「MEET UP CHUBU」を開催/中部経済産業局など

中部経済産業局並びに中部経済連合会は4月24日、愛知県名古屋市のナゴヤイノベーターズガレージ及びWebにて、MEET UP CHUBU Vol・62「アグリテック~実証フィールド×未来の農林水産業をつくる~」を開催した(農林水産省共催)。MEET UP CHUBUは共同研究、新事業展開に向けたオープンイノベーション(協業先の探索)を目的とするイベントプラットフォームで、毎月2回開催。今回はアグリテックをテーマに、実証圃場の紹介や最新の取り組み発表等が行われ、同分野での連携を希望する機関が数多く登壇した。
内容は、(1)未来のアグリ・フードを創るオープンイノベーションの場(「知」の集積と活用の場産学官連携協議会)(2)牛の行動変容を促し事故を減らす起立困難予防装置ブジダス(NTTテクノクロス(株)IOWNデジタルツインプラットフォーム事業部マネージャー・赤野間信行氏)(3)豊かな海を可視化する!~魚数カウントシステムの展開可能性~(ヤンマーホールディングス(株)技術本部イノベーションセンタービジネス推進部専任課長・高田直也氏)(4)害虫防除と安定生産に向けた振動農業技術の開発~SDGsに貢献する新たな植物保護技術研究開発プラットフォーム(九州大学大学院理学研究院生物科学部門生態科学研究室教授・立田晴記氏)(5)「日本一アグリテックフレンドリーなまち」をめざす!TOYOHASHI AGRI MEETUP(豊橋市地域イノベーション推進室主事・喜多亮介氏)(6)植物の光合成機能を向上させる「グルタチオン」で農業を変える((株)WAKU代表取締役・姫野亮佑氏)(7)持続可能な農業への知を集める:オープンイノベーションで共生のための農業を探索する(名古屋大学未来社会創造機構オープンイノベーション推進室室長/(株)Tokai Innovation Institute取締役COO・寺野真明氏)―の7講演とネットワーキングを実施。
(1)は農林水産技術会議事務局産学連携室が「知」の集積と活用の場の事業と、産学官連携協議会について説明。同事業は新たな農・食分野のオープンイノベーション創出の場であり、農・食に関心のある企業や大学、地方自治体が同協議会に加入し、異分野で連携して活動を進めている。今年3月末時点で会員は5066を数え、179の研究開発プラットフォームが活動しており、累計657の研究課題を実施。同事業では他分野の会員同士で連携して同じ課題に取り組むことにより、仲間集めや情報収集・発信、社会実装ができるとメリットを述べ、社会実装伴走支援なども実施しているので、積極的に参加してほしいとした。
(3)では高田氏がヤンマーの新規事業創出活動の一環として、同社の養殖業向け既存プロダクトである魚数カウントシステムの応用により、水産業の効率化や海産物の高付加価値化を図る取り組みを進めていると紹介した。生物多様性の市場が脱炭素に続くビジネスチャンスとして世界的に注目されている中で、海洋生物のゆりかごの機能を有する「藻場」などにおける種別生物量をデータ化する試みなどを検討。既存の「魚数カウントシステム」を応用して、専門家による魚種判定データをAI学習させることにより、魚種別の魚数カウント機能を付与できる可能性があることを確認したという。同システムで得られた種別生物量データを活用して、水産物の高付加価値化や赤潮対策、藻場保全・再生活動の推進、ネイチャークレジット化などに活用できるのではとアイデアを語り、今後はニーズ調査や連携を進めていきたいなどと展望した。
また、(4)は立田氏らがオープンイノベーション研究・実用化推進事業で開発した、病害虫防除と生産性向上の同時実現を図る振動農業技術について紹介。振動は、既存技術の弱点をカバーし、トマト、シイタケなどにおいて①化学薬剤なしで害虫密度を抑制②受粉・生育の促進など生産性アップ―のダブルのメリットが得られ、持続可能な農業に貢献する新技術として注目されているという。開発した振動装置を現地実証したところ、①については振動区は慣行区に比べてコナジラミ類の発生が50%以下に低減、ナガマドキノコバエ類が65%に低減。②については慣行区に比べて着花促進処理やマルハナバチ処理などが進み、着花率が上昇したほか、早期収穫・増収の効果もみられたとした。実証農家からも「高い害虫防除効果を実感したので有償でも多数の機材を導入したい」「点滴との併用で防除効果を実感。農薬散布頻度や果実の調整作業が減少した」などの声が寄せられ、全国のトマト・イチゴ・シイタケ生産者から問い合わせが多数あったという。振動装置は、製造元の東北特殊鋼(株)と共同で改良を重ね、従来の6台同時制御から、1コンセントで1台を制御できるように操作を簡素化。12時間連続動作でき、量産も容易だという。立田氏は今後さらに振動農業技術の実証と改良を続けて、同技術の市販化・社会実装を目指すとし、振動を利用した環境にやさしい技術により、害虫防除や栽培省力化、収量増を図り、みどりの食料システム戦略の実現に貢献していきたいなどと述べた。









