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令和7年7月28日発行 第3561号 掲載

ホクレンRTK・GIS担当者に聞く:スマート技術で貢献/北海道特集

 今やスマート農業に欠かせない技術として浸透している衛星測位信号を利用したGNSSガイダンスや自動操舵。中でもRTK基地局を利用した高精度測位技術は播種など精密農業に必要不可欠なものとなった。
 ホクレンでは令和元年から道内JAにホクレンRTKシステムとしてサービス提供がなされている。そして、令和6年4月からは地理情報システム(GIS)を活用した「ホクレンGIS」が運用開始。北海道農業のさらなるデジタル活用に向けての取り組みを進めている。今回、道内各地で使われ、ホクレン農業総合研究所内で運用しているホクレンRTKシステムと、地理情報システムのホクレンGISについて、それぞれ担当しているホクレン農業総合研究所営農支援センタースマート農業推進課の鳴海浩幸課長補佐(RTK担当)と同課前川健二郎課長代理(GIS担当)に取材した。
 RTK(Real Time Kinematic)は、衛星測位信号と、補正信号により、位置情報のズレを正し、測位誤差約2~3センチを実現。RTK基地局から約20キロの範囲で高精度な作業が可能なRTK方式を採用したのがホクレンRTKシステムである。農機に搭載したガイダンスシステムを利用することで、ハンドルの自動操舵や作業完了範囲のマッピング、作業履歴データの管理が可能となるが、RTKの利用で、そのガイダンスの精度をさらに強化することができる。メリットとして、作業機使用時の掛け合わせ幅の減少や旋回の効率化、作業精度の向上、マーカーの省略、作業軌跡の可視化などがあげられる。
 ホクレンRTKシステムは、サーバーをホクレンで一元管理することで、JA側のサーバー投資や管理コストを削減できる。令和7年5月末時点で、全道63基地局が稼働し、71JAで8399IDが登録。本格開始初年度の令和元年度末の1888ID、41JA、28の基地局から、基地局数で倍以上、利用ID数は実に4倍以上に増加している。
 主な用途は畑作地帯での播種作業や耕起作業、また水稲地域での移植作業等である。主な利用エリアは十勝、オホーツク、空知、上川、後志地方などで多く利用されている。2017年から2カ年の実証を経て、2019年(令和元年)から本格運用がスタートした。 「当初、各JAが基地局とサーバーを個別に設置・運営しており、相応の投資コストをそれぞれのJAで負担していた。ホクレンRTKシステムでは、ホクレンがサーバーを一元管理する形態に移行した。これにより、各JAはサーバー導入や管理コストを抑えつつ、サービスを提供できるようになり、より低価格での提供が可能となった」と鳴海課長補佐は話す。ただし、基地局は半径約20キロ圏内をカバーするため、利用エリアの近くに設置する必要があり、各JAの投資で設置されている。JAがホクレンRTK導入に至るパターンとして、他社システムからの乗り換えと、基地局を持たないJAが新設で導入するという2つがある。
 現在、ホクレンRTKシステムは多くの利用者を有していることから、北海道の農作業において重要な位置づけにあるといえる。このことから、今後の展開として、引き続き全道で安定的な運用ができるよう取り組んでいく。
 次に、GIS(Geographic Information System)は、デジタル地図上に配置した位置情報に対して、データの記載や分析、管理するシステム。その技術が農業分野における効率化の手段の1つとして活用され始めている。この背景から、低コストで利用でき、現場のニーズに合ったGISを提供し、農業全体の効率化に貢献することを目的として運用を開始したのが「ホクレンGIS」だ。
 前川課長代理は「様々な現場ニーズがある中で、ニーズに合った、効率化に寄与できるような機能を提供し、全体としてGISによる効率化の恩恵が享受できるようになることが目的」と述べる。こちらも各JAでサーバーを独自に持つのではなく、ホクレンで一元的にクラウドサーバーを管理し、各JAはインターネットを通じてシステムを利用する仕組み。これにより、各JAのサーバー管理コストを削減できる。また、日立ソリューションズのGISソフトウエア「ジオメーション」をベースに、独自の機能を付加して提供している。
