市場の動向:農業産出額2890億円/長野県特集

(株)関東甲信クボタ(冠康夫社長)の長野県内における実績について、今年1月から中部営業事業部(井野順二事業部長)に赴任した同社執行役員中部営業事業部副事業部長兼第7営業部長・横田真吾氏に話を聞いた。昨年は会社全体で過去最高の売り上げを更新した同社だが、長野県内においても、昨年の売り上げは「計画を達成した」と横田氏は振り返った。特に昨年前半は、7月の価格改定に合わせて、改定前に戦略機種を定めて拠点ごとのイベントを実施した営業戦略が当たり、概ね計画通りに推移したという。
そうした「スタートダッシュで需要を掘り起こして上期に売上げを稼ぐ、前半勝負の形」(横田氏)は今年も続いている。今年1~5月の長野県内の実績は、好業績だった前年よりも売上げ・受注ともプラスを達成。トラクタは前年並みを維持し、特に田植機・コンバインの受注が増えた。上期の営業戦略としては、従来の訪問・実演などに加え、展示実演会を各地で行い、農業者の注目を集めた。内容をみると、3月に実施した春の展示会をはじめ、今年も7月の価格改定を控え、例年7月に実施していたサマーフェアを前倒して「2025サマーフェア価格改定直前展示会及び実演会」を同社グループをあげて開催。長野県では安曇野スイス村にて、6月11日に担い手向けの「プレミアムフェア2025」、12~13日に「サマーフェア価格改定直前大展示会」を大々的に開催し、大勢の農業者が来場。GS(直進アシスト)シリーズなどスマート農機をずらりと並べたのはもとより、各種の関東甲信スペシャル機といった一押しのクボタ製品はもちろん、作業機などを扱う富士見会メーカー、その他関連メーカーも出展。また、プレミアムフェアでは新製品発表をはじめ、クボタ技術顧問による営農特別相談会なども行い好評を博した。「田植機8条クラスや高馬力帯のコンバインなど、大型機を中心に多くの受注があった」と横田氏。担い手はもちろん、一般農家も機械の大型化が進んでいるという。また、県特有の需要として他県に比べて草刈り関連機器の売れ行きが良く、法面草刈機GCシリーズやスパイダーモアなども人気を集めた。今年上期は「前半勝負」の言葉通り、好スタートを切れたようだ。
今年後半については、県内で催す大きなイベントとして、10月下旬に大型トラクタ・輸入インプルイベント実演会「Mトラ・スクール」を開催予定。これは大規模農業にうってつけのM7トラクタと、輸入インプルメントを複数揃えて実演を行い、試乗体感してもらうもので、期待がかかる。また、富士見会メーカーなどと連携を図り、クボタ製品及び関連商品を取りこぼしなく拾うほか、活動量を増やして積極的に新規顧客開拓を図ると語った。秋前にコンバイン整備台数を増やすなど、修理整備サービスにもこれまで以上に力を入れる。「スマート農機は関東甲信クボタ」のスローガン通り、KSASやGSといったスマート農機をはじめ、果樹向けのSSや高所作業機、野菜農家向けの管理機や野菜移植機など、地域・拠点ごとに実演などを行いアプローチを進めていく。「年前半の好調をつなげていけるように、提案を続け、力を尽くしていく」と横田氏は力を込めた。
ヤンマーアグリジャパン(株)関東甲信越支社(杉山靖彦支社長)の長野県内の農機実績について、系統推進部(長野県・山梨県担当)の渡邉哲也課長に話を聞いたところ、昨年度の実績は「グループ全体で県内全ルートとも好調に推移し、3月の決算では各部門が計画を達成した」とした。台数ベースではやや苦戦したものの、農機の大型化・高性能化の進展により、金額面ではアップしたという。
この要因としては昨年4月に実施した価格改定に向けて、それを見据えた先行契約・受注推進を進めたことがあった。価格改定前に大口の駆け込み注文を行う動きが相次ぎ、需要を先取りしてコンバインなどがよく動いたという。ヤンマーの収穫機械は独自構造で高い性能を誇ることから、高価格帯の製品であっても「絶対ヤンマー」という固定客が多く、そうした熱心なユーザーによる更新需要を取り込んだ形となった。また、低価格帯においてもJAグループの共同購入コンバインであるYH448A(4条刈)の認知・理解が広がり、県内担い手の主な需要は同機よりやや大きいものが主流であるが、YH448Aと比較したうえで、それよりやや大型のコンバインを選ぶ動きがみられ、更新需要の掘り起こしや比較対象の意味で効果があった。
