市場の動向:過去最高の農畜産物取扱高/北海道畑作酪農特集

十勝総合振興局などが発表した十勝管内23農協の昨年産農畜産物取扱高は、3770億円と過去最高を記録。前年比5・5%増となった。畑作などの耕種部門は過去2番目に高く、畜産部門は過去最高といずれも高水準だ。昨年は道内も猛暑が続いたものの、一昨年の反省を活かした生産者の努力が実を結んだ。
耕種部門は同5・2%増の1476億円。年間を通じて平年より気温が高く推移したため、農作物の生育が早まり、全体的に作柄も平年以上となった。
ビートは作付面積が減少したが、適切な防除や9月以降は気温が下がったことで病害の発生が抑えられ、一昨年の不作から復活を果たし、同35・6%増の282億円。糖度も平年並みだった。
雑穀・豆類は同16・7%増の251億円。一部品種が暑さや収穫期の降雨に見舞われたが、比較的天候の影響を受けにくい大豆が作付面積を増やし全体を押し上げた。一方、昨年豊作だった麦類は同13・4%減の356億円。小麦が種子の肥大する7月に少雨だった影響を受けた。ジャガイモは少雨で玉数が減るなどしたため収量は下回ったが、価格が高かったことから同1・6%増の326億円だった。
畜産部門は同5・7%増の2294億円で過去最高。酪農は同6・6%増の1563億円。高い乳価と生産調整や猛暑の影響も少なく、生乳生産量が増加し金額が伸びた形だ。肉用牛は、牛肉の消費の落ち込みなどで枝肉や子牛の価格が下落したが、取引頭数の増加で4・2%増の674億円。取扱高は過去最高だった一方、生産コストの高止まりは続いている。
作物の金額ベースでは順調に見えるが、それに比して農機需要は濃淡が分かれた印象だ。酪畜関連製品を取り扱うメーカーや商社からは、依然として製品の動きが重いとの声が聞かれることが多かった。農家は収入が見込めないため、機械や施設の更新を先延ばし、対処療法的な修理や施設の一部リニューアルなど、コストを掛けずにやり過ごすケースが多いようだ。一方、畑作機械を製造する国産メーカーの中には、補助事業も手伝って、大いに製品供給が進み、販売台数増につなげたところもあった。
各販売会社からは、農作物取扱高は良かったものの、営農コスト増により、思ったほどの農家収入につながっていないためか、下期での失速が目立った。秋の展示会は来場者数に比べて、購入に結びつかなかったとの声もあった。一方でサービス事業は、各社とも順調に推移しており、やや人手不足の感も否めない。加えて働き方改革で無理な残業をさせないことで、1人当たりの労働時間が限られ、増員しなければサービス対応が増やせない面もある。
他方、これまであまり活用されてこなかったロボットトラクタが昨年7月、JA帯広かわにしで18台、ドローン25台とともに導入されることとなり、盛大なオープンセレモニーが開催された。これは今年1月逝去した同所の前組合長である有塚利宣氏が長年働き掛けてきた「十勝におけるスマート農業活用」に向けた取り組みが形になったものだ。これまでの北海道型農業は150PS超の高馬力トラクタを使い、大型作業機による作業で生産性を高めていたが、今後は国産の115PSクラスのロボットトラクタを複数台で同時作業することで、より少ない人数で作業をこなしていくという新たな選択肢を示すことになる。完全にロボット化が果たされるのはまだ先のことかもしれないが、農業人口が減少し、農機の大型化が頭打ちになっていくことを考えると自然な流れのようにも思える。麦、豆、ビート、ジャガイモという畑作4品による輪作体系は変わらないものの、作業体系はより多様に変化していくように思われた。









