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令和7年5月19日発行 第3552号 掲載

スマート農業技術で環境負荷低減/関東農政局がみどり戦略勉強会

 関東農政局はこのほど、みどりの食料システム戦略勉強会(第30回)をオンラインで開催した。これは、同農政局が同戦略に関係するテーマについて毎月開催しているもので、4、5月のテーマは「スマート農業による環境負荷低減の取組」。その初回となる今回は、農研機構本部みどり戦略・スマート農業推進室の豊島真吾氏が登壇し、総論として「環境負荷低減に対応したスマート農業技術」について解説した。
 豊島氏は最初に、令和元年から5年まで実施したスマート農業実証プロジェクトについて紹介。水田作関連47地区、畑作関連28地区、露地野菜・花き関連50地区、施設園芸関連28地区など、合計217地区で実証が行われ、その成果は農林水産省がまとめた「スマート農業実証プロジェクト」冊子や、農研機構HP内のスマート農業実証プロジェクトウェブサイトで公表しているとした。
 続いて、スマート農業技術の概要として、様々な技術を、自動運転・自動操舵、作業軽減・危険回避、精密作業、センシング・モニタリング、統合環境制御(施設)、収量・出荷等予測、経営・生産管理に分類して解説。さらに、主なスマート技術の導入効果と生産現場の声を紹介した。この中で、直進アシスト田植機の実証実験による導入効果として、経験の浅い作業員でも作業能率が向上したことや、作業労力が平均18%減少したことをあげた。また、生産現場の声として▽操舵への集中が不要で苗や肥料の補給や植え付け状況に目配りできる▽完全に落水せずマーカーが見えない状態でもきれいな植え付けができる▽オペレータの疲労度が軽減される▽未熟練者に効果的―などを取り上げた。
 次に、スマート農業実証プロジェクトの解析結果などから、環境負荷低減に効果がありそうな技術をピックアップ。水田輪作においては、自動操舵+スタブルカルチで粗耕起・整地時間を17%削減、自動操舵トラクタ+高速汎用播種機で播種作業を47%効率化。露地野菜の施肥作業でも、自動操舵トラクタ+ワイドスプレッダで作業時間57%削減―など、様々な生産現場で、スマート農業技術が大きな省力化を実現したことを示した。さらに、キャベツ・ダイコンの耕うん作業に自動操舵を使用した実証では、肥料の散布ムラや二重散布を削減でき、肥料費を44%削減。ナガイモ栽培の溝堀作業では、直線方向からのズレが小さくなり品質向上効果が認められたことから廃棄量が減り、食品ロス削減につながったなどとした。
 ほかにも、自動水管理システムでは、管理作業時間を平均60%削減しただけでなく、中干し期間の延長でメタン発生量を30%削減したことや、センシングデータに基づく可変施肥・精密施肥により、化学肥料削減につながったことなどを報告し、スマート農業技術が環境負荷低減にも大きく貢献することを印象付けた。
 また、豊島氏は「スマート農機を使わなくても、データを活用すれば、それはスマート農業だ」と述べ、その例として(1)観測データに基づく栽培管理(2)施設における統合環境制御(3)生育・収量・出荷等の予測モデル―を提示した。
 このうち(1)では、アプリを用いた梨園の実証実験の成果として、微気象観測データからの黒星病危険度予測による防除で、化学合成農薬使用成分数を40%削減。(2)では、施設ピーマンの実証実験で、ハウス内を光合成活動に適した環境に保つことで単収が49%増加。液肥混入・日射比例かん水や中二重ビニール開閉等の自動化により追肥・かん水や換気等の作業時間を慣行区の43%に省力化。(3)では、ビワ産地全体に設置したLPWA気象観測網で収集した気象データにより、出荷時期、量を精度よく推定できた―などの成果を紹介した。

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