農と食の未来創る/中四国アグリテックが講演会

特定非営利活動法人中国四国農林水産・食品先進技術研究会(略称:中四国アグリテック、神崎浩理事長)は23日、岡山市の岡山国際交流センター及びWebで中四国アグリテック講演会「『農と食の未来を創る!!』~農業機械・施設によるスマートな食料生産を~」を開催した。令和7年度「知」の集積による産学連携支援委託事業の一環。果樹や施設園芸など多彩な農業が営まれている中四国にて、生産性の向上や担い手確保などが課題になっていることから、スマート農業の研究・開発の最新状況などの講演を行い、今後の中四国におけるスマート農業のあり方、持続的農業、農と食の連携、地域の活性化等について議論を深めた。
講演会では、京都大学名誉教授・近藤直氏による「中山間地における果実類の超精密農業実現を目指して」及び、愛媛大学大学院農学研究科・イノベーション創出院先端農業R&Dセンター教授・センター長・有馬誠一氏による「AI・IoT利用による農業のスマート化―植物と対話をするロボット―」の2講演と意見交換が行われた。
近藤氏は、スマート農業について、情報化に加えてIoTやAI技術を活用したロボット化・知能化が進んだ農業と指摘。果実収穫ロボは80~90年代に開発が進んだものの、作業の遅さや価格の高さ、栽培様式・栽培方法の必要性などから普及せず、現在はロボットのトラクタやコンバインなどが普及。一方、農業をめぐる世界的な問題として温暖化や人口爆発、過剰施肥、食品ロスなどがあり、この対策として適正施肥を行うためには土壌センサを活用した土壌成分分析が有効。食品ロス削減には、収穫後の加工・貯蔵・流通・消費におけるロスが大きいことを踏まえ、果実では共同選果施設の選果ロボットが有効と指摘。同機は10人の作業者と同等の作業性能を持ち、人には不可能な内部品質の非破壊検査や、果実の微小傷及びピンホールの検出・仕分けが可能であり、実用化・普及が進んでいる。
さらに中山間地農業のスマート化では、最も作業時間が長い収穫・選果の軽労化ニーズが高いことから、収穫選果台車(移動型選果機、自己位置検出付き電動台車)や、町おこしに伴う農産物ビジネス技術として、青果物の長期保存と水分損失予測の技術などを提案。中山間地の町おこしには農から食への魅せる(見せる)工夫や関係人口を増やすことなどが求められ、それを実現すべくいかに技術を導入するかがポイントなどと語った。
有馬氏は、センター長を務める愛媛大学の先端農業R&Dセンターの取り組みなどを紹介。同センターは植物工場システム、スマート農業・アグリカーボンニュートラル・専門人材育成の各部門を擁し、植物工場としては、松山市樽味の農学部内に樽味工場、宇和島市津島町の南レク内に宇和島工場を構える。前者は、SPA(スピーキング・プラント・アプローチ)を中心に、AI・IoT・ロボット技術を活用した知的植物工場に関する研究を、後者は関連企業と技術の実証実験などを実施。具体的な研究内容として、植物生育診断ロボットや収穫物情報収集機能付き収穫ロボットなどの開発を進めており、その機能として遠隔リアルタイムモニタリングシステムや、害虫発生モニタリングシステム、防除ユニット、トマト・キュウリの収穫ユニット等を示した。また、同大学等が進める「急傾斜かんきつ園地でも運用可能な自動摘果・収穫・運搬ロボットの開発」が国の「スマート農業技術活用促進法」に基づく開発供給実施計画に認定され、社会実装に向けて走行ユニットなどの研究を進めている旨等を紹介した。









