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令和7年6月16日発行 第3555号 掲載

未来の農地を守る新事業を発表/ヤンマーHD

 ヤンマーホールディングス(株)(山岡健人社長)は11日、食料生産とエネルギー変換の分野で同社のテクノロジーを集結させ、持続可能な農業の実現に向けた、未来の農地を守る包括的プロジェクト「SAVE THE FARMS by YANMAR」を開始することを発表した。プロジェクトの第1弾として、環境再生型農業と営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)などを組み合わせたソリューションを展開する。
 プロジェクトでは、まずは滋賀県栗東市と岡山県岡山市の農場で事業開始。栗東市ではグループ特例子会社による障がい者雇用に力を入れ、岡山市では地域農家による営農で、農地の上空部に発電設備を設置することでグリーン電力を生み出す取り組みを進める。
 蓄電池や電動農機などを活用して脱炭素に貢献。将来的には地域住民に再エネを給電するなど、エネルギーの地産地消と地域レジリエンスの強化にも寄与する。
 その後、全国の自治体・農業関係者に順次提案していく方針。2030年度には全国で1000ヘクタールの展開を目標にしており、将来的にはグローバル展開も視野に入れる。このプロジェクトにより、持続可能な農業による農家の収益確保や地域貢献・地域活性化など、農業の発展と持続可能な社会の実現を目指す。
 〈取り組みの社会的背景〉
 日本の農業では、高齢化や人手不足などにより荒廃農地が増加している。特に農地面積の約40%を占める中山間地ではその傾向が顕著であり、持続的な営農が課題だ。
 また、温室効果ガスの排出量削減など環境に配慮した農業の確立も求められている。農業におけるカーボンクレジットの創出など、制度面の整備が進む中で、導入に向けた営農サポートや技術開発が重要となる。
 その中で農地の上部空間で発電を行う「営農型太陽光発電」が新たな収益を生み出すとして期待されている。ただ、設備の初期費用負担や生育環境への不安が導入障壁になっているケースもあり、課題解決に向けた取り組みが必要だ。
 〈環境再生型農業×営農型太陽光発電によるソリューションについて〉 ヤンマーアグリ(株)とヤンマーアグリジャパン(株)は、千葉大学および千葉エコ・エネルギー(株)が進めるSOLVE for SDGs「脱炭素スマート農地研究」において、太陽光発電システム下でのスマート農業技術や営農方法・農作物評価方法について共同研究してきた。
 また、環境省の「脱炭素先行地域」に選定された滋賀県米原市では「ECO VILLAGE構想」として、耕作放棄地で農業と発電を両立させる「営農型太陽光発電」の導入や、地域のエネルギー循環を強化する仕組みをヤンマーとともに推進。こうした先行事例を応用し、このたびのソリューション事業を立ち上げた。
 担い手不足の課題解決に向けて、地域農家が営農し、営農支援金をヤンマーが支払う農家営農型モデルに加えて、ヤンマーグループが農地所有者から土地を借用し、環境再生型農業技術を活用しながら、営農から作物の販売までを自社で行うヤンマー自社営農型モデルも構築。
 農地所有者にとっては長期的な農地の賃借などによる収入増につながり、将来的には農業を志す新規就農者の支援も行う。
 さらに水稲の中干し延長によるメタンガス排出抑制やバイオスティミュラント、もみ殻バイオ炭の施用による土壌改良・炭素固定などの脱炭素に貢献する農法をはじめとした、データに基づく環境再生型農業の手法確立を目指す。
 営農型太陽光発電の技術を活用し、自社による発電設備の設置・資産保有、自社開発の広域需給管理システムによる最適な再生可能エネルギー供給などの発電事業を2026年4月頃から開始。 ヤンマーエネルギーシステム(株)が開発するもみ殻バイオ炭製造装置を活用し、バイオ炭施用による土壌改良とカーボンクレジットの創出を行う。 特例子会社であるヤンマーシンビオシス(株)との連携による障がいのある人の活躍機会拡大や、メンタルヘルスの回復などの農福連携に取り組む。
 11日、東京都中央区のYANMAR TOKYOで報道関係者向けの事業説明会があり、ヤンマーホールディングス(株)取締役CDOの奥山博史氏、同社技術本部共創推進室長の中野年章氏、千葉エコ・エネルギー(株)(2012年10月に地域の再生可能エネルギー事業に取り組む大学発ベンチャーとして創業)代表取締役の馬上丈司氏が事業概要について発表した。
 また、農業現場との関わりが深い(株)TOKIO副社長の国分太一氏をゲストに招き、トークセッションで農業の未来について語り合った。
 国分氏はテレビ番組の企画を通して、20代半ばで農業と出会い、最初は乗り気ではなかったと振り返った。しかし、地元農家の人達から手ほどきを受け、次第に農業のとりこになったという。国分氏は「まずは農業の大切さや魅力を知り、興味を持ってもらうことが、持続可能性につながるのでは。ニュースを見てお米の問題に関心を持ったり、全国的に農家が減少していることを知ったりして、農業を自分ごとと捉えてほしい」と述べた。

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