WAGRI活用で分科会/農業技術革新・連携フォーラム2025

農研機構、経団連、日本農業法人協会は2~3月に先進的な農業技術・サービス等を紹介する「農業技術革新・連携フォーラム2025」をオンラインで開催した(既報)。同フォーラムでは3月18日、分科会「WAGRIが導く農業DX~ゴールドラッシュ株式会社に学ぶ~」がオンラインで開催された。データ駆動型農業の実践事例として、農業データ連携基盤WAGRIやそれを組み込んだアプリを活用しているゴールドラッシュ(株)社長・品川憲治氏が登壇し、「養液栽培技術と農業DX化で稼ぐ農業を目指す!」と題して講演を行った。
分科会の冒頭、農研機構WAGRI推進室・法隆大輔氏から、WAGRIの現状報告が行われた。それによると、WAGRIは民間企業や官公庁、農研機構が有する農業に関する様々なデータを農機メーカーやICTベンダー、農業関連団体に提供し、現場の農業者に役立つネットサービスの開発を支援しており、WAGRIを通して農業関連データ流通の促進を図っている。現状をみると、会員数は2019年度運用開始時の20数社から、2025年1月末時点で119社に着実に増加。提供するAPI数は2021年度の88APIから、同189APIと2倍以上に拡充した。また、アクセス回数は同2284万回で前年同期比2・2倍となっているが、アクセス回数が1万回以上のAPIは82にとどまり、利用されていないAPIもあるという。アクセス回数が100万回以上を超えているのは気象情報や市況情報など、日々動的に変化するデータや、水稲の生育予測などとなり、データ利用の高度化が一部で進展しているなどと分析した。
一方、品川氏はオリジナル養液管理システムを用いたブドウ栽培において、10年で1億円の実績を上げた取り組みを紹介。ブドウ栽培を新規で始める際、通常は収穫まで5~6年を要するが、品川氏は2年目で収穫可能となる新しい栽培方法を導入し、収益向上に成功した。氏が行っているのは、ハウスではなく、ビニール屋根にて雨避け設備を設けた露地において、植物工場の技術を導入したブドウ栽培。特殊な不織布ポット「ルートラップポット」を用いて養液土耕栽培の基礎技術である根域制限栽培を行い、潅水チューブと潅水ドリッパーで養液を精密に管理するものだという。
根域制限栽培は、ビニールシートやポットなどで根の広がる範囲(根の量)を制限し、水や肥料の吸収を理想的な状態で管理する栽培方法。これにより、ブドウを強制的に早期に成木化させ、栄養成長から生殖成長に切り替えさせることで早期の結実を行うようになるという。栃木県農業試験場が果樹の根圏制御栽培法導入マニュアルを作成しているが、これまで同栽培方法が普及しなかったのは、養液土耕栽培の肝となる水と肥料の管理が複雑であり、管理機器が高価だったためだとした。現在は技術の進歩により管理機器が安価に作れるようになり、品川氏はAIを用いた養液土耕栽培のオリジナル管理システム「ZF2型」をわずか30万円台で開発。
品川氏はブドウの養液土耕栽培のメリットとして、(1)初心者でもマニュアルに沿って栽培すればA級品を作りやすい=新規就農者の増加・農地継承につながる(2)初収穫が5年目ではなく2年目から可能=経営の早期黒字化が可能(3)土づくり不要なのでどこでも即座に果樹園経営ができる=耕作放棄地を利用、スムーズな水田転作が可能―を提示。自宅などからスマホを用いて遠隔地圃場を管理操作し、常に適切な養分状態を維持することが可能になると述べ、初心者でもマニュアルに沿ってA品が簡単に作れるオンライン養液管理機器「ZF2型」を広めていくとアピールした。
その後、農研機構WAGRI推進室・二宮芳継氏を司会に、品川氏をはじめ、愛媛大学副学長・羽藤堅治氏、ゴールドラッシュ・土居史昭氏が登壇し、質疑応答やディスカッションを行った。









