各社の対応:スマート農機PR/宮城県特集

(株)五十嵐商会(五十嵐善正社長)の昨年実績は主要3機種は伸び悩んだものの、秋以降の米価高騰の影響により、色彩選別機や乾燥機など米関連機械が好調で計画比2%増となった。
中古需要も旺盛だ。機械の値上がりや資材費の高騰などの影響で、リーズナブルな中古農機は手に届きやすく、動きも良い。五十嵐商会の中古農機は1年間の保証付きなのも魅力の1つ。
宮城県内に24カ所の営業所と2カ所の整備センターを構え、何かあればすぐに相談できる体制を整えている。五十嵐社長は「1つひとつの農家を大切にしたい。目指しているのは農家のコンビニ。困りごとや相談があればいつでも気軽に頼ってもらえるように」と想いを語る。
独自の取り組みで県内農家との信頼関係を築く。18年5月から始めた農姫米(のうひめまい)プロジェクトでは、仙台を拠点に活動するセンダイガールズプロレスリングと、仙台市内に住むシンガーソングライターのティーナ・カリーナ氏とタッグを組み、地域の人たちと一緒に米づくりに挑戦している。収穫した米は同社ECサイトで購入できるほか、ロゴ入りマスクやTシャツ、帽子といった関連グッズも販売し、取り組みをアピールしている。
春商品、秋商品の展示会を年2回開催。会場には大小さまざまな機械をずらりと並べ、最新のスマート農機も紹介している。実績は平年並みという。時には展示会場の真ん中にリングを設置し、センダイガールズプロレスリングによるプロレスイベントを実施することも。インパクト抜群で、来場者の心をつかんでいる。「楽しくなければ展示会じゃない」と五十嵐社長。
22年7月から始めた野菜の産直型通販サービス「農家急行!ベジの助」は、おいしく食べられるのに傷が入っていたり、形が悪かったりするだけで廃棄されてしまうアウトレット野菜の流通を促すことで食品ロスの削減につなげている。通常よりも安く買えることに加え、環境にも優しい取り組みが好評。五十嵐社長の孫が描いた野菜をモチーフにしたキャラクターを配達トラックや商品パッケージに採用。個性的な愛らしいデザインは印象に残る。
全国的に離農が相次いでおり、未来を担う農業従事者の確保は喫緊の課題となっている。「なんとかして新しい人を取り込まねば。儲かる農業、そして若い人にとっても魅力的な産業となるように工夫を凝らしていく」と五十嵐社長。
(株)宮城ヤンマー商会(佐藤一馬社長)の昨年の実績は前年並み。米価高騰の影響で10月以降の需要が伸びた。
機種別ではコンバインが好調。昨年1月からJAの共同購入コンバインの受注が始まったこともあり、販売台数が伸びている。トラクタ、田植機は前年並みだという。
トラクタは直進アシストよりも、後付け自動操舵システムの動きが良い。RTK基地局が23年4月から運用開始され、スマート農機への関心は日増しに高まっている。「自動操舵システムは宮城県内では当たり前になりつつある」と佐藤社長。
主要3機種だけでなく、草刈機や米関連機械など季節を問わず、様々な商品が売れている。「必要なものを必要なときに買いたいという農家が増えている」。
中古需要も旺盛だ。リーズナブルな中古機は農家の手に届きやすく、根強い人気がある。今年3月には白石市のホワイトキューブで中古農機展示会を開催した。家庭菜園用から大規模プロ農家用まで幅広いラインアップで来場者を引き付け、過去最高の売上げを達成した。支店ごとの展示会も好調で「農家の購買意欲の高まりを実感している」と佐藤社長は振り返る。
修理・メンテナンス需要も伸び続けている。「機械の買い替えはすぐにはできないが、点検整備は先にやっておこう」と考える人や、税金対策として年内に修理を済ませようとする人が増えているようだ。件数が多いので、新しく入社した整備士が数をこなせるようになり、成長スピードが早まっているそうだ。
