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令和7年6月9日発行 第3554号 掲載

各社の動向2:トラクタが市場牽引/北陸特集

 (株)北陸近畿クボタ(久保力社長)は、2025年3月に設立10周年を迎え、2024年度(1~12月)は過去最高の売上げと利益を達成した。同社の北陸管内(富山、福井)における24年度の販売状況(主要3機種)は、前年同時期に比べてトラクタが福井で微減となったものの、その他の機種は手堅い荷動きだった。
 トラクタは54、60馬力、田植機は8条植え、コンバインは4、6条刈のクラスが拮抗し、これらのクラスが管内のボリュームゾーンとなっている。
 営業本部長の上田公一氏は「本機は金額ベースで伸長している。しかし台数ベースでは横並びかやや下向き。担い手層の販売台数は堅調に伸びているが、この層以外のところが減っている。好評だったトラクタ『SL33 Limited』が23年度におかげさまで集中的な売れゆきをみせ、この反動も多少あったと思う」と24年度を振り返った。
 同社は設立10周年を祝したトラクタ「SL280(28馬力)」と「同350(35馬力)」を特別機として設定。これにより小さな馬力帯層の底上げを狙う。また価格対応の一環として、これら農機の購入でKポイント(クボタ独自のポイントサービス)を付与する。一方、大規模担い手には自動操舵システムを付けたトラクタ「SL600(60馬力)」を特別機に設定している。
 営業面は、これまで積み上げた取引軒(のき)数を意識して営業活動に専念し、北陸農業を支える農家に本機だけでなく、関連商品や小物商品など、農家が今まさに求めるものを考慮しながら提案を続ける。
 行事は6月に高岡テクノドーム(富山県)、7月には福井県産業会館にて恒例のイベントを開催する予定。10~11月には「夢農業」と銘打ち、富山はスマート農業普及センター、福井は前述の会館にてイベントを開催する。夢農業では商品の展示および近隣圃場での実演を合わせ、乗って見て触れるを農家に体験してもらう構えだ。
 今後について上田営業本部長は「農家の皆様が農機を順調稼働できるよう、農機整備の充実、社員の育成、インフラの整備に一層注力する。これにより計画通りの営農の実現、より快適に、より楽に農業ができるよう北陸農業を支えるお客様をサポートしていきたい」と力を込めた。
 クボタアグリサービス(株)(鶴田慎哉社長)の金沢事務所は、2025年1~5月までの農機市場(石川・富山)について、農機の荷動きが活発化した。米の相対取引価格の上昇なども影響し、農機への投資を前向きに検討する農家が出始めたとの背景があるようだ。
 石川・富山における2024年1~12月の販売実績は2023年の同時期に比べて、トラクタは微減、田植機とコンバインは伸長した(台数ベース)。トラクタは35~50馬力クラスが主流となっている。金沢事務所長の嶋忠祐氏は「23年まで『SL33 Limited(33馬力)』が大いに売れ、この反動も多少あり、24年の販売は苦戦した」と話す。
 前述の馬力帯以外で、オプション品などを標準装備した「MR700H(70馬力)」と「同1000AH(100馬力)」を石川県の担い手応援機、そして富山県のスペシャル機としてラインアップしている。このように両県でトラクタの重点型式を絞り、大規模担い手の要望と多様な農業経営に合わせた提案を積極的に行っている。
 田植機は8条植えが多く、中でもPF(可変施肥仕様)に人気が集まる。従来機の「NW8S(8条植え)」および24年10月に発売した後継機の「同80S(同)」を積極的に提案した結果、後継機への移行がスムーズにでき、販売数を伸ばした。
 コンバインは4条刈が多く導入され、中でも重点型式と位置づける「ER448N Limited」が、石川・富山の両県で好調な売れゆきをみせた。加えて富山では「WRN575(5条刈)」や「同6100(6条刈)」も売上げを牽引した。
 トラ、コン、田以外ではKSASの普及にも注力する。具体的にはPFの田植機と連動させる形で実演を行い、農家の生産コストの低減を図る。大規模な営農を継続するにはスマート農機の活用が必須であり、KSASをこれのプラットフォームとする。
 今後の動きについて、嶋所長は「トラ・コン・田の販売はこのまま順調に進むと推察する。今後もクボタ、JAの両グループの強みを活かし、様々な経営規模に最適なスマート農機の提案を行いたい。また現場と担い手への対応力を強化し、農業を支える人を支えるを念頭に、北陸農業を盛り上げたい」と力を込めた。
 (株)ISEKI Japan 関西中部カンパニー(南孝明社長)はこれまでの動向について、2024年の秋頃から中規模兼業農家(約20町)によるコンバイン(4条刈)の更新が活発化した。またロータリ、代かき機、畦塗機といった作業機の需要が2025年の春頃から非常に高まった。4~5月頃は例年荷動きの少ない田植機とコンバインの受注も多かった。
 営業本部副本部長の久保正聡氏は「決して安くないこれら作業機の更新を我慢する農家も多いが、米価が高くなり、多少の余裕が出た影響もあると思う。それに加えて播種機、育苗器といった水稲関連製品、またドローンや自動操舵装置の荷動きも旺盛だった」と振り返る。
 一方、顧客の1つでもある集落営農組合は「この春での田植機やコンバインの更新は見送るのではないか」と慎重な意見だ。しかし米価が高いままで推移する中、今年度末には農機更新の動きがあるとみる。
