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令和7年6月16日発行 第3555号 掲載

可変施肥導入し増収/関東農政局がみどり戦略勉強会

 関東農政局は5月29日、みどりの食料システム戦略勉強会(第31回)をオンラインで開催した。これは、同農政局が同戦略に関係するテーマについて毎月開催しているもので、4、5月のテーマは「スマート農業による環境負荷低減の取組」。4月は農研機構本部みどり戦略・スマート農業推進室の豊島真吾氏が「環境負荷低減に対応したスマート農業技術」と題して総論を解説。今回はこれに続く形で、同室の住田弘一氏が、令和元年から5年まで実施したスマート農業実証プロジェクトの中から可変施肥技術を取り上げ、より具体的な説明を行った。
 同プロジェクトでの可変施肥等導入地区は全体の約3割だが、水田作に限れば約8割にのぼる。住田氏は「可変施肥は、メッシュマップを作成し、それに従って施肥を制御するマップベースと、トラクタなどに装着したセンサーでセンシングし、リアルタイムで施肥機を制御するセンサーベースの2つの類型に分けられる」などと、可変施肥実証事例全体の概要を解説。同プロジェクトで導入されたセンシングツールは、空撮ドローン(39地区)が最多、次いで収量コンバイン(21地区)、人工衛星(10地区)が多いことを示した。一方、可変散布機器については、ブロードキャスタ等(25地区)、散布ドローン(22地区)、田植機(10地区、うち土壌センサー付き5地区)、無人ヘリコプター(4地区)などが利用されたことを報告。
 続いて同プロジェクトからの事例として、▽空撮ドローンの撮影画像からメッシュマップを作成し、散布ドローンで可変追肥→AI推奨時期の追肥で収量5・2%増加▽土壌センサー搭載型田植機による基肥可変施肥→肥料10%削減、全面倒伏圃場26%削減▽生育センサー・可変散布機搭載型乗用管理機による可変追肥→作業能率21%向上、追肥窒素量19%削減、収量6%増加―など、10事例を紹介した。
 さらに住田氏は「可変施肥はデータ活用によるスマート農業技術の代表例だが、センシングツール、データ解析・変換ソフト、可変散布装置の選定や相互連携設定が結構手ごわい。また、施肥設計の基準施肥量や可変幅指定などは、利用者の判断に委ねられている」と述べ、一般農家が独自に導入するにはハードルが高いうえ、必要な機器等の整備を自前で行うのかシェアリングなどを活用するのか、RTK基地局の整備をどうするかなど数々の検討事項があり、導入に際しては、普及指導員や営農指導員のサポートが欠かせないとした。
 最後に、環境負荷低減につなげるための視点として、みどりの食料システム戦略のKPI「化学肥料使用量の低減」に寄与し得るかについては、可変施肥で収量を維持しつつ、従前より散布量が減るなら当然のこと、例え単位面積当たりの化学肥料使用量が増えたとしても、それを上回る収量や売上げが得られるのであれば可であるとした。
 一方で、化学肥料を単純に有機性肥料に置き換えてよいかという点については、「当年作は、アプリなどを活用して肥効率を考慮した散布をすればよいが、その後は、残効をどのように制御するかがポイントになる」と述べ、残存養分の適正把握・適正管理が重要であることを強調した。

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