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令和7年6月23日発行 第3556号 掲載

アフリカに技術PR/JICA・農業共創セミナー開催

 JICA(独立行政法人国際協力機構)は5月23日、茨城県つくば市のJICA筑波において、2025年度農業共創セミナーを開催した。これは、JICA筑波が開発途上国から受け入れている研修員と、日本の民間企業等の交流・学びを目的としているイベントで、今回はJICAが推進しているAFICAT(日・アフリカ農業イノベーションセンター)とコラボし、重点対象国であるタンザニア・ケニア・コートジボワール・ガーナ・ナイジェリアの5カ国の農業省幹部(うち、4名が稲作や農業機械に係るJICA本邦研修の参加経験者)や商工会議所代表者らも参加。海外からは48カ国の約100名が参加し、活発な情報交換を行った。
 これには、日本の農業界からもカンリウ工業(株)や(株)山本製作所をはじめ、(株)ケツト科学研究所、トミタテクノロジー(株)、(株)ビジョンテック、長瀬産業(株)の6社が出展し、海外への拡大を図る自慢の農業技術をアピールした。また、国内からの一般参加も多く集まり、発表者・出展者を含めて国内外の農業関係者150名以上が一堂に会し、交流を行った。
 開会にあたり、挨拶したJICA筑波の高橋亮所長は、今年はJICA筑波の創立45周年にあたると述べ、日頃からの理解・協力に謝意を示したうえで、共創セミナーは2021年から毎年実施しているもので、今回が7回目だと紹介。気候変動や環境問題など、単一のファクターだけでは解決できない複雑・深刻な課題に直面している中で、持続可能な農業と食料システムの確立は世界共通の課題であり、安定的な食料供給が世界の平和と安定に不可欠であると本セミナーの背景を述べた。さらに今年は8月に横浜でTICAD9(第9回アフリカ開発会議)が開催されることも踏まえ、このイニシアチブの下でさらに連携を深めたいとし、今日の機会がアフリカの具体的な共創とイノベーションにつながることを願うなどと期待を寄せた。
 続いて、出展企業6社及びAFICATによるプレゼンテーションが行われた。一部概要をみると、山本製作所は収穫後の加工を専門とし、作物の損失を減らして食料問題に貢献することが使命であると説明。穀物乾燥機について40年以上にわたり独自技術を磨き上げ、高品質な穀物に仕上げる乾燥・脱穀・精米の機械を提供している。また、高品質で発芽率の良い種子を生産するために、異物を除去し比重の高い種子を選別できるポストハーベストの種子処理ラインをベトナムやフィリピンなどに展開している等と述べた。
 ケツト科学研究所は、穀物水分計や米の白度計、外観分析装置などをアピール。穀物が含有するタンパク質や水分を計測する機器となっており、これらの成分は穀物の販売価格にも影響する重要な数値であると語った。穀物内の水分量の把握・制御は、不十分な乾燥による収穫後のロスや、追加乾燥による燃料コスト増、過剰乾燥による品質低下を防ぐことにつながるという。これまでアジアをはじめ世界に進出している実績を述べ、アフリカもさらに拡大したい意向を示した。
 AFICATの紹介では、JICA及び(株)かいはつマネジメント・コンサルティングがプレゼンを行った。AFICATはアフリカ諸国における先進農業技術の導入促進を官民連携で実施する枠組みであり、2022年4月からパイロット活動としてアフリカ5カ国で順次稼働し、昨年2月から新フェーズとして引き続き活動を展開。同事業では現地官民関係者やJICAアドバイザー/事務所とともに、日本の農業機械・資材メーカーのアフリカ進出を支援しており、現地の政府や民間組織等との関係構築をはじめ現地の情報提供及び視察の支援などを実施。農業発展には機械化が鍵となり、官民双方からの投資を促進していき、これを持続可能なビジネスにしていくことを目指すと述べた。
 JICAはAFICAT実現に向けて、「JICA筑波農業共創ハブ」や「中小企業・SDGsビジネス支援事業」といったようなJICAの他事業との連携も進めており、日本企業にはぜひJICAと手を組んでアフリカでビジネス展開してほしいと呼びかけた。さらにケニアやタンザニア、コートジボワールにはAFICATショールームを設置して日本企業の農業資機材や製品などをPRしているほか、国内でも情報交換会やタンザニア国スタディツアーなどのイベントをはじめ、様々な活動を行っている旨なども示した。
 続いて、AFICAT重点5カ国によるプレゼンを実施。その後、ビュッフェ形式の昼食を経て、AFICAT関係者と交流スペースにて意見交換。AFICAT5カ国の官民代表者が各々のブースに集まり、JICA研修員や日本企業関係者らと交流を行った。
 午後は、参加者がグループに分かれて、日本の出展企業6社のブースを巡回。6社はそれぞれアフリカをはじめ、世界に普及を進めている自社の技術・製品の紹介を行い、小間によっては実機のデモンストレーションも行っていた。
 展示の一部をみると、今年が創立100周年にあたるカンリウ工業は、米の品質を向上する石抜機や精米機などを実機の展示・実演を通してPR。コンパクトかつ操作・メンテナンスが簡単な石抜機ST122をはじめ、精米機、白米選別機などを展示し、動かしながら説明した。外国の米生産では石やごみが混入しているため、これらを取り除く工程を経て精米することで安全かつ美味しい高品質なお米が提供できるという。
 アフリカでは米の山の周りを女性が取り囲んで人手で石や割れた米を取り除いている実態があり、人手では1日200~300キロの処理量が機械では同1~2トン処理できると好評を博している。精米機と石抜機を別々にしているのは、国によって需要が異なるため。電気インフラがない地域でも使えるようエンジンモデルも用意しており、顧客のニーズに応じて多様な選択肢を提案。これらの機械がアフリカをはじめアジアなど海外に導入が進んでいると語った。
 技術紹介や情報交換に訪れていたカンリウ工業・藤森秀一社長は、同セミナーにブース出展したのは今回で3年目だと振り返り、「ここの出展をきっかけに複数国の関係者と接点ができ、アフリカ進出につながった。元々は独自で東南アジアに進出していたものの、コロナで中断。一方でアフリカとはコロナ禍でもオンラインで連絡を取り合い、関係が続いて、時間をかけて試験導入や販売にたどり着いている」という。販売後も購入時に操作指導を行い、メンテナンスや部品交換方法をレクチャー。その後は現地のパートナー会社を通じて、部品供給やフォローを行っているなどとアフリカビジネスについてコメントした。
 また、衛星リモートセンシング専門会社の(株)ビジョンテックは、営農支援システム「AgriLook」について、実際の画面を示しながら紹介。これは人工衛星からのタイムリーな情報と記録データを活用して、作物の葉色予測マップや食味推定マップ、収穫適期マップなどを作成し、生育ステージに応じて施肥管理や病害虫対策等の効率的な栽培管理ができるスマート農業技術。
 同社営業推進部(海外製品担当)・八木浩氏は、「出展を通して話をする中で、積極的に興味を示してくれたところも複数あったので、情報交換をしながら具体的な話を進めていければ。また、アフリカのマラリア対策支援に衛星データが使えないかというアイデアもあり、農業以外でも展開を検討していきたい」などとコメントした。

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