社内のDX化に力を入れている。22年から社内アプリを導入し、翌23年から本格運用を開始。顧客のデータや製品の在庫状況、見積もり・修理履歴、従業員の勤怠状況などをアプリ内で共有することで、業務の効率化を図っている。
今年のスローガンは「農機具屋から会社へ」。必要に応じて、社内の古い体質や商習慣などを時代に合わせた最適なものに変えていくことの大切さを強調しており、佐藤社長は「小回りの良さ、サービスの質など昔ながらの良いところは受け継ぎつつ、新しい要素も取り入れ、よりよい会社に成長させていきたい」と狙いを語る。
県内の学校に出向き、最新の機械に触れながら田植えや稲刈りを教える出前授業をすることも。現在、学校とコラボした新たな取り組みも検討中だ。
(株)南東北クボタの昨年の県内実績は前年比、計画比ともにクリアした。7月に価格改定を実施したが、値上げ前に先々の受注が順調に取れていたことや、秋以降の米価高騰がプラスになった。
主要3機種もそれぞれ好調。昨年10月に発売した新型田植機NAVIWEL(ナビウェル)NW80S/NW60Sに動きがあり、今年2月にリリースした新型トラクタ「レクシアGS仕様」の105PSは発売直後に早速売れたという。
宮城県内での乾田直播の普及拡大で、大型の機械の動きが活発だ。各メーカーと協力しながら乾田直播の播種実演会も実施しており、依頼も増えている。
23年4月から宮城県内一円でRTK基地局の運用が開始されたことで自動操舵を中心にスマート農機の需要が高まっている。ドローンはT10Kや新型T25Kの販売台数が伸びている。水稲だけでなく、果樹や野菜などにも活用の幅が広がっており、実演の要望にも応じている。
今年2月には仙台市内の圃場で試乗体験イベント「スマート農業ライブ」を開催。RTK田植機NW80S―PF―RTKの魅力を体感してもらおうと、現地とオンライン併用で紹介し、好評だった。
昨年7月、南東北3県の展示会「クボタBIGサマーフェア2024」を山形県内で開いた。スマート農機を展示したほか、モア祭りと題して各メーカーの草刈り関連機械が勢ぞろい。みどりの食料システム戦略ブースを設け、補助金対象の機械を並べた。
今年は1月に名取市の仙南営業所と村田町の大河原営業所で新春初売り展示会を開き、GS機能標準装備の普通型コンバイン「DIONITH(ディオニス)DRH1200」、無人仕様トラクタAgri Robo、新型トラクタ「レクシアGS仕様」をPRした。
今年は6月12~14の3日間、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで展示会を開く。担い手農家を主なターゲットに据え、新製品やスマート農機を中心にアピールしていく。
修理・メンテナンスも好調だ。刈り取り後の依頼が殺到しており、対応しきれないほどだという。要因として「作業中に機械が故障することを防いでスムーズな農作業を実現したいと考えている農家が多い。米価高騰で購買意欲は高まっているが、新機種に買い替えるよりも、まずは修理に出して様子を見ようという傾向がある」と第8ブロック部長の高野明士氏は分析する。
社内の業務改善にも力を入れる。今年1月から各営業所やサービスセンターに1人ずつサポートメンバーを配置し、営業や整備での補助業務を任せている。営業スタッフは営業活動、サービススタッフは修理に専念できるような体制を整え、出張修理に代わりに行ってもらったり、作業前の洗車などをお願いしたりなどができるようになった。「業務効率化や生産性向上を目的とした新しい取り組み。それぞれの担当が仕事に集中しやすくなり、少しずつ効果が出てきている」と高野氏。
ヤンマーアグリジャパン(株)南東北営業部宮城ブロックエリアマネージャーの佐々木宏彰氏によると、24年度の全体の実績は前年並み。昨年4月の値上げの反動で4~6月の第1四半期は主要機の販売が伸び悩んだ。
一方、7月に山形県寒河江市で開催した南東北3県の大展示会では実績、来場者数ともに目標をクリア。さらに秋以降の米価高騰が後押しし、前年並みの実績に持ち直した。
