「サステナブル」が主題/農機につながる自動車技術最新動向

パシフィコ横浜で5月21から3日間、「人とくるまのテクノロジー展2025横浜」(主催:自動車技術会)が開催された。日本の自動車産業が研究を進める先進技術やソフトウエアは間違いなく次代の農業機械に必要な技術になり得る。
2次電池展と自動車技術展を定期的に観てきた筆者だが、横浜開催の展示会は11年振り。「農機につながる最新技術は何か」との視点で見てきた情報を紹介する。
本展示会はBtoBビジネスを行う企業が自社技術を他社に採用してもらうためアピールする場であり、消費者向けのBtoC展示会とは雰囲気が異なる。出展企業の説明員や応援社員はお互いが売り手であり買い手でもあるから、競合メーカーであろうと技術レベルの高い質問や意見が各ブースで交わされる。
エンジン部品の専業メーカーは事業転換を積極的に進めてきた成果が見受けられ、既存技術の新分野への応用や脱炭素技術も実用化段階に近いモノが見られた。3日間の来場者は延べ7万9800人(前年:7万5900人)と4000人増えており出展社数や展示ブースの拡大によるものと思われる。「自動運転、効率、省力、省エネ」等が11年前は中心であったが、今年は「サステナブル」に係わるテーマが多くの企業で取り上げられていた。「合成ガソリンに対応したエンジン」、「水素やアンモニア燃料対応のエンジン部品」、「燃料電池」、「プラグインバッテリーEV」、「再生プラスチックの活用」、また既存電動車の改善技術として「充電時間短縮、バッテリー容量アップ、モーター/バッテリー管理ソフトの充実」「無線充電」等が目についた。個別企業の注目すべきアイテムについて次に紹介する。
【ヤマハ発動機】
ヤマハは昨年4月にYamaha Agriculture Inc.(ヤマハアグリカルチャー社)を米国に設立し、今年2月にはニュージーランドとオーストラリアのスタートアップ企業を買収し自動化、ロボティクスやデジタル技術を携えて農業分野への参入を進めている。脱炭素関連では自社開発の電動ユニットや電動モーターを他社へ積極的に売り込んでいた。
(1)自動車用電動駆動ユニット(αLive イー・アクスル):電圧=50~800ボルト、出力=200~450キロワット(2)ハイブリッド航空機用4連結電動モーター:出力1基当たり500キロワット
【愛三工業】
(1)ヤマハ発動機と共同で小型モビリティー向け燃料電池ユニットを開発中(2)アンモニア水素発電ユニット(2023年より10キロワットの実験機にて実証試験に成功)
【豊田合成】
(1)ポータブル水素化カートリッジ(FC発電用に関西万博のセブンイレブン店舗で使用)(2)ペロブスカイト太陽電池搭載スマートウエア:京大スタートアップ(株)エネコートテクノロジーズ社製電池
【スズキ】
(1)電動軽トラの試作機公開。市場貸与試験を今年予定。詳細Webサイト:https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/2016054.html(2)電動スクーターe―ACCESS(インド製海外仕様)の参考展示。モーター:4・1キロワット、バッテリー:3・07kWh 51・2ボルト
【エイム(AIM)】
(1)超小型モビリティEMVの発売(2025年夏沖縄で発売予定190万円)。モーター:7キロワット、バッテリー:9・98kWh 96ボルト https://www.aim-info.co.jp/aim-evm/
筆者が気づいた点をまとめると次の7点があげられる。(1)モーターの冷却は流体式が主流(2)直列にモーターをつなぎ、出力サイズを調整(ヤマハ 航空機用)(3)自動車メーカーはハイブリッドからプラグインハイブリッドやバッテリーEVに注力(4)自動車大手はLIBを自産自消しており外販が主でないのでアピールは略なし(5)水素燃料噴射や燃料電池関連部品が多い、またコスト低減技術として(6)ギガキャスト、横方向衝突強度アップのための(7)高張力鋼サイドフレームと同ドアの売り込みが盛ん。
市場経済が当たり前の自由主義諸国では、趣味的農家、小規模家族経営農家はどんどん淘汰され大規模経営農家だけが生き残っている現在、果樹園、ナサリー(花き園)、ワイナリー&ビンヤードと言った経営面積が中規模でも資本効率が高い海外農業分野に的を絞るヤマハ発動機のやり方は正にスマート(賢い)と感じた。自動化や無人化のためAIとソフトウエアで着飾り超高価格となった「本格スマート農機」を買って経営が成り立つ農家はいったい日本の何処に存在するのだろうか?大きな疑問が残る。









