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令和7年4月28日発行 第3549号 掲載

視座:米価格の問題を未来につなぐ/乾燥機・調製機特集

 米の価格問題が各方面で取り上げられている。生産者サイドは、2024年産米の久方ぶりの高値に喜びの表情をみせ、半面、消費者は通常価格に倍する高値高止まりに悲鳴を上げている。流通段階もしくは第三者が在庫を意図的に積み増している影響で米不足はないと言い続けてきた農林水産省の読みに疑問を持ち、もしくは農業団体の利益を確保する目的で減反政策の持続を図るための誤魔化しと同省の姿勢を質す向きもある。
 時を同じくしてトランプ関税が世界を揺さぶり、我が国に対しては、交渉ターゲットに農産物、米があがっているといわれる。すでに財務省は輸入米の活用拡大という提言を示しており、米の価格や食料安全保障の問題を取り上げた財政制度等審議会財政制度分科会(昨年11月11日開催)の議事録には、ミニマムアクセス米の備蓄への活用、備蓄のやり方の検討、(食料安全保障の観点から)輸入と備蓄をセットで考える、輸入相手国は政治経済的に良好な関係の国なので輸入可能なものは輸入してほかの課題に財政余力を振り分ける視点が重要―といった文言がみられる。
 財政負担の軽減を図りたい同省からすれば、農業に係るムダを減らしたい意向が前面に出てくるのは当たり前だが、今回のアメリカの模様をみていると、やはり所詮外国なのだと押さえておく必要はある。
 同議事録では、同省の見方として「主な補助金の中で、一番大きな課題と思っているのが、いわゆる米の需給の調整、米の生産調整とそれを成り立たせるための転作を支援する補助金」とし、「『水田活用の直接支払交付金』という名前で、米をつくらずに転作をするように促すという補助金なので、米をつくったときの所得をターゲットに補助金の単価をつくるのだが、それがやや行き過ぎているように思う」と指摘しつつ、飼料用米に対する補助金が例示されている。
 今回の米騒動は、日本の社会全体が稲作、水田農業を見直す契機になる可能性がある。儲からない中で米づくりを続け、魅力を見出せないことが後継者・従事者不足の一因になっているなど、メディアでは問題意識を投じている向きがある。また、稲作基盤の衰えに危機感を寄せる市民の声がある一方で、農家には申し訳ないがこれほど高いなら輸入米に切り替えても仕方がないと話す主婦の心痛も伝えられている。
 食の多様化がいわれ、現今の若者の食生活をみていると、米無しでもOKという気風ができるのではないかという恐れがあったが、米に対する世間の関心度の高さに触れ、改めて瑞穂の国の住人たる共生感を見出している。ただ、このまま高値の水準で推移すれば、米離れに結びつくのは間違いない。すでに消費者からも、わずか1年足らずのこの間の農林水産省の対応を指弾しつつ、3食のうち1食をほかの物に置き換えることになれば、それだけで農家・農業へのダメージは大きいと展望しているのだから。
 稲作農業の魅力を構築する要素は何か。実際、農業現場では、米の価格が高ければいいという問題ではないとする生産者の意見があった。「こちらの言い値で決まるわけではないし、再生産がきく水準で安定して推移してくれればいい。先行きが見えない中、ただコストダウンの努力だけ強いられるようでは、間尺に合わないと辞める人が多くなるのは当たり前」と。
 先の議事録では、「補助金を増やして農業保護を増やすというような方向ではなく、むしろ法人経営や大規模化、輸出の推進などを進め、どちらかといえば日本の農業をより自立した産業にするという方向に持っていくということ、そうした構造に転換していくことが重要」「(需給調整とそれに伴う転作)支援策に頼らない強い農業というものをつくっていくべきではないか。徹底的に低コスト化を進めて、最終的には輸出もきちんと見据えていく、高い米価に頼らない構造への転換を進めていくべき」との記述がある。
 支援策を必要としない儲かる農業―これができればまさに上等。ただ、正確な予測が難しい自然・気象の影響、超大規模農業を営む諸外国とのコスト比較、農林業が果たしている国土保全上の役割など、様々な要素を取り上げると、大規模専業農家が食料を低コストで供給する業態だけがあっていいのではなく、多様な農家が存在してこその農産業界でもある。さらにいえば、デジタル化の進行とともに軽視されがちな曖昧さを包含する仕事、人ゆえに価値を見出しうる仕事としての農業、この観点を外して本来の農業の魅力を探ることはできまい。
 今次の米価格をめぐる色々の議論、活動が、農業応援団を生み増やし、日本農業の明るい未来につながるステップとなることを期待したい。

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