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令和7年8月4日発行 第3562号 掲載

階段畑で使える「片側S.マルチ」開発/農研機構

 農研機構は7月29日、カンキツの高品質果実生産技術である「NARO S.マルチ」を技術改良し、階段畑でも適用可能な「片側S.マルチ」を開発したことを公表した。
 高品質果実は、根の周辺の土壌を適度に乾かし、樹にほどよい乾燥ストレスを与えることで生産できる。そのため農研機構では、根の周辺の土壌の乾燥が難しい平坦地でも、安定して品質の高い果実を生産できるシールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)を開発した。ただ、カンキツ類の栽培面積の約6割を占める温州ミカンは、傾斜地で栽培されることが多いため、傾斜のある階段畑でも利用できるNARO S.マルチの開発が望まれていた。
 そこで開発されたのが、片側S.マルチ。階段畑の園地において、植列の山側のみに専用のNARO S.シートを埋設した上で、地表面をマルチシートで覆い、根域の水分制御を行う技術である。効果を得るためには、雨水がマルチシートの上に滞留したり、根の周辺に入り込んだりしないよう、排水設計することがポイント。
 片側S.マルチの実証試験の結果、技術を導入した園地の果実は、従来技術のシートマルチ栽培の果実と比べて糖度が約2度高くなり、高品質な果実を安定して生産できることが明らかになった。
 片側S.マルチは、標準型のNARO S.マルチと同様、(1)雨の多い年や保水性の高い土壌でも、安定して高品質果実を生産できる(2)既に樹が植栽されている園地でも導入が可能(3)通路幅を確保していればスピードスプレーヤなどの機械管理ができ、大規模化にも適している(4)樹勢の低下など、樹の生育に支障がない―などの特徴を有するほか、片側S.マルチならではの特徴として、(5)傾斜地に多い階段畑で、高品質果実を安定して生産できる(6)標準型のNARO S.シートの埋設に係る資材と労力のコストを半減できる―などの利点もある。
 片側S.マルチおよび標準型NARO S.マルチが普及することにより、高品質果実の生産量が増え、国内消費の拡大だけでなく、輸出拡大にもつながることが期待されている。
 なお、農研機構ホームページでは、同技術の概要と実証事例をわかりやすく解説したSOP(標準作業手順書)が公開されている。また、農研機構のYouTubeチャンネル・NARO channelでは、実際に片側S.マルチを導入した生産者の声を紹介する動画「美味しいみかんを作る!~傾斜地向け片側S.マルチ【導入編】」の視聴も可能。

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