「全体的にトラクタ・田植機・コンバインとも大型化・高性能化が進んでいる」と語る渡邉氏。特に乗用田植機は直進アシスト仕様が売上げの8割を超えた。また、トラクタにおいても中型クラスが活発に動き、さらに効率的な農作業に取り組みたいニーズから、作業機とのセットがよく動いている。「昨年度は作業機が前年比2倍の伸びを示した」と振り返る。
さらに、修理・整備事業も好調。県内にヤンマーグループの大型整備センターを3カ所有し、高性能農機の普及台数が増えたことによりメーカーしか対応できないような修理整備案件の件数が増えているという。
こうした流れを踏まえ、今年度の事業計画も前年とほぼ同等の事業目標を掲げる。今年4月に価格改定があり、反落があったものの、5~6月には前年並みに回復。今年度の重点取り組み項目としては、夏の一大イベントであるJA農機&資材フェスタが取りやめになったことから、代替としてJAが拠点ごとに行う展示会に積極的に参画し、直進アシストトラクタ・ラジコン草刈機などのスマート農機をはじめとした商品の紹介や体感試乗、実演などを展開していく。
今年度の重点取り組み機種としては、昨年度に試乗実演を丁寧に重ねてきた輸入作業機ディスクロータリーYDPシリーズを示した。昨年度、大規模担い手に試乗体験してもらった際に「ヤンマーが私達に喜びを与えてくれる作業機を出してくれた」と高い評価の声が寄せられた同機について、今年度はいよいよ本格普及を図る。「秋起こしの際にはディスクロータリーを前面に押し出して耕うん実演に取り組んでいく」と力を込める。
また、昨年同様に草刈り関連機械、直進アシストの田植機やトラクタ、コンバインなどもプッシュしていく。収穫に向けてコンバインの計画的な実演を進めるほか、ソバ農家向けの汎用コンバインも、これから普及を進める製品だと語った。
また、野菜作向けには、長野県とともに推進している平高畝整形機「ベッドマイスター」BM130CX(M)/BM160CX(M)が好評を博している。これは排水対策に有効な高うね整形が簡単にできる、ヤンマーオリジナルの作業機。湿害から作物を守れることから水田転作畑におすすめの製品だ。今年JA全農長野と共同で同作業機の勉強会も実施しており、農業者から注目を集めている。今後は営業・サービスともに、いつでもしっかり対応できる社内体制づくりにも力を入れたいと述べた。
(株)ISEKI Japan関東甲信越カンパニー(瀧澤雅彦社長)甲信営業部(佐久間孝洋部長)の昨年1~12月の実績について、佐久間部長は前年に比べて「やや苦戦したものの、最終的に微増の形で着地できて良かった」と振り返った。実績を牽引したのは主にトラクタ。10年ぶりにフルモデルチェンジした中型トラクタ「BFREX」BFシリーズが発売2年目となった昨年、本格普及の波に乗り、1年を通して大きく売上げを伸ばした。「県内ユーザーのニーズにも合致し、評価も上々。台数も金額も好調だった」と佐久間部長。その他主要機種は、田植機は微減、コンバインは横ばいだった。昨年7月のJA農機&資材フェスタでも、BFトラクタの売れ行きは好調。また、同フェスタでは昨年新発売した低価格の4条刈コンバインHFR4042/4050を展示の目玉に据え、重点型式としてPR。新商品であるHFRをユーザーに「見て・触って・知ってもらう」目的は十分に達成できた。昨年3月の価格改定の影響は「思ったほどはなかった」と述べ、昨年下期も、上期からの大きな反落はなかった。昨年の実績が増加の形で終わった要因について、佐久間部長は一昨年が厳しい状況だったことから、そこからの回復があったように思うと述べる。販促戦略としては、夏のJA農機&資材フェスタを1つの軸に据え、あとは拠点ごとに個別の実演や展示会などを実施。従来通りの顧客訪問にも力を入れ「行動量を増やして足で稼いだ」と語った。
今年前半の売上げについては、昨年秋から続く米価高騰による市場活況のムードが他県に比べてやや遅れて到達し、第1四半期はあまり大きな動きはなかったものの、「4~6月に大きな伸びをみせた」と語った。今年7月の価格改定に向けて、4月から告知・販促を打ち出し、直前の駆け込み需要を喚起したのが功を奏した。機種別にみると、主要3機種は全て前年比増。稲作関連全般が好調で、特にコンバインの前倒し注文が相次ぎ、高価格帯のFMシリーズなどがよく動いたという。今年発売した自動抑草ロボット「アイガモロボ2」も予想以上の反響を受け好調だったとし、「完売してからも注文が相次いだ」と語った。野菜作関連は野菜の価格下落によりやや厳しい情勢だったものの、果樹関連は昨年秋の豊作を踏まえ、低床トラクタや乗用モアの感触が良かった。
