北海道立農業大学校:日農機製工が特別授業/北海道特集

日農機製工(株)(西原規恭社長・北海道足寄郡足寄町郊南1の13)は、北海道立農業大学校(北海道中川郡本別町西仙美里25の1)へ外部講師を派遣し、年2回の講義を行っている。今回、6月5日に畑園機械施設演習として行われた講義を取材した。
座学90分、実習90分の計3時間の講義を講師として担当したのは、日農機製工(株)管理部の大嶌良寛課長。年2回の講義を2016年から10年間担当している。5月下旬から6月上旬頃に中耕除草とカルチベータについて、9月下旬から10月上旬頃、ビートハーベスタについての講義をそれぞれ受け持つ。
北海道立農業大学校は、十勝地方東北部の本別町に位置し、240ヘクタールの広大なキャンパスに整備された校舎や農場、牛舎、加工施設などを備え、学生は自ら課題設定した実習に取り組み、農業経営者として必要な知識や技術を習得していく。畜産経営学科と畑作園芸経営学科(定員各30名・2年間)のある養成課程と、農業経営研究科(同10名・2年間)のある研究課程に分かれている。養成課程の多くは就農するが、一部農機メーカーへの就職または農業系大学へ編入する学生もいる。
今回の講義は、畑作園芸経営学科の畑作・野菜専攻の1年生のクラスで行われた畑園機械施設演習。13時10分から行われた教室での座学では、北海道の畑作について、基幹4品目となるテンサイ、豆類、小麦、バレイショの輪作体系、畑と作物栽培、使われる専門用語の説明、雑草による害と除草方法、機械除草の種類と解説、中耕除草の目的やその歴史と変遷、カルチ作業で効果を上げるための条件、「みらくる草刈るチ」シリーズの紹介、カルチアタッチメントのトラクタへの装着方法や構造、基本セッティングなど、細やかに講義した。大嶌課長は「ただ講義を聴くだけだと疲れてしまうと思うので、息抜きに雑学を挟んだり、クイズを出したりしている」とのことで、長らく講義を担当する中で培った経験を基に、その講義内容も工夫して進行していた。
15時10分からは、「草刈るチ」の実機を使用してのセッティングや注意事項の説明を行い、学生が圃場に出てカルチの実演を交代で行った。実演では、注意深くゆっくりと操作する学生、大胆に除草する学生、何度も後方を振り返って作業を確認する学生など様々。学生それぞれの個性が作業に現れ興味深かった。
講義後、学生の指導に当たる教務部の會見拓哉専門普及指導員に話を聞いた。會見氏は「我が校は北海道農業の担い手を育成するための大学校。道内に就農または、農業関係に就職したい学生も入学してくる。中には、全国転勤のある農業系企業に就職したり、道外でイチゴを学びたいなど、例外もあるが、基本は道内で就職、就農を目指して勉強している」と話す。今回の講義を受けた畑作園芸経営学科の今年度の1年生は25名。十勝、オホーツクを中心とした農家の子弟がほとんどを占めるが、道外の東京、京都、鹿児島などからも4名が入学している。いずれも北海道での雇用就農、新規就農を目指している。「例年、道外からの入学者は1、2名いるが、今年は少し多め」と會見氏。昨年は農家子弟ではない一般の学生が7名在籍した。女子学生は3名。畑作園芸では多少の増減はあるものの、女性比率はそれほど変わらない。畜産経営学科の2年生では、女性比率は50~60%と畑作園芸経営学科に比べてかなり多いが、その比率は年次によってまちまちのようだ。募集してくる属性も様々で、農業高校からが主だが、普通科や工業高校からの入学者も。
学内農場での主な栽培作物は畑作では、テンサイ、バレイショ、小麦、豆類。野菜ではレタス、ブロッコリー、スイートコーン、メロン、トマトなど幅広い。「1年生のうちは、農業を総合的に学んでもらうため、色々な作物に触れてもらう。畑作あり、野菜あり、ハウス内作業ありと多岐にわたる。2年生になったら、自分の課題をみつけてそれをテーマに課題を設定し作物管理をする」(會見氏)と話す。
例えば、小麦の収量改善、バレイショの品質向上、テンサイの省力化など様々。農場の管理は畑作、露地野菜、施設野菜の3部門に分かれる。学校の畑作園芸経営学科で持っている土地を、1つの経営体のように全員で管理する。明渠の清掃から耕うん、播種、防除、除草、収穫、作物販売まで、農業に関係する作業は一貫して行っている。農閑期も「冬の間は資材の計画立案、機械整備などを行い、雪解け前からハウスの準備などが始まってくる」(會見氏)と述べる。
他の農業系大学との大きな違いは、実習の多さ。農業系大学は座学が中心だが、道立農業大学校では農家養成を主眼に置くため、実習を中心に就農を見据えたカリキュラムを組んでいる。
さらに會見氏は、他県の農業大学校との違いにも言及する。「他の農業大学校に比べても珍しいようだが、本校は学生が自分でトラクタを運転して実地の作業に当たる。他の農業大学校では、職員が機械に乗って管理作業を行い、その中から学生がデータを取って生育調査をするのが一般的。我が校では、自分たちでプロジェクトを立てて、そのプロジェクトに必要な機械に学生自らが乗って作業する」という。
より実践的な養成学校として機能させており、農家になる前提でそこに向かってカリキュラムが組まれている。「この学校ほど農業をトータルで学べる場所はないと思う。最新研究は農業系の4年生大学の方が進んでいるが、実際に農家になるに当たっての必要な知識や技術をトータルで習得できる。そこが我が校の強み」と述べている。農業に関わる資格も在学中に必須科目として取得する必要があるため、フォークリフトや玉掛け、小型クレーンなど、割安で多くの資格取得もできる。
現在外部講師として講義を担う大嶌課長だが、それ以前は日農機(株)の営業役員が担当していたという。大嶌課長がその前任者から引き継いで約10年が経過する。さかのぼると少なくとも平成初期から講義を行っているようだ。すでに30年の長きにわたって同大学校を支え続けていることになる。
大嶌課長は「農家を回っていると、かつての教え子が就農していて再会することもある。『講義したの覚えてる?』と聞くと『覚えてます』と。そういう意味では教え子もかなりの数になる」と述べた。









