「大人の食育」推進/農林水産省・6年度食育白書

農林水産省は10日、「令和6年度食育白書」を公表した。今回は「食卓と農の現場の距離を縮める取組と今後の展望」と「消費者の行動変容を促す『大人の食育』の推進」の2本を特集テーマとし、国民の農林漁業体験への参加状況や各世代の食育への関心度、健全な食生活の実践について記載した他、具体的な食育活動の取り組み事例などを幅広く取り上げた。
同白書は、第1部 食育推進施策をめぐる状況、第2部 食育推進施策の具体的取組、第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価―の構成としている。
「特集1 食卓と農の現場の距離を縮める取組と今後の展望」では、農林漁業体験への参加状況や参加することによってどのような変化があったかなどを明らかにするとともに、学校や民間事業者等による特徴的な農林漁業体験に関する取り組み事例などを紹介した。 その内容をみると、国民の4割ほどは食料消費等に関して経済性志向が強いことがうかがわれ、食料消費の志向を持続可能な食料システムの実現に向けて変容させていくには、行動変容につながることが期待される農林漁業体験について、学校等での農林漁業教育の充実を含め、参加者が増加に転ずるような取り組みの強化が求められる、などと解説。また、「参加する方法がわからない」ことなどが農林漁業体験の参加者増加の大きな障壁となっていることから、国民生活の様々な場面を通じて農林漁業体験の機会を提供するような取り組みが必要であり、その際に「親子や友人など、いろいろな参加の仕方ができる」「地域の伝統行事などのイベントに合わせて参加できる」「収穫物の調理体験ができる」など、多様なニーズに対応する形で農山漁村での宿泊体験を含む全国各地の農林漁業体験の機会を広く消費者に提供することも重要だとした。そして、農林漁業体験はもとより、産直活動などの生産者と消費者が直接つながる取り組みを進めることや、各種広報活動等を通じて、持続的な供給に要する合理的な費用を考慮した価格形成への国民の理解を深めることが必要であるとまとめた。
「特集2 消費者の行動変容を促す『大人の食育』の推進」では、食品事業者による食育や従業員に対する食育の特徴的な取り組みをはじめ、子育て世代のニーズや各世代の課題に対応した多様な主体により行われている様々な「大人の食育」の取り組み事例を紹介した。2024年度の「食育に関する意識調査」結果によれば、健全な食生活を実践することを心掛けているか否かについて、「あまり心掛けていない」または「まったく心掛けていない」と回答した人の割合が、30歳代以上の各年代の女性においては概ね20%程度かそれ以下であったのに対し、20歳代の女性では41・8%と高い割合となっており、これまで課題となってきた若い男性に加え、若い女性の食生活についても、改善に向けた取り組みのさらなる推進が必要となってきていると指摘。そのため、学校等における食育について、成長した際の実践につなげるための充実強化を図ることはもとより、自ら食生活を営むようになった大学生や新入社員等に対しても、大学等における食育授業や従業員に対する食育の取り組みを広げていくことを通じて、健全な食生活の実践を促すことが重要、などと記述した。また、食料品や食関連サービスの提供を通じて消費行動に働きかけることのできる食品事業者等による食育の取り組みについて、産官学の連携・協働の下にさらなる展開を図ることにより、時間や手間をかけず健全な食生活を実践することができる食材や調理方法等の普及啓発、高齢単身世帯等の食生活改善につながる取り組みなどを推進することが大切であると解説した。
第2部は、▽第1章 家庭における食育の推進▽第2章 学校、保育所等における食育の推進▽第3章 地域における食育の推進▽第4章 食育推進運動の展開▽第5章 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等▽第6章 食文化の継承のための活動の支援等▽第7章 食品の安全性・栄養等に関する調査、研究、情報提供及び国際交流の推進―の7章立て。このうち第3章では、健全な食生活の実践を促す食育の推進、「日本型食生活」の実践の推進、食品関連事業者等による食育の推進等について記述。また第5章では、農泊や農林漁業体験等を通じた生産者と消費者の交流の促進、地産地消の推進、食品ロスの削減などについて紹介している。