 このような状況下で24年度(1~12月)の販売状況は前年同時期に比べて、トラクタは「BF50D(50馬力)」と「同60D(60馬力)」が売上げを大いに牽引して好調だった。田植機は伸び悩み24年度と変わらず、コンバインは24年の夏まで苦戦したが、それ以降は盛り返し、3、4条刈クラスが動き、特に「HFR4050(4条刈、50・3馬力)」の荷動きが著しかった。
 田植機は「PR5D(5条植え・ディーゼル仕様)」と「同6D(6条植え・同)」に人気が集まり、5月からは8条植えクラスの「PRJ8」の需要も高まり、2~8条植えまで万遍なく荷動きがあった。
 営業面では実演を中心に活動しており、恒例の大規模実演会「アグリジャパンフェスタ」を6、11月に石川と富山の圃場で開催する。同会では大規模担い手層をターゲットにして、50~70馬力クラスのトラクタに自動操舵装置やレベラーなどの作業機を取り付けて製品PRを図る。
 スマート農機関連ではアイガモロボ「IGAM2」が北陸管内でも非常に好評を博し、25年度分は完売した。
 今後の動きについて、
久保副本部長は「福井・石川・富山における系統一元メーカーとして活動中だが、営業所を通じて直に農家の皆様を支え、『身近なディーラー』として引き続き井関製品をPRしていく」と話した。
 ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社(菱谷竜一支社長)の北陸管内(石川、富山、福井)は、2024年度(24年4月~25年3月)における農機の販売動向について、上期までは苦戦したが米価の高止まりの影響もあり、下期は好調に推移した。
 中部営業部の廣川孝二部長は「2025年度も米の価格は高いまま推移すると推察する。24年の4月頃に比べて、今年は集落営農組合による農機の商談が多いように思う。これも25年度の米の価格の高止まりを勘案した動きと思う」と話す。
 24年度における3機種の販売実績は、23年度に比べてトラクタおよびコンバインは伸長、田植機は伸び悩んだ。北陸では中型機と捉えるトラクタ「YT357RJ(57馬力)」が売上げを牽引した。コンバインは「YH448AEJU(4条刈)」が好調だった。田植機は「YR6DA(6条植え)」と「YR8DA(8条植え)」の荷動きが多かった。
 石川県では昨年、オートコンバイン「YH6115(6条刈・115馬力)」と「同6135(同・138馬力)」の契約があった。廣川部長は「オートと言ってもオペレータは乗らねばならない。しかし従来機のようにコックピットで細かい作業をせずに済む。そのためオペレータの負担がかなり軽減される。法人が購入したのもそこが決め手だと思う」と話す。
 営業面では今年も担い手に向けて実演および訪問活動を果敢に展開している。秋作業終了後にはイベントを開催予定。昨年も関連メーカーの小物商品を中心に、草刈機などを展示して農家から高評価を得た。
 今期の見通しについては、昨年の受注件数も加味して上期は好調に推移すると想定。北陸では米の価格が極端に落ちることはないという前提で、これが農家の購買意欲の高まりを維持し、同社管内の農機市場も活発化するとみる。ただし、現時点(5月)で一部の製品の需要が高まり、現場サイドで供給が追いつかないという状況もある。
 廣川部長は「ヤンマー製品が選ばれるよう、今後も大規模化、省力化に取り組む大規模担い手に対応するスマート農機や、高馬力・高性能の製品シリーズの提案をしっかり行いたい」と力を込めた。
 三菱農機販売(株)中部支社(庄司聖志支社長)の北陸管内(石川、富山、福井)では米価高騰の影響もあり、昨年11~12月頃に需要が高まり、200~300万円の価格帯の商品購入、これらの年内決済という動きがみられた。高い水準での米価の推移が25年度もあると農家は予測し、今年初めから例年より主要3機種の商談が活発化した。
 24年度(24年4月~25年3月)の販売状況は、前年度の同時期と比べて田植機(8条植え)およびコンバイン(5、6条刈)は伸長するも、トラクタ(50馬力)は苦戦した。田植機は24年に発売したXPSシリーズの8条植えを同年内に積極的にPRした結果、荷動きが好調であった。
 トラクタはキャビン付きの「GA552XV(54・4馬力)」に人気が集まる。北陸支店の山口豊義支店長は「管内のボリュームゾーンより下のクラスとなるが、昨年に発売のXSシリーズ(18・2~25馬力)の拡販も今年は実演を交えて大規模担い手に向けて提案したい」と話す。
 営業面ではXSシリーズに加え、紙マルチ田植機に重点を置き、実演を展開していく予定だ。同機は石川県での荷動きが旺盛で、今後は福井、富山での拡販も睨んで活動していく。お酢を製造する法人などが、無農薬の有機米を作る際に同機を導入する事例があるようだ。
 アフターサービスは、ダイヤパック(入庫点検整備)とミニパック(庭先点検整備)の両輪で時期中のマシンダウン防止を徹底し、少しでも長く農業に従事できる環境整備に注力する。
 2024年9月9日付けで中部支社長に就任した庄司支社長(9面に「人」)は、「時代とともに農業と農家の在り方が変わる中、これに弊社が柔軟に対応できる組織づくりに注力したい」と力を込めた。

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