MENU
令和7年7月7日発行 第3558号 掲載

「新しい林業」の実証成果⑥/躍進2025林業機械24

 今週は報告書「『新しい林業』経営モデル実証事業3か年の成果~新技術を導入した12の事例紹介~」から、「伐境の奥地化に適応した主伐・再造林作業システムの実証~最新鋭の架線集材システムの導入による重機集材との二刀流へ~」「『伐採・植栽・楽下刈一貫システム』構築事業」「大隅で持続可能な林業を実現する先進林業モデル事業―OSUMIモデル―」の3事例を取り上げる。機械化施業による生産性と安全性の両立や就労環境の改善に向けた取り組みが進められた。
 特定非営利活動法人ひむか維森の会と宮崎大学農学部が進めた「伐境の奥地化に適応した主伐・再造林作業システムの実証~最新鋭の架線集材システムの導入による重機集材の二刀流へ~」は、(1)架線集材におけるICT機器導入の実証(2)ドローンによる資機材運搬の実証(3)アシストスーツによる造林作業の軽労化などを検証するとともに、民有林における立木公売の模擬入札などを実施した。
 報告書では、架線集材へのICT機器の導入によって林業の労働負担や安全性に明確な改善効果が見られた一方で、生産性や導入コストに対する慎重な評価が引き続き必要であることが確認された、と報告。とりわけ、架線集材技術の高度化と再導入に向けては、単なる機械導入にとどまらず、作業システムそのものの最適化と、浮いた労働力の再配分を含めた新しい運用モデル構築が求められると要請している。
 都城森林組合および耳川広域森林組合が宮崎県林業技術センター、豊田通商(株)の協力を得て取り組んだ「『伐採・植栽・楽下刈一貫システム』構築事業」では、管内において多様な技術・機械を用いた実証試験を実施。具体的には、通称都城エディションと呼ばれる4トン4WDダンプによる中出しをはじめ、電動一輪車による苗木運搬、防草シートの耐久性および忌避効果、マルチャーによる地拵え・下刈り、ドローンによる資機材運搬、軽トラックによる苗木運搬などを展開。森林施業の省力化・低コスト化、就労環境の改善に向けた取り組み、検討を行った。
 その結果、短尺材の中出しやマルチャーの活用などによる省力化・軽作業化の可能性を確認。都城エディションの導入により、小規模事業地でも運搬の効率化が可能となり、再造林率の向上や作業の持続性につながる成果が得られたという。一方で、労務単価や資機材価格の見直し、機器導入に伴う技術支援、現場従業員への理解促進など、現場実装に向けた課題も浮き彫りになった、と指摘している。
 「大隅で持続可能な林業を実現する先進林業モデル事業―OSUMIモデル―」は、(株)岡本産業、上野物産(株)、駿河木材(有)、山生産業(株)、大隅森林組合、山佐木材(株)と鹿児島大学農学部が取り組んだ。素材生産50万立方メートルを担う鹿児島県大隅地域における持続可能な林業を実現するための先進林業モデルとして、(1)主伐後の確実な再造林による森林資源の保続(2)次世代の林業経営や従事者のための安全な林業(3)機械伐倒主体の素材生産システムや低密度植栽等の導入(4)ウェブ需給マッチングによる稼げる林業―などに取り組んだ。
 特に主伐では、チェンソーに依存しない機械化素材生産システムの構築を目指し、ロングリーチハーベスタやフェラーバンチャ、グラップルソーといった高性能な林業機械を導入。高性能機械の有効活用には、オペレータの熟練、広面積での連続施業、路網整備などコスト回収に向けた体制整備の必要性を指摘している。

カテゴリー別最新ニュース