 独自機能の1つに「圃場の高精度測量機能」がある。これは「ホクレンGIS」が「ホクレンRTK」と連動することで、数センチ程度の誤差で位置情報を取得することが可能となるものである。現場でデジタル地図上に精度の高い点を打つことにより、ポリゴン(区画)を自動で作成、畑の形状などを精度高くデジタル地図上に表現でき、正確な圃場管理に役立つ。
 2つ目の独自機能として「小麦収穫集荷支援機能」がある。この機能では、通常、小麦の収穫・集荷作業の中で発生する帳票類の代わりに、NFCという媒体を使用する。品種・耕作者等といった圃場に関する情報をホクレンGISアプリでNFCに書き込むことで帳票類のペーパーレス化を図ることが可能となる。さらには、コンバインやトラック運転手の位置情報も、ホクレンGIS上でリアルタイムで共有できること、地域全体の作業進捗の可視化ができることなど、管理作業のデジタル化に寄与している。
 3つ目の独自機能として「作業支援機能」がある。これは、病害調査や請負作業など、様々な業務に合わせて圃場図に記録する項目などを自由に設計し、現場でデータを入力・管理できる柔軟な機能である。業務内容に応じて、入力項目を自由に設計可能。ホクレンGISアプリを使い、現場で圃場図形をタップしてデータを入力。入力されたデータはクラウドで一元管理される。色分け機能により、作業の進捗状況(例:散布前/散布後)を地図上で視覚的に把握できる。毎年更新される圃場図(誰が、どこで、何を作っているか)のデータから、新たにユーザーの任意で専用のマップを作成して、マップに含まれる圃場に業務に必要な属性項目(例:病害調査の進捗等)を比較的簡単に、自由に設定することができる。これにより、様々な業務の進捗管理や情報共有を効率化する。 例えば、病害虫調査の際に、「調査済みか否か」、「被害の程度(大・中・小・なし)」、「調査担当者」、「調査日」といった項目を予めユーザーが設定できるなど、フレキシブルに活用できる。担当者はアプリで圃場をタップし、現在の状況を入力する。これにより、調査の進捗や結果がリアルタイムで共有・管理される。融雪剤散布や農薬の請負散布などのコントラ作業でも使用が想定される。受注した圃場の図形に対して、「散布済みか」「いつ散布したか」「何を撒いたか」といった情報を紐づけて管理する。「散布前(緑)」「散布後(赤)」のように色分けすることで、未作業の場所が一目でわかる。
 また、4つ目の独自機能として「作物集荷支援機能」がある。この機能は、バレイショなど、コンテナで集荷する作物を対象とした集荷支援機能である。生産者がQRコード((株)デンソーウェーブの登録商標)を使って集荷を申請し、その位置情報を元に申請したコンテナの位置が地図に印刷された配送票を配送業者と共有することで、集荷作業を効率化する。コンテナに貼付されたQRコード付きの荷札を生産者がホクレンGISアプリで読み取り、集荷を申請。申請時に位置情報が自動で送信される。アプリ申請により、例えば電話での聞き間違いや受付時間の制約がなくなることや、土地勘のないドライバーでも地図情報をもとに正確な場所へ集荷に行ける利点が期待できる。生産者がアプリで集荷申請をすると、その情報(位置情報含む)がクラウドに送られる。農協の担当者はその情報を見て配送票を印刷。配送票には地図が含まれており、配送業者はそれを見て効率的に集荷に回ることができる。これにより、従来の電話やFAXによる申請の手間や問題を解消する。
 ホクレンGISは令和6年4月から本稼働を開始。サービス開始当初、7JAだったが、令和7年6月時点で契約数は10JAに拡大した。今後は、既存機能の紹介や現場のニーズ把握を進めながら、さらに多くのJAに推進していく。システムはJAごとに契約し、環境が提供される。JAは、PCクライアントと呼ばれるPCソフトや、スマホで利用するホクレンGISアプリを通じてシステムを利用する。「まだ本稼働から1年余りのため、まずはシステムの利便性が伝わるように推進していきたい」と前川課長代理は話す。
 今後活用事例が増えてくれば、使い方に対するアイデアも増えていくと予想されるため、これらの紹介によりユーザーの利便性がさらに高まるものと期待している。

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