西表島の公益法人にトラクタなど寄贈/ヤンマーHD

ヤンマーホールディングス(株)のグループ会社であるヤンマーアグリ(株)(所司ケマル社長)は、生物多様性を守るために西表島で耕作放棄地となっている水田・湿地の再生を目指して公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)と一般社団法人イルンティ・フタデムラ(沖縄県八重山郡竹富町)が実施する「西表島干立村ふるさとの田んぼ再生プロジェクト」へ、トラクタ「YT120」(20馬力)1台、コンバイン「YH214H](2条刈、14馬力)1台を寄贈した。
6月20日に西表島干立公民館で行われた農業機械寄贈セレモニーにはヤンマーアグリ(株)の上田啓介副社長はじめ、一般社団法人イルンティ・フタデムラの長澤孝道代表理事、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン自然保護室野生生物グループ南西諸島フィールド保全プロジェクト担当の小田倫子氏が出席した。
今回のプロジェクトでは、ヤンマーアグリが2025年年4月に寄贈したトラクタ「YT120」と、同年8月に寄贈予定のコンバイン「YH214H」を活用し、イルンティ・フタデムラのプロジェクト協力者が西表島の耕作放棄地約1ヘクタールの再生に取り組む。将来的には近隣の耕作放棄地も含めて2~3ヘクタールまで拡大を目指す。
干立では、2018年より、宮本太氏(東京農業大学)のチームが、計18回にわたり植物調査を実施してきた。この調査の結果、干立に残された水田周辺には、西表島内でも他の地域では見られなくなってしまった絶滅危惧種のスイシャホシクサをはじめとする希少植物が生育していることが確認された。
2024年10月、宮本氏の調査チームは、干立の住民を対象に、7年間にわたる植物調査の結果について報告会を開催した。その際、西表島内で今では干立だけに生育している希少植物の存在と、その生育には無農薬による稲作の継続と周辺環境の保全が重要であることが伝えられた。
一方、干立では、集落内の水田が近年急速に減少したことにより、豊年祭をはじめとする伝統的な行事に必要な稲わらを集落内で十分に調達することが難しくなってきていることが問題になっていた。
こうした状況を受けて、干立住民で構成される一般社団法人イルンティ・フタデムラと干立公民館が中心となり、伝統的な祭りの礎であり、干立に残る希少な植物が生育できる環境として、昔ながらの無農薬の水田作りを目指そうという機運が高まった。このような水田環境の再生は、植物とそれに支えられて生息する様々な水生生物、それらを餌とするイリオモテヤマネコやカンムリワシの生息地の保全にもつながる取り組みである。
そこでWWFジャパンもこの干立の住民による水田作りの取り組みに賛同し、西表島の生物多様性を保全する湿地拡大の活動として協働することとなり、2025年から新たなプロジェクト「西表島干立村ふるさとの田んぼ再生プロジェクト」が始動した。
今後の活動については、耕作放棄地の再生に向けて干立では、かつては山からの豊かな水を使って広く水田が営まれていたが、そうした場所の多くが耕作放棄地となっており、僅かな水田だけが残されている状況だった。そこでプロジェクトでは、干立住民の協力により、無農薬の水田を維持・拡大していく計画だ。
こうした取り組みを通じて、イリオモテヤマネコやカンムリワシの餌場となる湿地を拡大するとともに、稲わらを集落内で自給できるようにすることで祭りを継続し、生物多様性の保全とそれに根差した伝統文化の継承を同時に目指していくとしている。









