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令和7年7月7日発行 第3558号 掲載

令和5年度スマ農実証PJ成果:飼料生産にICT活用/トラクタ・作業機特集

 農林水産省農林水産技術会議は、スマート農業実証プロジェクトの成果について取りまとめてホームページに掲載している。ここでは、その中から令和5年度のスマート農業実証プロジェクトにおける採択実証課題の成果報告から、トラクタ・作業機を活用したスマート農業事例をみる。今回は自給飼料を生産している畜産関連の取り組みにスポットを当てた。
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 【令和5年度スマート農業実証プロジェクト初年度実証成果】
 畜産〈(農)清和農場(北海道鶴居村)〉
 ▽実証課題名=ドローン及びAI画像認識と自動ピンポイント農薬散布を活用した牧草地の部分除草体系の実証
 ▽経営概要=400ヘクタール(牧草圃場)、うち実証面積:牧草20ヘクタール
 ▽導入技術=(1)ドローン(センシング)+AI画像認識(ディープラーニング)技術(2)ドローン(農薬散布)(3)セクションコントロールスプレーヤ(4)小型除草(農薬散布)ロボット
 ▽目標=雑草検出・記録に係る時間を50%以上削減する。雑草駆除に使用する利用農薬量を10アール当たり50%以上削減する。経営収支(利益)を10%以上向上させる。
 ▽目標に対する達成状況=雑草検出・記録に係る時間を削減(慣行12分24秒/10アール↓実証1分52秒/10アール。84・9%削減で達成)。利用農薬量の削減(慣行3グラム/10アール↓実証0・54グラム/10アール。2・46グラム/10アール〈81・9%〉削減で達成)。経営収支(利益)は80・4%向上で達成。
 ▽導入技術の効果
 雑草検出・記録時間比較=ドローンを利用した雑草検出(センシング)・記録作業では、慣行作業と比べ作業時間を84・9%削減。
 農薬散布削減量・雑草割合削減量=農薬全面散布と比較し、スマート機器を利用した部分農薬散
布では、散布量を81・9%削減。雑草株数についても従来から71・1%削減となった。
 ピンポイント農薬散布時間削減=スマート農機を利用した部分散布では、人手での散布作業時間と比較し88・8%の時間削減。
 その他=ドローンにより雑草検出データが可視化されたため、雑草検出位置の第三者への通知、共有が可能となった。
 ▽今後の展望・課題
 AI画像認識技術の向上(密集株・タンポポ等の検出)において、学習用データを取得蓄積し技術向上に向け検証する。小型散布ロボットの不具合やドローンの稼働時間等、実用化に向けた課題について機器メーカーと連携して検討を進める。実証経営体における経営収支の改善効果を検証し、スマート農業技術の導入効果を明らかにする。
 畜産〈(有)トールファームほか(広島県庄原市)〉
 ▽実証課題名=庄原市におけるスマート農業技術を活用した持続可能な地域資源循環型農業
 ▽経営概要=実証頭数:搾乳牛170頭、育成牛80頭、実証面積:青刈りトウモロコシ1ヘクタール、稲WCS1ヘクタール
 ▽導入技術=(1)GPSナビキャスタ(2)オートトラクタ+真空播種機(3)オートトラクタ+ハーベスタ、コンビラップ(4)汎用型微細断収穫機(5)RFIDを活用した保管・管理および品質評価
 ▽目標=畜産農家の輸入飼料使用量(乾物当たり)を40%削減、飼料コストを18%削減、耕種農家の稲WCS収穫・調製作業時間の10%削減、青刈りトウモロコシサイレージ施肥・播種・収穫・調製、作業時間の12・5%削減
 ▽目標に対する達成状況=輸入飼料使用量(乾物当たり)を40%削減↓初年度18%削減。青刈りトウモロコシの収穫・調製作業時間の32%削減(76分/10アール→51分/10アール)→初年度35%削減。稲WCS収穫作業時間の53%削減(69分/10アール→32分/10アール)→初年度67%削減。
 RFIDの農業への応用技術としてサイレージ管理を実装可能なシステムとして構築中、生産環境・収穫日・収穫圃場、生産者・品質情報などの項目を設定、読取性能、耐久性能の向上調査を継続中。
 ▽導入技術の効果
 輸入飼料使用量の削減=輸入飼料使用量は29%で18%削減。自給飼料使用量は24%と22%増加。令和4年産の青刈りトウモロコシサイレージの給与により輸入飼料使用量が減少。令和5年度は青刈りトウモロコシの収量が獣害により減少しているが、WCSと調整していく。青刈りトウモロコシの収量を確保し、獣害対策として最新型ドローンの活用を計画。
 スマート農機による収穫・調製時間の削減=オートトラクタとハーベスタ、コンビラップによる青刈りトウモロコシの収穫・調製作業では、作業時間を導入前より35%削減(トラクタの設定・運搬等の準備作業を含む)。3条刈のハーベスタの導入により、従来機(2条刈)の1・5倍の速さで収穫が可能となった。コンビラップによる調製をストックポイントで行うことにより、ロールの破損率を0・5%に削減。オートトラクタの自動操舵・直進制御機能により、収穫作業の精度と効率を向上させる。
 微細断型飼料収穫機による収穫時間の削減=WCS用稲の収穫作業では、作業時間を導入前より67%削減(収穫機の設定・運搬等の準備作業を含む)。細断型ホールクロップ収穫機(従来機)より1・1倍(20分/アール)の速度で収穫が可能であり、走行しながらロールベールを放出できるため大きく改善している。獣害のため一部のデータを改めて収集し実証を継続。
 RFIDを活用したトレーサビリティシステム構築=想定より読取距離が短いため、ロール内の水分量が影響していることを検証。中間材を複数試した結果、金属対応タグ+アルミテープが最も効果があった。普及できるシステム開発を継続。
 ▽今後の展望・課題
 (1)GPSナビキャスタによる施肥(作業時間10%低減を目標)。
 (2)オートトラクタと真空プランターによる播種(欠株率10%減少、作業時間30%低減を目標)は、収穫・調製のスマート機器とともに庄原実業高等学校の大区画圃場6ヘクタールを追加し、青刈りトウモロコシ生産の実証を行う。RFIDの性能精度データを収集できたため、今後は品質情報の項目(成分情報、熟練度、雑草発生量、農薬散布情報、獣害情報など)を考慮し、運用方法の有効性を検証する。

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