今年の営業戦略としては、JAグループが今夏、各地域で実施する展示会に積極参加し、実演を展開。実演機種は地域別に切り替えるものの、直進アシストトラクタや作業機、草刈機、管理機等の畑作関連機械などを進めていくと語る。また、補修・整備事業においても引き続き力を入れ、各JAから年間を通してコンバインの格納整備を請け負っているのをはじめ、各機種のフル整備や修理などを実施している。
今後重点的に推進したい取り組みは、井関農機100周年キャンペーンのPRをあげた。「100周年を迎えられたのもユーザーの皆様のおかげ。100周年キャンペーンを機に、様々な商品のPRを行うと同時に、感謝の意を打ち出していきたい」とコメントした。
三菱農機販売(株)の県内の農機実績について、同社関東甲信越支社甲信越支店の山内茂徳支店長並びに、関智文・長野系統担当課長に話を聞いた。昨年度の実績は、系統関係ではトラクタやコンバインが販売を牽引。7月のJA農機&資材フェスタはもちろん、4~9月の前半戦で年間実績の過半を稼いだのが大きかったという。
中でも動きが良かったのが18~25馬力のコンパクトトラクタGSシリーズで、特に長野県限定のNS182の売れ行きが好調。GSシリーズは昨年11月に新型コンパクトトラクタXSシリーズにフルモデルチェンジし、長野スペシャルも新たにXN18が登場。発売当初の滑り出しはやや鈍かったものの、耕うん性能のアップや、シートベルトリマインダー等安全装備の充実など、進化した機能の認知が広がり、春先からの展示会で拡販につながった。
また、トラクタとともに伸びたのがフレールモアなどの作業機。コンバインは台数は横ばいだったが、大型機や、汎用コンバインがよく動いたため、金額は増加。田植機はやや苦戦した。
一方の商系は、全体の実績としては横ばい。トラクタは系統ほどの伸びはなかったものの、価格改定やモデルチェンジをきっかけとした小型トラクタの動きが増加したと述べた。昨年度はトラクタが商系の全体を牽引した形となり、田植機はやや伸び悩み、コンバインは横ばいだったとした。
続く今年度の事業計画は前年並みを目指すとしている。4~5月の実績については、系統・商系とも田植機が好調。特に系統では昨年の落ち込みの反動が出て、4~5月の田植機の売り上げは前年比4倍にもなった。
この背景として、関課長は「昨年のJA農機&資材フェスタをはじめ、秋の展示会などでアピールしていたのが実を結んだ」と述べる。また、トラクタも系統・商系ともにXSシリーズ、XN18長野スペシャルの好調が続いている。15PSクラスなど小型トラクタを得意とする同社の提案が県内農家のニーズにマッチしている。コンバインについても6月以降の販売見込みが入っており、「全体的に主要3機種の商談や動きが早まっている」と感じているそうだ。
また、同社の強みである環境負荷低減型の農機も注目を集めており、紙マルチ田植機やペースト施肥田植機の県内での導入が増加。紙マルチ田植機は三菱マヒンドラ農機のホームページで今年1月末まで「トライアルモニターキャンペーン」を募集。これは抽選で30人の有機米生産者に最大3反分の紙マルチ資材と紙マルチ田植機での田植え作業を無償サポートするもので、県内の有機米生産者も当選した。南信にて今年田植えをサポートしていくという。また、その他の地域でも紙マルチ田植機の実演を展開し、「年々環境意識が高い農家の取り組みが増えていると実感している」と山内支店長。
今年度下期については、2025年新商品である三菱トラクタGJEシリーズや、三菱コンバインXCシリーズを大きくアピール。今期実績に反映すべく、各地の展示会などで提案していく。また、三菱ディスクハロー「KUSANAGI」についても、「昨年県内各地で実演を重ねて周知に努め、種まきをした」ことから、今年はその収穫に移る。今年も積極実演を行い、提案をしていくという。さらに、引き続き三菱トラクタXN18長野スペシャルや、JA推奨型式である管理機MFR30Aも大きな柱になると述べる。XN18はデザインの良さで若い世代にも注目されている。新しい世代への求心力をもつ新商品のPRに力を入れていくなどと述べた。









