稲作の生産性向上へ/農政審議会・食糧部会

農林水産省は7月30日、東京・霞が関の農林水産省講堂で、食料・農業・農村政策審議会食糧部会(大橋弘部会長)を開き、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の策定について諮問した。令和7/8年の需給見通しについては、今後行う米価格高騰の要因の検証等を踏まえて後に決定するという異例の事態となった。会議では、各委員から、稲作の持続性と安定供給の重要性が改めて指摘され、生産性向上に向けたスマート農業の普及に期待が寄せられた。また、出席した小泉進次郎農林水産大臣は、低コスト技術として、節水型乾田直播の可能性に言及し関心を示すなど、稲作の技術革新の重要性が確認された。
会議の開会に当たりあいさつに立った小泉農相は「食料・農業・農村基本計画では、米を増産する方針を打ち出した。将来にわたって生産者の方々が安定的に米を生産し消費者が手に取りやすい価格で供給できるような米の安定供給の実現が重要な課題となっている。しかしながら、米の価格は5月には昨年の2倍と異常な状況にある。これは、消費者の米離れにつながるだけでなく、外国産米の輸入が増え、国産米のシェアを外国産に奪いとられかねず、消費者にも生産者にも好ましくないと考える」と懸念を表明した上で「マーケットの沈静化のために、米対策チームを省内に設置して、随意契約による政府備蓄米の売り渡しを開始した。これにより米価は価格下落傾向にあり、直近では5キロ当たり3585円と、着実に効果が現れている」と、備蓄米放出への理解を求めた。 そして「価格高騰の要因や対応の検証を行って短期、中長期の対策を検討するよう、石破総理から指示を受けている。本日の部会では、各委員の皆様の議論の結果を踏まえ検証結果に反映していきたい」と、各委員の知見に基づく活発な議論に期待した。
農林水産省から、検証のために行った追加調査等の結果等のデータが報告され、既に毎年の報告徴収対象者となっている年間取扱数量500玄米トン以上の集荷業者及び卸売業者等に加え、これらの業者を除く食糧法に基づく届出業者(20精米トン以上を取り扱う者)の全て(約7万業者)を対象に、令和5年7月から令和7年6月の在庫数量等の調査を実施した結果、これらの業者の令和6年7月から令和7年6月の年間取扱数量は、仕入数量ベースで86万9000玄米トンと、前年(令和5年7月から令和6年6月)に比べ2万6000玄米トン増加。在庫量については、これまで調査対象としていなかった500玄米トン未満の業者にも一定の在庫が存在。
令和7年6月末で6万3000玄米トン(農業者・農業生産法人を除けば5万7000玄米トン)で、令和6年6月末の6万3000玄米トン(農業者・農業生産法人を除けば5万6000玄米トン)に比べ1000玄米トン増加と、ほぼ前年並みに推移していることから「どこかに米が溜まっていたということはない」と、流通の目詰まりは確認されなかったことを明らかにした。
また、生産者の在庫数量等に関する聴き取り調査の結果、生産者の出荷数量のうち、JA系統などの集荷業者への出荷数量は前年産に比べ34万玄米トン減少(前回調査では31万玄米トン減少)する一方で、生産者の直接販売等は49万玄米トンの増加(前回調査では44万玄米トン増加)と、生産者の直接販売の割合が高まっていたことも示された。
会議では、中長期的に農家が減少していく中、生産者の低コスト生産や生産性の向上は引き続き必要だとの趣旨の意見が複数の委員から出され、「担い手を集中的に支援する施策に転換するべき。その際、経済界としてはスマート農業などで貢献したい」(経団連)、「収穫量調査の正確性を確保するために、収量コンバインの活用が期待される」(全中)など、スマート農業に関する関心の高さが示された。
また小泉農相は、「先日、節水型乾田直播の現場を視察した。より労力をかけず、低コストで、中山間地域でも取り組みやすい技術でこうしたところへの後押しもしていく必要がある」と乾田直播への支援に言及した。









