将来の米生産、白未熟粒率が増/環境研究所気候変動適応センターなどが勉強会

国立環境研究所気候変動適応センター及び気候変動適応の研究会農林水産業分科会は5月27日、「令和7年度農林水産業分科会会合S18―2(農林水産業分野を対象とした気候変動影響予測と適応策の評価)成果活用に向けた勉強会」をオンラインで開催した。令和2年度に開始された環境省環境研究総合推進費による「気候変動影響予測・適応評価の総合的研究(S―18)」が昨年度で研究実施期間を終えたことを踏まえ、テーマの研究成果を分かりやすく紹介する目的で行われたもの。開会に当たり、テーマリーダー/同分科会座長の長谷川利拡氏(農研機構農業環境研究部門)は、研究成果や科学的知見を広く有効活用してもらうべく、テーマの研究情報とともに、科学的手法やデータの活用方法といった具体的なノウハウも伝えていきたいなどと開催趣旨を語った。
研究概要の説明では、S―18は「我が国の気候変動適応を支援する影響予測・適応評価に関する最新の科学的情報の創出」を全体目標に掲げており、テーマ2は農林水産業を対象として、重要度の高い品目を対象に、▽将来影響を予測する手法を開発・高度化し、プロジェクト共通シナリオのもとで可能な限り1キロメッシュ単位の高解像度の将来影響予測を行う▽影響の地域性を把握し、品目ごとに脆弱な地域を抽出する。適応オプションの効果を定量化するとともに可能な限り被害額や適応策のコストなど経済評価を含める―を研究目標とした等と語った。
続いてS―18成果ダイジェストの紹介では、気候変動の影響により将来の米の収量は従来予測よりも多くの地域で低下すると予測。RCP8・5(気候政策なしの化石燃料依存型最大排出シナリオ)における全国平均の相対収量は今世紀半ばには±0となり、従来予測を下方修正した。また、適応策を取らない場合の白未熟粒率は今世紀半ばには全国平均で20%、今世紀末には40%となり、特に関西以西で顕著に増加する見込み。
品種別にみると、コシヒカリ等の現在品種は、産業革命前を基準に気温上昇が1度C(現在近似値)を超えると日本全体で白未熟粒率の低い高品質米の生産量が減。しかし、品種の高温耐性を2ランク向上させた場合、2度C上昇までは高品質米生産量を維持できる見込みとされた。
一方、長期的な生産計画策定のための詳細な栽培適地予測マップをウンシュウミカンとアボカドで開発した。ウンシュウミカンのこれまでの栽培適地(基準年=1990~2009年)が、21世紀末も適地に留まる割合は気候シナリオによる差が大きく、最大排出シナリオのRCP8・5では0%となる一方、気温上昇を2度C未満に抑えるRCP2・6では80%に留まる見込みであり、緩和策の効果が大きいと指摘。また、21世紀半ば以降にミカン適地から外れる地域のほとんどはアボカド適地になると予測されたことから、アボカドへの転換も適応策の1つになり得ることなどを示した。









