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令和7年8月11日発行 第3563号 掲載

世界の飢餓人口6.7億人/FAOがSOFI発表イベント

FAO(国連食糧農業機関)駐日連絡事務所は1日、「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI):2025年報告」発表イベントをオンラインで開催した。「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」は、FAO、IFAD(国際農業開発基金)、UNICEF(国連児童基金)、WFP(国連世界食糧計画)、WHO(世界保健機関)の国連5機関が共同で作成する主要な年次報告書。世界の飢餓の撲滅、食料安全保障の達成、栄養の改善に向けた進捗状況などについて、毎年、モニタリング・分析を行い報告している。2025年版では「食料安全保障と栄養のための高騰する食料価格インフレへの対応」をテーマに、2030年までに飢餓、食料不安、栄養不良をなくすという持続可能な開発目標(SDGs)2.1および2.2の達成に向けて、食料価格の上昇がもたらす課題を分析。さらに、近年の食料価格インフレの要因や、それが食料安全保障や栄養に及ぼす影響、そして、これらの影響を防ぎ緩和するために必要な政策対応について取り上げた。開会挨拶に立った外務省経済局審議官の小林出氏は、同報告書を「飢餓撲滅、食料安全保障、栄養改善等に関する客観的なデータに基づく分析を提供し、国際社会がこれらの課題に取り組むベースとなる貴重な資料である」としたうえで、国際機関などと密接に連携し、同報告書を活用して、世界の食料安全保障の強化に引き続き貢献していく旨を述べた。続いてFAOのチーフエコノミストであるマッシモ・トレロ氏が、同報告書のポイントを解説。まず、2024年の世界の飢餓率は8.2%で、2年前に比べて0.5ポイント減少しているものの、いまだに6億7300万人が飢餓状態にある現状を報告。このままいけば、2030年に飢餓に苦しむ人は5億人以上にのぼると推計され、飢餓ゼロの目標達成にはほど遠い状況であると危機感を示した。また、2025年版のテーマである食料価格のインフレについては、食料安全保障と栄養の最大の脅威の1つであると述べ、パンデミック以降、全体のインフレ率を上回るペースで食料価格が上昇し、特に発展途上国に大きな打撃を与えていると指摘した。一方で、同報告書の主要なメッセージの1つとして「食料価格インフレは喫緊の課題ではあるが、克服できないものではない」と明言。課題克服のためには、国や分野、機関を超えた協業が重要で、投資の継続、政策協調の活用、透明性の向上、制度の革新が不可欠であるとした。そして、これらの政策的教訓は、食料価格インフレが食料安全保障や栄養に及ぼす即時的な影響の対応と、SDGs目標2の達成、さらには全ての人が手頃で健康的な食事を実現するという包括的な目標に向けたロードマップを示しているなどと述べた。そして「今こそ、アフリカへの支援に注力すべき。アフリカにおける農業システムの改革を実現できれば、飢餓をゼロに近い水準にまで減らすことができる」と自信をのぞかせた。その後、共同発行機関からの報告として、WFP、IFAD、UNICEF、WHOの各担当者が発言。このうち、WFP日本事務所代表の津村康博氏は、同機関について「国連の食料支援機関として、紛争や自然災害の影響を受けた地域に対する迅速かつ柔軟な食料支援を提供している。また、学校給食や土地の再生、生産者たちのマーケットへのアクセスなどの支援を通じて、地域社会の自立とレジリエンスを支えている」と説明。そのような活動を通じた現状として、パレスチナのガザ地区やアフリカのスーダンでは、紛争などにより安全やアクセスの確保が難しいため十分な支援ができず、深刻な飢餓状況に陥っていると報告。これらの地域で安全に支援できる環境が整えば、飢餓人口を減らすことができると強調した。そして「世界は食を通じてつながっている。今回の報告書が、日本と世界の食の問題を考える機会になれば」と期待を寄せた。

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