トラクタは50PS以上の大型が主流になっている。直進アシスト仕様の需要が高まっており、80~100PSクラスも動いている。米価高騰の影響で農家の購買意欲が向上していることもあり、今夏以降の予約も増えているという。
田植機は8~9割近くが密苗仕様になっており、直進アシストも毎年好調に推移している。ヤンマーの密苗は稲作の低コスト化と省力化を実現する栽培技術。慣行栽培とほぼ変わらない栽培管理で規模や地域、品種を問わず導入できるため全国で普及が進む。
コンバインは5~6条が人気だ。昨年1月から受注を開始したコンバイン(51・5PS、4条刈)の販売台数も伸びており、これまで買い渋りをしていた中核農家にも手が届きやすくなった。
佐々木氏は「乾燥機は稲刈り後の予約が増加し、いまだに入荷できていない商品もある状況。低温貯蔵庫など米関連の機械に動きがあり、米価がこのまま安定してくれれば」と話す。
修理・メンテナンスも好調だ。ヤンマーでは「サブスクあんしんパック」を用意しており、契約した機械を5年目まで初期費用なしの月々定額でメンテナンスできるようにしている。これが担い手農家に好評で、点検整備を依頼しやすくなっている。近年は系統・販売店からの修理・点検依頼が急増しており、体制の強化が急務。よりきめ細やかなサービスを提供できるように整備施設の整備、人材確保・育成に力を入れていく。
また、宮城県内では乾田直播の普及面積が急速に拡大していることから、実演の回数が年々増えているという。「乾田直播の導入を検討しているが、一度は実演を見たい」という農家からの要望に応えるために、整地から播種までの実演を県内各地で開いている。
宮城県内には8つの支店に加え、2つの整備センターを構えており、農家により近いところでの実演や講習会を大切にしている。「直播きの栽培方法や苗づくり、稲づくりといった営農提案を進めることでお客様を引き付け、ヤンマーの様々な取り組みを積極的にアピールしていきたい」と佐々木氏。
今年は6月20、21の両日に福島県大玉村のプラント5で展示会を開く。昨年に引き続きスマート農機やラジコン草刈機YW500RCなどをアピールするとともに、子実用トウモロコシの栽培講習会を検討。密苗の取り組みもPRし、さらなる普及拡大を図る狙いだ。
(株)ISEKI Japan東北カンパニーの県内状況は、昨年は3月に値上げをした影響で直前の駆け込み需要が見られたものの、1年を通して苦戦を強いられた。
主要3機種ではトラクタの販売台数は減少傾向だが、1台当たりの単価が上がっているため金額ベースでは前年並み。乾田直播の普及が進む宮城県内では機械の大型化が進んでおり、トラクタは100PS前後の動きが活発だ。
コンバインは好調。一方で、田植機は伸び悩んでいる。今年は管理機の需要が旺盛。色彩選別機は在庫が足りなくなるほどだという。トラクタ作業機の動きも良い。
今年1月から宮城県の担当になった常務理事営業副本部長兼系統推進部長兼宮城営業部長の門屋毅氏は「米価高騰で農家の購買意欲が高まっており、まずは作業機から新しくしようと考える人が多い印象だ」と振り返る。
今年3月に販売開始した水田に浮かべる自動抑草ロボット「アイガモロボ2」は発売前から注文が殺到。
アイガモロボはブラシの回転で土を巻き上げて田んぼ全体を濁らせ、太陽光を遮ることで雑草が光合成しにくい圃場環境をつくる自動抑草ロボットで、世界で初めて実用化に成功した。従来機の設計を大幅に見直し、素材やサイズ・駆動方式などを刷新。抑草性能を強化しながらも、最適化されたコンパクト設計でリーズナブルな価格での提供を実現。
門屋氏は「今年分はすでに完売したが、来年以降の注文は引き続き受け付けている。雑草を完全になくすのではなく、あくまで抑草するためのロボット。特徴をきちんと説明し、理解を促しながらさらに普及させていきたい」と話す。
