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令和7年4月28日発行 第3549号 掲載

森林利用学会シンポジウム:スマート林業の現場実装/高性能林業機械特集

 森林利用学会(鈴木保志会長・高知大学教授)は3月23日、北海道札幌市の北海道大学学術交流会館第1会議室で「スマート林業の現場実装の加速に向けた課題」と題したシンポジウムを昨年に続き対面とオンライン(Zoom webinar)の併用で開催した。森林総研の中澤昌彦氏がコーディネーターを務めた今回のシンポジウムでは、6氏が登壇して話題を提供し、対面参加者を交えてスマート林業の現状や課題などを共有し、議論を深めた。
 登壇した講師及び講演タイトルは、次の通り。
 ▽土居隆行氏(林野庁整備課)=スマート技術を活用した森林整備
 ▽佐々木尚三氏(KITARINラボ)=北海道における林業機械化の現状とスマート林業の展望
 ▽田中君祐氏(北海道庁)=ICTハーベスタの生産データを活用した木材生産の取り組み
 ▽松村幹了氏(大坂林業)=デジタルデータを活用した造林作業の効率化
 ▽狩谷健一氏(金山町森林組合)=金山町の取り組み
 ▽長谷川尚史氏(京都大学)=スマート林業研究の方向性と課題
 「スマート林業を活用した森林整備」と題し講演した林野庁森林整備部整備課の土居課長は、安全性や効率性に課題を抱え、収益性も依然として低い現状を打開する手立てとして、スマート技術を活用した森林整備事業での事業実行や行政手続きの効率化・省力化の必要性をあげた。
 造林・間伐のスマート化として新たな林業機械の活用、具体的には造林におけるドローンによる苗木運搬、地拵えや下刈り作業用の機械開発、また、伐採作業では、車両系・架線系それぞれで遠隔操作が可能な機械の開発や、事業の申請・検査のデジタル化が進んでいることを指摘。
 さらに林道・作業道のICT施工や高度なシミュレーションが可能な事業の調査・設計のデジタル化を示し、実証的な取り組みは進んでおり、一般化していく段階だと述べ、「林野庁では委託事業を活用して、ガイドラインの作成や、事業の実施要領・積算要領などの関係規定の整備、標準歩掛の整備の推進を図っている」などと現状を報告した。
 KITARINラボの佐々木氏は、特に「十勝モデル」や「エゾモデル協議会」の実証事業を進めた立場から、現状を評価。これまでハーベスタなどの導入が進み、造材・集材工程で一定の機械化が実現していると評価しつつも、その進展が造材・集材など伐採作業に偏っており、中でも伐採前の調査や再造林工程では、依然として労働集約的な作業が多く、機械化が十分に進んでいるとは言えないと指摘。
 さらに流通の情報伝達についても、紙ベースに頼っているのが現状である、と問題点を示した。 また、北海道庁の職員として「スマート林業EZOモデル構築協議会」に関わっている田中君祐氏は、ICTハーベスタを中心とした作業システムにより、木材の生産状況・流通を可視化し、データを活用した精度の高い生産管理を可能にする手段に注目してきた、と語り、道北地域でのデジタルデータを活用した生産管理の課題と今後を展望した。
 林業事業体の立場から、特に林野庁の「新しい林業経営モデル実証事業」である「北欧をモデルにした北海道・十勝型機械化林業経営」の実施メンバーでもある(有)大坂林業の松村代表取締役は、GNSS技術を活用した高精度な作業支援や、植栽・育林管理の効率化に向けた取り組みを紹介した。
 さらに、山形県金山町森林組合の狩谷常務は、平成27年頃から取り組んだ航空レーザ計測による森林情報のデジタル化の手応えを示すとともに現場実装に向けた課題として、要素技術間のデータのシームレス化とヒューマンインターフェース、コミュニケーション能力の人材の育成などをあげ、今後、森林・林業に特化した「データアナリスト」や「データサイエンティスト」などの新たな役割が必要になってくるなどと展望した。
 京都大学FSERCの長谷川教授は、林業のスマート化技術の導入とカスタマイズは、極めて工学的な色合いが強い一方、同時に森林管理に関する深い知識が求められる課題である、などと指摘した。
 森林利用学会では、2020年12月に森林計画学会と合同で開催したオンラインシンポジウム「ICT導入による林業のスマート化の加速に向けた挑戦」をはじめ、2024年3月のシンポジウムで「林業における新技術とデジタルデータの活用」を行うなど、これからの方向性としてスマート林業に着目し、活動を展開している。

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