう住み分けができつつある。これがあるべき姿ではないか」と考えている。「経営者がセールスマンに過剰なノルマを課して良しとする時代ではない」と。
 最近は「地域の人すべてがお客様だ」と考えているという。「地域の誰もが、草は伸びるし雪は降るし、という中で生活している」。土曜日には非農業の顧客が多く来店する。「仙台に住んでいて手伝いができないので」と、父の日のプレゼントとして草刈機を購入していった人がいた。
 「この仕事は本当に楽しいし、地域に根ざした良い仕事だ」と自負する。地域に密着した個人店ならではの強味を活かし、地域とともに歩む。

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