草刈機も根強い人気がある。ラジコン草刈機スパイダーモアーやトラクタのアタッチメントタイプが好調。草刈りは農作業の中で最も労力がかかるため、省力化やコスト削減の観点から需要が伸びているという。
昨年11月の展示会では、BFトラクタ、アイガモロボ、高精度農機用自動操舵システムCHCNAVをPR。今年6月10、11の両日に仙台市の夢メッセみやぎで開催される「JAグループ宮城営農支援フェア2025」でも引き続きアピールする。
修理・メンテナンスの依頼も堅調だ。米価高騰前は部分整備が多かったが、ここ最近は完全整備の依頼にシフトしてきた。事前見積もりの段階で新車に買い替える率も上がってきた。相次ぐ資材費の高騰で今までは部分整備に留めていた人たちも完全整備や新しい機械への買い替えなどを検討し、設備投資に意欲的になっているという。
門屋氏は「ヰセキの創立100周年を盛り上げていけるような取り組みを進めていきたい。まずは展示会で結果を出したい」と意気込んだ。
三菱農機販売(株)南東北支店系統推進課長の眞山大輔氏によると、昨年度の実績は好調。主要3機種では田植機が前年度比、計画比ともにクリアした。
昨年2月にリリースした6条/8条の新型乗用田植機「XPS6」「XPS8」は、高速植付けに対応した「トランスフォーム植付けシステム」を新たに開発し、業界最速の1・95メートル/秒の植付けスピードを実現。
田植機はペースト施肥の割合が高い。マイクロプラスチックを使わないペースト施肥なら環境へ配慮した田植えができ、▽雨でも作業できる▽早く効いて活着が良い▽活着剤が不要▽掃除が簡単―といったメリットがある。
紙マルチ田植機の普及も進める。植付部直前から再生紙を敷設し、紙を突き破りながら田植えをする。敷設された紙が田面への日光の通過を遮断し、田植え後約1カ月間、除草剤を使わずに雑草の伸長・繁茂を抑えることができ、除草作業の大幅な省力化が期待できる。紙は40~50日で溶解し、有機肥料となる。
トラクタは新型XSシリーズ(18・2~25PS)が好調。畑、田んぼだけでなくハウス内や果樹園といった小規模圃場で使いやすいコンパクトトラクタで、小回りの良さや作業性の高さが評価されているようだ。同じスペックの他社製品に比べて安価で導入しやすい点が強みで、展示会での反響も良いという。
50PS後半~70PSの大型トラクタの動きも活発である。コンバインは5~6条が主流になっている。農地の大規模化が進む宮城県内では乾田直播の面積が拡大しており、大型の機械が普及している。
眞山氏は「主要3機種だけでなく、乾燥調製機や色彩選別機などの更新依頼も多い。米価高騰などの影響で、農家がこれまで2~3年先延ばしにしていた機械の更新に意欲的になっている」と話す。
主力商品の国産初ショートディスクハロー「KUSANAGI(クサナギ)」は県内各地での実演の要請が増えており、HPなどでも前面にアピールしている。
今年は6月10、11の両日に夢メッセみやぎで開かれる「JAグループ宮城営農支援フェア2025」に参加し、昨年に引き続き新型トラクタXSシリーズ、新型乗用田植機XPSをPRする。
三菱マヒンドラ農機(株)は昨年6月、世界的な農業・建設機械メーカーのCNH社と同社が製造する農業機械CASE(ケース)IHブランド製品の日本でのディストリビューター契約を締結した。北海道だけでなく、農地の大型化が進む本州や九州を含む全国で販売を拡大していく方針としている。
国内の農機市場は縮小傾向だが、集約化によって大型機にシフトしており、100PS以上のトラクタの需要も伸びている。ケースIH製品は100~200PSクラスのトラクタを中心に販売しており、CNH社とともに商品ラインアップを拡充し、日本の農家のニーズに応える。
「まずは様子を見ながら、チャンスがあれば宮城県内でもケーストラクタを普及させていきたい」と眞山氏は語った。









