農林水産省:みどり戦略推進交付金の取組事例/野菜・畑作関連機器特集

農林水産省はみどりの食料システム戦略の実現に向けた各地域の取り組みを支援しているのにあたり、昨年末に「みどりの食料システム戦略推進交付金2024年度取組事例集」を取りまとめて公表した。
これは、令和5年度補正予算及び令和6年度当初予算を中心に全国各地で実施された、資材・エネルギーの調達から農林水産物の生産、加工・流通、消費に至るまでの環境負荷低減と持続的発展に向けて取り組んだ事例を取りまとめたもの。5年12月から令和6年8月にかけて7回実施した要望調査に基づき採択した全国の事業実施計画数496件のうち、79件の事例を紹介している。このうち、野菜・畑作における取り組み事例の一部をみる。
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秋田県の大館市ならびに北秋田市で活動している大館北秋田えだまめメガ団地協議会の取り組みをみると、同地域では、大規模農業法人を主体に園芸メガ団地整備事業を活用し、枝豆の作付拡大が進んできた。近年は、生産コストの増加や労働力の不足等が課題となっていることから、化学農薬と化成肥料の低減と省力化の両立を図るため技術検証に取り組み、成果を地域に広く普及させるべく力を注いでいる。
成果目標として、▽有機質資材(緑肥・汚泥肥料)の施用▽バイオ炭の農地施用▽自動操舵システム付きトラクタによる畝立・播種機の活用▽自動操舵システム付き中耕培土機の活用▽自動操舵システム付き除草カルチベーターの検証―を掲げて取り組みを実施。その結果、有機質資材(緑肥・汚泥肥料)を施用し、化成肥料の使用量を削減した圃場では、生産量は慣行比93%と慣行体系と同等の生産量および品質を確保できた。また、バイオ炭の農地施用による生育及び収量への悪影響は確認されなかった。
自動操舵システムの活用により、慣行の播種体系と比較して、直線的な畝を施工することができ、作業時間を28%短縮することができたほか、除草カルチベーターの活用により、慣行体系よりも作業時間を約8%削減できた。今後は除草剤の使用回数低減の検討も行う予定。
こうした技術については、現地検討会の開催により、各技術の普及に向けて啓発を行った。今後は、同事業での検証結果を栽培マニュアルに反映させるとともに、経営評価の実施や既存体系との組み合わせについて検討を行い、地域農業者への技術定着及び生産の安定化に向けた取り組みを実施するとしている。
また、群馬県の甘楽町オーガニック推進協議会の取り組みをみると、甘楽町では、露地野菜や果樹の生産を中心に有機農業に取り組んでいるが、新規就農者の確保と育成、労働力の確保や省力化への取り組み、農地の継承、新たな販売先の確保、多品目の栽培と収穫期間の調整等が主な課題となっていた。そこで、成果目標として、有機農業者数を令和5年度の16名から10年度20名に、有機農業耕地面積を同18・8ヘクタールから20ヘクタールに、学校給食等での有機農産物の活用を2トンから4トンに増やすことを掲げた。そのうえで、機械による省力化の実証や栽培講習会の開催、新たな品目(水稲・オリーブ)の実証圃場の設置、学校給食等での有機農産物の活用、ふるさと納税・イベント等での活用、農業収穫体験の実施、消費拡大に向けた啓発と情報発信―に取り組んでいる。
また、さらなる普及に向けた取り組みとして、生産面では、栽培講習会や農家での研修、新たな品目の有機栽培の実証等を行いながら新規就農者を育成し、有機農業者数や耕地面積の増加、安定した品質や収量の確保を目指す。流通・加工・消費の面では、学校給食での有機農産物の活用を拡大するとともに、町内外への販路拡大を図る。生産から消費まで地域ぐるみで有機農業の取り組みを推進し普及を図る―としている。
一方、滋賀県甲賀市ならびに湖南市で生産を行っているJAこうか露地野菜部会は、今回の事業で水田野菜における土づくりの改善と省力化に取り組んだ。同地域では、露地野菜のための土づくりが不足し、土壌硬化、乾湿害、地力窒素の低下等に起因した生育不良と低収量が課題となっていた。
そこで、緑肥作物の活用、緑肥の腐熟を促進するバイオスティミラント(BS資材)の活用を検討。また、省力化技術として乗用型管理機の活用を検討した。
成果目標としては、緑肥の活用による化学肥料使用量の低減及び乗用型管理機による白ネギ土寄せ作業の軽労化を掲げて取り組みを推進。キャベツ定植14日前に緑肥ソルゴーをすき込みしたところ、慣行より可販収量が向上したほか、タマネギ定植14日前に緑肥クロタラリア、ヒマワリのすき込みとBS資材(分解ヘルパー331)施用の有無を比較したところ、同資材施用区が慣行より増収。
また、白ネギ定植前に緑肥ヘアリーベッチのすき込みを実施。乗用型管理機を活用し、土寄せ・施肥を同時に行うことで省力化できたという。 これらの結果、同地の作型に合った緑肥として、キャベツ前作のソルゴー、タマネギ前作のクロタラリア、白ネギ前作のヘアリーベッチは適切と考えられ、乗用型管理機による省力化も実証できたとした。今後は、緑肥及びBS資材の施用による土づくり効果や減化学肥料について検討を進めるとしている。
また、長崎県五島市の五島市農業振興対策協議会技術者会は甘藷栽培において、グリーンな栽培体系への転換を進めた。背景として、五島では古くより甘藷の栽培が行われ、島の重要品目となっていたが、デンプン需要の低下や農業者の高齢化により、栽培面積が著しく減少。一方で近年、青果用甘藷の栽培が増加し、有機栽培や化学肥料・化学農薬を低減した栽培を志向する生産者が増加しつつあり、これらは個々の経営体独自のノウハウによって行われているため、地域で広く導入できる技術体系の確立が課題となっていたことがあった。
そこで、同事業にて、化学肥料・化学農薬の低減及び栽培管理の省力化を一体的に実施する技術体系の確立を目標に掲げて、畝内局所施肥機を使用した可変・局所施肥の検証、ドローンによる農薬散布の検証に取り組んでいる。
取り組みの普及に向けては、現在は個々の経営体ごとに行われている甘藷栽培について、可変・局所施肥等を取り入れることで改定した栽培暦を普及させるために、協議会で産地戦略を策定し、環境への負荷が低減された栽培体系について地域での定着を目指す、としている。









