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令和7年4月28日発行 第3549号 掲載

お米未来展・特別セミナーから:農林水産省・西氏が講演/乾燥機・調製機特集

 国内最大級の業務用食品・食材、機器、容器の総合見本市「FABEX東京2025」が15~17の3日間、東京ビッグサイトで開催された(既報、(株)日本食糧新聞社など主催)。会期中に行われたセミナーのうち、15日に実施されたお米未来展特別セミナーの農林水産省大臣官房審議官(技術・環境)・西経子氏による講演「やっぱりお米が地球を救う!~『みどりの食料システム戦略』ノススメ~」の概要をみる。
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 西氏はまず水稲の生産現場について、労働力不足やコスト高、環境負荷が高いことなど課題が山積していると状況を説明。そこで農林水産省は「みどりの食料システム戦略」を推進して、この課題解決を図っているとし、セミナー会場に参集した聴衆に向けて、本日の話は全て、ここに集まっているお米関係者の全員が主役としてリードする政策であり、関係者が連携していろいろな取り組みをしていく中で環境負荷の低い米生産が実現すると述べた。そのうえで、今日覚えてほしいキーワードとして、(1)みどりの食料システム戦略(2)みえるらべる(3)J―クレジット―の3点をあげ、3点とも生産から消費まですべての人が関わる政策であると語り、それぞれを詳説した。
 (1)については、まず国内外の農業を取り巻く情勢について説明。国内の市場規模は人口減少や高齢化に伴い縮小傾向にある一方、世界の農・食市場は拡大傾向にあり、世界の食市場を獲得していくことが重要。また、日本の年平均気温は100年当たり1・40度C上昇しており、2024年の年平均気温は1898年の統計開始以降最も高い値となった。農林水産業は気候変動の影響を受けやすく、高温による品質低下などが既に発生しており、さらに自然災害が激甚化している傾向。
 また、国内の農山漁村は人口減少が著しく、今後一層の担い手減少が見込まれ、生産基盤の脆弱化や地域コミュニティの衰退を招いていることや、食料生産を支える肥料原料が定常的に輸入に依存していることなども課題になっている。
 環境との調和についてみると、農林水産分野におけるGHG(温室効果ガス)排出量は世界では全体の22%と割合が大きいのに対し、日本では4・2%と少ないものの、日本ではメタン排出量のうち農業由来が82%と過半数を占めている。
 これらの情勢を踏まえ、同省は食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するべく、2021年にみどりの食料システム戦略を策定した。同戦略は調達から生産、加工・流通、消費まで食料システムにまつわる全てのステークホルダーが全体で環境負荷を低減する取り組みであるとし、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化をはじめ、化学農薬の使用量50%減や化学肥料の同30%減など林野・水産含め計14のKPIを設定している。
 このKPIの2022年実績値をみると、農林水産業のCO2ゼロエミッション化については、主要3分野である施設園芸・農業機械・漁船に関して補助事業により省エネ設備・機器等の導入支援などを実施し、2022年実績値は1430万トン―CO2となり、基準年の値に比べ13・8%削減した。
 また、化石燃料を使用しない園芸施設への移行では同実績値が10・7%となり、2030年目標の50%まで遠い。化石肥料使用量の低減は、同実績値が81万トンとなって、基準年の値に比べ約11%削減した。有機農業の割合は同実績値が3・03万ヘクタールで全耕地面積の0・7%となっている。
 みどり戦略が実現した際の2050年の食・農関係の市場規模は、アジア地域の経済力向上と新たな市場の創出を踏まえると211~272兆円と推計され、これは2019年の129兆円の約2倍にあたる。産業別にみると、▽農業機械等の関連投資が5・0~6・1兆円と最大2・5倍▽農林漁業が20・7~25・3兆円と最大約2倍▽海外展開を含めた食品製造・外食産業が130・2~165・9兆円と最大2・1倍▽関連流通・資材業が54・6~74・3兆円と最大2倍前後―の増加になるとした。
 そして、合わせて、昨年改正された食料・農業・農村基本法に掲げた理念の実現に向け、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進められるよう4月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画について概要を紹介した(3面に関連記事)。改正基本法では食料安全保障の確保、多面的機能の十分な発揮、農業の持続的な発展、環境と調和のとれた食料システムの確立、農村の振興を基本理念として掲げている。
 一方、(2)みえるらべるについては、みどり戦略に基づき、持続可能な食料システムを構築するため、食料システム全体での環境負荷低減の取り組みや国民理解の醸成に向けて、環境負荷低減の取り組みの「見える化」を推進。「温室効果ガス削減への貢献」や「生物多様性の保全」の取り組みを分かりやすく等級ラベルで表示する「みえるらべる」の取り組みを進めている。昨年3月に「見える化」の本格運用を開始し、7年2月末時点で登録番号付与は730件、販売店舗等は1004カ所に増加した。米は生物多様性保全も評価し、温室効果ガスの削減貢献と合わせて等級表示できる。「見える化」の拡大に向け、国等の庁舎における食堂での調達基準に「見える化」農産物等を位置付けた他、同農産物等が優先的に選択されるよう、各種調達基準への位置付けや消費者の購買意欲を高めるための民間ポイントとの連携も検討していくとしている。
 他方、(3)J―クレジットについては、省エネ設備の導入や再生可能エネ利用によるCO2等の排出削減量、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度であり、生産者がクレジット売却で収入を得られることから取り組みが広がっている。農林水産分野の同制度のプロジェクト登録件数は7年2月現在で全体の4割を占める285件となり、農業者が取り組むものは47件となっている。
 このうち、水稲栽培におけるメタン削減が見込める中干し期間の延長については22件となり、6年度は37道府県の水田(約5万400ヘクタール)における取り組みに基づき、16万1837トン(CO2換算)のクレジットが認証された。中干し延長の取り組みは全国に広がっており、利用されるシステム・アプリとしてクボタKSASや営農支援アプリ「アグリノート」、水管理システム「WATARAS」などを紹介。
 西氏は今後も食料システムの多様な関係者にみどり戦略を知ってもらい、取り組みを広げていきたいと力強く語った。

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