MENU
令和7年6月23日発行 第3556号 掲載

クボタなど共創、未来の農業考える/大阪・関西万博

 大阪・関西万博の西ゲート付近に位置するパビリオン「未来の都市」(以下、パビリオン)は全長150メートル、展示面積は約3300平方メートルあり、万博内で最大規模のパビリオンである。雪の造形物のようなパビリオンはミストを放ち、独特の雰囲気を醸し出している。その巨大な壁面には「モアレ」とよばれる縞模様のデザインが施されており、夜になるとパビリオン全体が光り、次々と色が変化し、モアレが幻想的に浮かび上がる。パビリオンのすぐ西側には大阪湾が広がり、その先には尼崎、西宮、芦屋、神戸市の一角が見える。(株)ヤハタの招待を頂いた筆者が来場した6月7日は、万博の東ゲートに通じる夢洲駅からすでに人でごった返していた。
 パビリオンはホールA~Cの3ゾーンに区分されている。博覧会協会および(株)クボタほか、12者の企業・団体が共創した15のアトラクション(テーマ展示と2つのコモン展示を含む)を通じて、パビリオンは来場者が「未来体験」することを最大の見せ場としている。
 クボタのアトラクションは、ホールCの15、パビリオンの出口付近に位置する。アトラクションは「地球と人にやさしい、未来の食と農業の研究所~Kubоta Germinatiоn Lab~」と銘打ち、当日は多くの来場者で賑わっていた。
 アトラクションでは展示物とこれに関する情報が示され、過去から現在に至る農業を学び、また同社が未来に達成したい「プラネタリーコンシャスな農業」を来場者と一緒に考えるよう工夫されている。展示物は以下の9点。アトラクションの右から(1)プロローグ(2)食と社会の歴史(3)Sоciety5・0の未来の次世代農機(4)食と農業を考えるシュミレーションゲーム(体験)(5)メインエリア(映像)(6)(3)に同じ(7)みんなの声と自分の想い(投稿)(8)未来の種・アグリテック(9)エピローグ。
 (2)ではSоciety1・0~4・0(狩猟社会~現在の情報社会)の食事を大きな弁当箱の中身に擬してその変遷を表現。各時代の食文化、ライフスタイル、農業生産、フードシステムなど、その背景とともに食と社会の変遷や価値の広がりを視覚的に伝えている。来場者は壁面に展示された大きな弁当箱とその中身の模型に釘付けで、担当者からの説明を熱心に聞いていた。同社のKESG推進部推進第一課の松本浩太朗担当課長は「この弁当箱のディスプレーは学校関係者からの評判も良い。このような人たちから『食育関連の教材に使いたいほどだ』との声もある」と話す。
 (3)では汎用プラットフォームロボット「Type:V」、(6)では同「Type:S」を展示しており、父子が「Type:V」を見ながら「見たことのない形だ、カッコいいなあ。座席はどこかな、燃料は何だろう」などと話しながらスマホをかざす様子が印象的だった。
 (4)は「PLANET KEEPERS」と題したシュミレーションゲームのコーナー。ゲームの想定は農業技術が進化した未来の都市。プレーヤーは農業経営者の視点で未来における農業の課題に取り組むというもの。ゲームを通じて未来の食と農業を模索する。
 プレーヤーは様々な選択肢から農産物、経営の手法、販売先、最新農業技術、連携パートナーなどを選びゲームを進めていく。1つ1つの選択で状況は変わり、選択によって同じエンディングを迎えないというスリリングなゲームだ。1度に9人が参加でき、当日は行列で溢れていた。
 (7)では「私が育てる、未来の種」と題したコーナーを設け、そこには農業分野のほか、他業界で
活躍する人々のメッセージなどが印字された小型パッケージがたくさん吊り下げられている。メッセージとは「幸せなごはん、未来のいのちのために、私たちにできることは何でしょう」というテーマに対する人々の現在の取り組みや思いだ。
 パッケージには自分の思いも投稿できるQRコードが印字されており、米由来の飴玉が1個封入されていた。パビリオンの出口付近で大阪府堺市から来たという大学3年生の男性に話を聞くと「農業にワクワク感を覚えた。あのような展示物が街中にあればグッと農業が身近になり、都会の人も若い人も農業を考える起爆剤になるのでは。ゲームもとても楽しめた」と笑顔を見せた。
 松本課長は「弊社のアトラクションで楽しみながらプラネタリーコンシャスな食と農業を考えてもらえれば嬉しい。過去・現在・未来の食と農業を当アトラクションに凝縮しているので必見です。ぜひ多くの皆様にご来場いただきたい」と力を込めた。

カテゴリー別最新ニュース